三田祭論文
観光圏の形成による湯河原町の発展
亀里大雅・栗生雅基・森江勇悟・吉田敦
足柄の土肥の河内に出づる湯の世にもたよらに子ろが言はなくに。これは日本最古の和歌集である万葉集の中の一句である。たそがれに咲ける蜜柑の花一つ老ひの眼にも見ゆ星の如くに。晩年の谷崎潤一郎が残した一句である。1000年以上の時を超えて詠われたこの2つの詩には共通点がある。それは伊豆大島を眺望できる広大な海、黄色い柑橘の宝石が散りばめられた青々しい山に囲まれた微かに硫黄の香る温泉街、湯河原を舞台に詠われた詩ということである。弘法大師が発見したともいわれる湯河原温泉はやわら湯とも評され、単純アルカリ泉の肌に優しい湯として古来より愛されてきた。明治期には谷崎潤一郎、夏目漱石他、名だたる文豪が訪れ多くの作品の舞台になるほど、有名な温泉地である。しかし、2019年現在、その知名度はかつてよりも下がり、観光客数も2003年以降減少し続けている。
湯河原町の発展の方針をまとめた湯河原町総務部地域政策課企画係(2011)に、観光を湯河原町の主たる産業とすると書かれているだけに、早急な対応が重要である。すでに湯河原町は観光産業の衰退に対策を講じており、2010年に周辺の観光地との連携を推奨する観光圏を設定し観光客数の増加を図った。観光圏認定により、国の補助をはじめとする各種支援制度を活用し、観光客の誘致、宿泊滞在や回遊の促進に向けた広域誘客事業の強化が可能になった。しかしながら、入込観光客数や宿泊客数は依然として減少傾向にあり、観光圏整備による効果が見られなかった。多数の観光圏が観光客数の増加につながっているだけに、湯河原町は湯河原町を含む効果的な観光圏の再編成をすべきである。
奥村、塚井(2008)は、相互連携が有効な観光地の組み合わせを見出し、観光圏を設定できれば、相乗効果によって集客力を高められるとしつつも、温泉を持つ観光地同士は競合効果を生むことがあると述べている。また、石橋他(2013)は湯河原町が参加するこの観光圏では主体間で足並みが揃わず、広域観光振興による効果が明確には認められない、圏内のある地域に観光客が来ても圏内のその他の地域に移動することがなかなか認められなかったと述べている。さらに、観光庁(2018a)は観光圏の区域について、観光地間の密接な関係に加え、消費者の動線やニーズを勘案する必要があると述べている。
このように、ただいたずらに観光圏の制定をするのではなく、観光圏は競合関係や周遊を意識した制定が重要になってくる。これらの競合関係や周遊を考慮した湯河原を含む観光圏制定を検討する論文はまだない。
本稿は、湯河原町の観光産業は湯河原町、熱海市、伊東市、三島市、沼津市、伊豆の国市を包括する観光圏を定め、滞在促進地区として機能することで発展することを示す。その結論を導くために、第1部で湯河原町の現状や課題を説明し、第2部で競合関係や周遊を考慮した湯河原町を含む観光圏の検討をおこない、第3部でその観光圏の中で湯河原町が機能する方策を考察する。
目次
はじめに
第1部 湯河原町について
1-1 基本情報
1-2 湯河原町の課題
1-3 湯河原町行政の対策
第2部 観光圏と湯河原町
はじめに
1 観光圏について
1-1 観光圏とは
1-2 観光圏の事例
1-3 観光圏制定時の留意事項
2 想定する観光圏と制定理由
第3部 滞在促進地区と湯河原町
はじめに
1 滞在促進地区について
1-1 滞在促進地区とは
1-2 滞在促進地区の事例
2 湯河原町と滞在促進地区
2-1 湯河原町が滞在促進地区になりうる理由
2-2 湯河原町を滞在促進地区として機能するには
おわりに
参考文献
参考文献
ウェブサイト内の資料については、記載されているURLでのリンクを2019年11月20日時点で確認しました。その後、URL が変更されている可能性があります。
三田祭論文作成にあたり、ご協力いただいた竹内賢志郎さん、竹中大貴さん、把田賢吾さん、八木岳人さんありがとうございました。
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実際に湯河原町で観光
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湯河原の足湯で疲れをとりました
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湯河原の歴史ある街並みに触れました
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有名な熱海のビーチにも行きました
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不動滝で大興奮
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湯河原の温泉街を散策
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湯河原の祭りは賑わっていました
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湯河原の花火大会にも行きました
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論文全文(ゼミ関係者のみダウンロード可)
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