三田祭論文
三田祭論文

慶應義塾大学経済学部
大平 哲研究会
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ベトナムのサパ地域における観光の持続可能性

裏木敏明・胡桃沢樹・橋本栞・秦理々香

東南アジア地域に属するベトナムは、大きく経済成長をつづけている新興国の1つであり、観光業の成長も顕著である。北部首都ハノイ、南部ホーチミン、中部ダナン、ホイアンなど、ベトナムには多くの観光客が訪れ、2005年以降この数は急増している。2016年からベトナムの観光客数は平均して毎年22%増加しており、世界でもっとも観光業が成長している10か国の1つである。ベトナム国内の主要都市に注目が集まる中、天空の秘境として着実に観光客数を伸ばしている観光地がある。サパである。サパは中国との国境に近いラオカイ省に位置し、少数民族の文化や棚田の絶景など、主要都市では味わえない雰囲気を楽しむことができる。

サパはフランス人の避暑地として開発された土地で、山岳地帯に位置するため、農耕がむずかしく、食糧不足に見舞われることもある。そのような中、新たな収入源として着実に伸びてきているのが観光業である。Mitchell and Ashley(2010)によると、観光業は、労働所得や工芸品の販売、観光活動の間接的な収入と観光労働者が収入を支出することなどを通じて、貧困緩和へ良い影響をおよぼすと述べている。サパでは、急激な観光開発にともなう観光客の増加により、環境と社会文化の問題が存在する。Srikham(2019)はサパの観光発展について論じ、観光の急速な発展と計画外な環境管理によって廃棄物の処理と水不足の問題が生じていると述べている。Dihn and Yos(2013)は、観光客の増加により、衣装や民族舞踊、儀式や工芸など、さまざまな伝統文化が商品化され、文化的価値が侵食されていると述べている。

このようなオーバーツーリズムによる弊害の解決策は世界中で講じられている。高坂(2019)は、オーバーツーリズム対策には、複数のツールを組み合わせ問題事象の部分的抑制とダメージの軽減を図る手法が一般的であるとし、規制型、分散型、課金型のツールを観光地の特徴と問題事象からオーバーツーリズムへの対策として述べている。谷本、谷本(2020)は、観光公害の概念を検討し、ヴェネツィアの事例から京都に関する考察をおこなっている。須藤(2013)は、サパを例として、少数民族観光の変化と問題点について述べているが、サパの観光におけるオーバーツーリズムを解消し、持続可能なものにするための手段について論じている先行研究はない。

本稿では、長期的な観光の持続可能性の観点より、現地への負荷がもっとも少ないことからサパに課金型を導入することで、オーバーツーリズムを解消し、持続可能な観光につながることを示す。1節では、持続可能な観光の定義と持続可能な観光に必要な3つの要素を説明する。2節では、サパの基本情報と観光の現状と課題を述べる。3節では、オーバーツーリズムの概要を説明した後に規制、分散、課金について事例を取りあげる。4節では規制型、分散型ではなく課金型をサパに導入する理由を述べ、具体的な課金の方法を提言する。

論文のフロー図

目次
はじめに
1 持続可能な観光について
 1-1 持続可能な観光の定義
 1-2 持続可能な観光に必要な3つの要素
2 ベトナムのサパについて
 2-1 サパの基本情報
 2-2 サパにおける観光の課題
3 オーバーツーリズムの概要と対策事例
 3-1 オーバーツーリズムの概要
 3-2 分散型とその事例
 3-3 規制型とその事例
 3-4 課金型とその事例
4 サパのオーバーツーリズムへの対策
 4-1 課金型を適応する理由
 4-2 具体的な課金の方法
おわりに
参考文献

参考文献
ウェブサイト内の資料については、記載されているURLでのリンクを2021年1月27日時点で確認しました。その後、URL が変更されている可能性があります。

三田祭論文作成にあたり、ご協力いただいた浦上峻輔さん、栗生雅基さん、山田あかりさんありがとうございました。

JICAにてパラスポーツのボッチャを体験している写真です。 ベトナム料理を食べに行った時の写真です。
JICAのタッチできる地球儀です。 JICAのSDGsについて学べるコーナーです。
JICAの地球ひろばにて集合写真を撮りました。 ベトナム料理のフォーを食べました。

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