三田祭論文
三田祭論文

慶應義塾大学経済学部
大平 哲研究会
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豊橋市のコンパクトシティ政策

土屋宥仁・早瀬陽平・山田あかり・六郷友太

2025年問題をご存知だろうか。それは全人口の3分の1が65歳以上という未曾有の超高齢化社会がひき起こす、日本の社会システムを根底から揺るがす問題である。とくに、社会システムの1つであるまちのインフラは高度経済成長期に整備されたものが多く、今となっては人口規模に見合っていないため、維持費がかさみ、現状を維持することはきわめて困難となる。かぎられた資源の中で、人口規模に合った合理的な都市の形を探すことが急務である。

こうした問題を解決できる手段としてコンパクトシティという都市構造が注目されている。コンパクトシティとは行政、商業、医療施設などさまざまな機能を近隣に集めた集約型都市構造のことである。海道(2007)はコンパクトシティが持つべき空間的基本要素やコンパクトシティに期待する効果をまとめている。日本全国の地域でコンパクトシティ政策はおこなわれているが、コンパクトシティの形は都市によってさまざまである。

愛知県豊橋市においても人口減少や少子高齢化の問題を抱えており、対策としてコンパクトシティ政策の実現に向けて力をいれている。コンパクトシティが実現すれば自動車を用いずとも徒歩や公共交通機関で快適に暮らせる都市が誕生するが、中心市街地から離れた地域の拠点以外に住む住民にとってはあまり魅力を感じることがない政策となってしまう。そのため、人口密度や施設の有無を見きわめながら地域拠点を多くの市民が利用できるような場所に設置することが重要である。

村木(2015)は暮らす上で必要とされる諸機能を集約化させ、その周辺に人口を集約する都市づくりが求められていると述べている。その都市づくりに関して、石原、服部、野嶋 (2014)、小澤、高見、原田(2017)の地域拠点に着目した都市構造についての研究がある。しかしながら、実際の地方都市でどこに拠点を作りどこに人口を誘導すべきかについては議論の対象にしていない。また、豊橋市(2018)では豊橋市における地域拠点の設定について記述しているものの、豊橋市南部には地域拠点がなく、豊橋市の地域拠点の適正な場所に焦点をあてた研究や議論はない。

本稿では豊橋市はコンパクトシティ実現のため、新たに豊橋技術科学大学周辺に地域拠点を設定すべきであるということを示す。豊橋市がすすめているコンパクトシティ政策を他都市の事例も交えながら分析し、豊橋市に提言することを目的とする。1節では豊橋市の現状とコンパクトシティの定義について説明する。2節では国内のコンパクトシティの事例と豊橋市のコンパクトシティ政策について述べ、コンパクトシティ政策において重要となる地域拠点について説明する。3節では豊橋市の地域拠点の説明をし、比較分析をおこなう。4節では分析の結果を踏まえ、豊橋市のコンパクトシティ政策に対して提言をする。

論文のフロー図

目次
はじめに
1 基本情報
 1-1 豊橋市の概要
 1-2 コンパクトシティについて
2 コンパクトシティと地域拠点について
 2-1 多核型のコンパクトシティの事例
 2-2 豊橋市のコンパクトシティについて
 2-3 地域拠点について
3 評価分析
 3-1 豊橋市の地域拠点について
 3-2 比較分析
4 豊橋市への提言
おわりに
参考文献

参考文献
ウェブサイト内の資料については、記載されているURLでのリンクを2019年11月20日時点で確認しました。その後、URL が変更されている可能性があります。

三田祭論文作成にあたり、ご協力いただいた安達綾香さん、竹内賢志郎さん、中村陸生さん、松永萌さん、三宅聡一朗さんありがとうございました。

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