三田祭論文
三田祭論文

慶應義塾大学経済学部
大平 哲研究会
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村山市の耕作放棄地削減

木村誠之・宮腰友理・安原凪紗・山本祥宇

山形県の魅力の1つが、美味しい食材である。米沢の米沢牛や、天童のラ・フランス、東根のサクランボ、庄内の米など、全国にその名が知られているものも多い。寒暖差が大きいことや冬の雪が栄養豊かな湧き水になって土壌を潤すことなどから、美味しい食材を育む豊かな環境が整っている。とくに内陸中央部にある山形盆地は寒暖差が大きく、先述した天童のラ・フランスや東根のサクランボなど全国1位の生産量を誇る農作物を生産している。村山市は、その山形盆地の北部に位置している。盆地の縁辺部に近く東西を山地に囲まれた地形であり、市内でも山間部と平野部とで異なった気候がみられる。そのため果実や米、野菜など多様な作物を生産し、市場においても高い評価を得ている。

ところで、日本の農業は厳しい状況に直面している。農林水産省(2020c)は、懸念として、農業就業者の高齢化に伴う生産基盤の脆弱化、地域コミュニティの衰退、自然災害や家畜疾病の影響などをあげている。また、国土保全や水源涵養などの機能の低下、病虫害や鳥獣被害の発生などに結び付くおそれがあるとして、耕作放棄地の増加も深刻な問題だとしている。柴田、佐藤(2016)は、耕作放棄地が地域の景観を損ね住民に心理面で悪影響をあたえていることを指摘している。このように耕作放棄地は、多面的に悪影響をおよぼすため、発生防止と解消を目指していくことが望ましい。さらに、Helmer and others(2015)やGarcia-Ruiz and Lana-Renault(2011)も述べるように、ヨーロッパでも耕作放棄地は問題視されており、世界的にも解決すべき問題となっている。国際連合食糧農業機関(FAO)の委託論文であるHavránek and others(2007)では、耕作放棄地を含む農地の代替活用方法について議論をしている。OECDやFAOといった国際機関において、耕作放棄地はたびたび議論のトピックになっている。

豊かな環境を持つ村山市においても農業は問題を抱えている。村山市(2020b)は、高齢化や後継者不足などにより農業従事者の減少がすすみ、農産物価格の変動による所得減少や、手いれ不足による森林環境の悪化などの問題を指摘している。とくに、耕作放棄地の増加の問題が顕著である。農林業センサスによると、村山市の耕作放棄地率は全国平均や山形県平均を上回るペースで上昇している。対策として、生産者が加工や販売まで担い収益向上をはかる6次産業化や、市内に点在する地域資源を結びつけて観光誘客をはかる農観連携事業がおこなわれている。しかしながら、これらは産業、地域の活性化を目指すもので、耕作放棄地の削減に主眼をあてたものではない。また、耕作放棄地の削減については、NPOの役割を指摘する松岡(2019)、一般的な解消方法を議論する谷本(2015)のほか、特定の地域に特化して議論するものは和歌山県清水町についての亀山(2015)や秋田県についての李他(2015)などがあるが、山形県とりわけ村山市について焦点を当てた研究や議論はない。

本稿では、村山市が食育を通じて耕作放棄地を削減できることを示す。1節では、村山市の概要と村山市における農業の問題について説明する。2節では、食育と6次産業化について述べ、食育の持つ可能性について説明する。3節と4節では、問題解決へのアプローチについてそれぞれ、耕作における担い手不足の問題に対して外部の人材を取りいれること、耕作する作物について鳥獣被害や寒暖差など地域の特性に合った作物を採用することを説明する。5節では、村山市での現在の取り組みも踏まえたうえで、耕作放棄地削減の方法について提言する。

論文のフロー図

目次
はじめに
1 村山市について
 1-1 村山市の基本情報
 1-2 村山市の食農の取り組み
 1-3 村山市の耕作放棄地の現状
 1-4 耕作放棄地増加の理由
2 食育について
 2-1 食育の概要
 2-2 食育と6次産業化
3 担い手
 3-1 労働力の外部からの補充
 3-2 事例
4 耕作放棄地の活用
 4-1 活用方法
 4-2事例
5 提言
 5-1 食育を通じた耕作放棄地削減
 5-2 村山市への提言
おわりに
参考文献

参考文献
ウェブサイト内の資料については、記載されているURLでのリンクを2020年12月6日時点で確認しました。その後、URL が変更されている可能性があります。

三田祭論文作成にあたり、ご協力いただいた阿部帆南さん、河岡直都さん、土屋宥仁さんありがとうございました。

アンテナショップで、牛乳をいただきました。 おいしい山形プラザで自撮り
村山市の耕作放棄地にて フィールドワークで、お芋ほり!?
じゅんさい沼も見学しました 最後はバーベキューをしました。
現地を案内してくれた学生とともに 三田祭発表練習のようすです。

論文全文(ゼミ関係者のみダウンロード可)

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