線型代数学演習問題 第6講 L06 2020/07/10

I
2次の実対称行列 $A= \begin{pmatrix} a&c\\ c&b \end{pmatrix}\in M_2(\mathbf{R}) $に対して以下の条件(i),(ii),(iii)が必要十分であることを証明しましょう.
(i) $A$が定める2次形式が非負定値である.すなわち \begin{equation*} (A\vec v,\vec v)\geq 0\quad (\vec v\in\mathbf{R}^2) \end{equation*}
(ii) $A$の固有値$\alpha,\beta\in \mathbf{R}$が$\alpha,\beta\geq 0$を満たす.
(iii) $a,b\geq 0,\ ab-c^2\geq 0$
ビデオ解説
II
$m\times n$行列$A$があるとします。$P$が$m$次の 正則 行列、$Q$が$n$次の正則行列であるとき $$ \dim \mathrm{Im}(A)=\dim \mathrm{Im}(PA) $$ $$ \dim \ker(A)=\dim \ker(AQ) $$ が成立することを示しましょう。
ビデオ解説(1), ビデオ解説(2),
III
$V\subset\mathbf{R}^n$は部分空間とします。 $$ V^\perp=\{\vec w\in\mathbf{R}^n; (\vec v,\vec w)=0\ (\vec v\in V)\} $$ は$\mathbf{R}^n$の部分空間です。($V$の直交補空間と呼びます。)
(1)$V_1,\ V_2$は$\mathbf{R}^n$の部分空間とします。 $$ V_1\subset V_2 $$ が成立するならば$V_1^\perp\supset V_2^\perp$が成立することを示しましょう。
(2)$V_1,\ V_2$は$\mathbf{R}^n$の部分空間とします。 $$ (V_1+V_2)^\perp\subset V_j^\perp\ (j=1,2) $$ を示しましょう。
(3)$V_1,\ V_2$は$\mathbf{R}^n$の部分空間とします。 $$ (V_1+V_2)^\perp =V_1^\perp\cap V_2^\perp $$ であることを示しましょう。
[解答ビデオ]
IV
$A$を$m\times n$行列として$A$が定める線型写像を $$ f_A:\ \mathbf{K}^n\rightarrow \mathbf{K}^m\quad \vec v\mapsto A\vec v $$ と表します。
(1)$V$は$\mathbf{K}^n$の部分空間とします。このとき $$ AV:=f_A(V)=\{A\vec v\in \mathbf{K}^m; \vec v\in V\} $$ が$\mathbf{K}^m$の部分空間であることを示しましょう。
(2)$W$は$\mathbf{K}^m$の部分空間とします。このとき $$ f^{-1}_A(W)=\{\vec v\in \mathbf{K}^n; A\vec v\in W\} $$ が$\mathbf{K}^n$の部分空間であることを示しましょう。
[解答ビデオ]
V
$A=\begin{pmatrix}a_{11}&a_{12}\\a_{21}&a_{22}\end{pmatrix}\in M_2(\mathbf{R})$ に対して $$ ||A||^2=a_{11}^2+a_{12}^2+a_{21}^2+a_{22}^2 $$ と定めます。
(1) $\vec x\in\mathbf{R}^2$に対して $$ ||A\vec x||\leq ||A||\cdot ||\vec x|| $$ を示しましょう。
(2) $A, B\in M_2(\mathbf{R})$に対して $$ ||AB||\leq ||A||\cdot ||B|| $$ を示しましょう。
ビデオ解説
VI (Vの続き)
(1) 行列の列$A_\ell\in M_2(\mathbf{R})\ (\ell=0,1,2,\dots)$が与えられているとします.$A\in M_2(\mathbf{R})$が列$\{A_\ell\}$の極限であるとは \begin{equation*} ||A_\ell-A||\rightarrow 0\quad (\ell\rightarrow +\infty) \end{equation*} が成立するときです.このとき \begin{equation*} A_\ell= \begin{pmatrix} a_\ell&b_\ell\\ c_\ell&d_\ell \end{pmatrix},\quad A= \begin{pmatrix} a&b\\ c&d \end{pmatrix} \end{equation*} ならば \begin{equation*} A_\ell\rightarrow A\ (\ell\rightarrow +\infty) \Leftrightarrow\ a_\ell\rightarrow a,\ b_\ell\rightarrow b,\ c_\ell\rightarrow c,\ d_\ell\rightarrow d \end{equation*} が成立することを示しましょう.
(2) $B_\ell\in M_2(\mathbf{R})\ (\ell=0,1,2,\dots)$が \begin{equation*} \sum_{\ell=0}^{+\infty}||B_\ell||<+\infty \end{equation*} が成立するならば \begin{equation*} S_\ell=B_0+B_1+\dots+B_\ell \end{equation*} が収束することを示しましょう.
(3) $A\in M_2(\mathbf{R})$に対して無限和 \begin{equation*} \sum_{\ell=0}^{+\infty}\frac {t^\ell}{\ell!}A^\ell \end{equation*} が収束することを示しましょう.無限和を $e^{tA}$と記します.
(4) $A= \begin{pmatrix} a&-b\\ b&a \end{pmatrix} $ に対して $e^{tA}$ を求めましょう.
解説ビデオ (1), (2), (3), (4)