三田祭論文
三田祭論文

慶應義塾大学経済学部
大平 哲研究会
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北陸新幹線敦賀延伸による福井県への影響

内山航太朗・北原彩帆・鈴木篤・竹内賢志郎

東尋坊、永平寺、恐竜博物館、芦原温泉などの観光資源を有する福井県は、北陸3県の中でもっとも西に位置する県である。東京・福井間は鉄道を乗り継ぎ3時間25分かかりアクセスが悪く、同じく関東からのアクセスも悪かった。そのため、関東から訪れる人は多くなかった。しかし、北陸新幹線が金沢駅まで延伸したことにより、関東から福井県への入込客数は2014年の約32万人から2015年には約44万人に増加した。2022年には北陸新幹線が福井県の敦賀まで延伸することが決定している。東京・福井間は2時間50分に短縮し、さらなる入込客数増加への期待がある。

新幹線延伸は時間短縮効果、運賃収入増加のようなプラスの経済効果をもたらす一方、多額の建設費、ストロー効果のようなマイナスの経済効果をもたらす可能性もある。新幹線の建設事業はプラスの効果がマイナスの効果を上回らなければ全体として有効であるとはいえない。

新幹線の建設を計画するとき、その事業が有効かを評価するために費用便益分析をおこなう。費用便益分析は、事業を効率的かつ効果的にすすめるためのものであり、社会・経済的な面から事業の有効性を評価することができる。De Rus and Inglada(1997)は1992年に開業したスペインのマドリードとセビージャを結ぶ高速鉄道事業を事後評価し、建設する側は1987年に工事を開始すべきではなかったという結論に至っている。国土交通省鉄道局(2012)は北海道新幹線の新函館・札幌間の整備新幹線計画を事前評価し、その計画が建設する側にとって有効であるという結論を出している。敦賀延伸の事前評価も国土交通省鉄道局(2012)がおこなっている。国土交通省鉄道局(2012)は、敦賀延伸が事業全体として黒字であると結論づけているが、これは福井県にとって有効であるかを分析したものではない。

本稿では、費用便益分析の結果、福井県は北陸新幹線延伸に向け、現状おこなっている観光面だけではなくビジネス面での取り組みをするべきであることを示す。1節では福井県と北陸新幹線の概要について説明する。2節では北陸新幹線の敦賀延伸について費用便益分析をおこない、便益が費用を超える新幹線利用者数増加の条件を示す。3節では分析結果を踏まえて、延伸効果の持続のために、延伸当初の話題性やシーズンに左右される観光客だけではなくリピート率の高いビジネス客を増やすための取り組みを提言する。

論文のフロー図

目次
はじめに
1 福井県について
 1-1 福井県の概要
 1-2 北陸新幹線について
2 敦賀延伸の費用便益分析
 2-1分析手法
 2-2 国土交通省のデータに基づいた分析結果
3 福井県での効果持続
 3-1 福井県内での延伸に向けた取り組み
 3-2 効果持続のための提言
おわりに
参考文献

参考文献
ウェブサイト内の資料については、記載されているURLでのリンクを2016年11月16日時点で確認しました。その後、URL が変更されている可能性があります。

三田祭論文作成にあたり、ご協力いただいた入江勇樹さん、小林亮介さん、小山樂久さん、樋口赳也さんありがとうございました。

目黒川でお花見 北陸経済研究所の前で
皆さん慶應OBです 地元企業を見学
聞き取り後の飲み会 恐竜博物館にいきました
越前そばとソースかつ丼 夏合宿にて

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