三田祭論文
三田祭論文

慶應義塾大学経済学部
大平 哲研究会
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金沢市中心街における買い物弱者と公共交通

芥川雄平・梶波晶子・中松拓也・渡邉雄一郎

東京に住む人々が買い物にいくことに苦労することはあるだろうか。東京には徒歩や自転車でいける範囲にコンビニやスーパーが数多く存在する。たとえコンビニやスーパーが近くになくとも、鉄道や路線バスが張り巡らされているため移動に不便を感じる人は少ないはずである。つまり東京に住む人々が買い物にいけずに困ることは少なく、買い物ができることをあたりまえと感じてしまう。しかし、買い物が不自由なくできる社会はあたりまえなものだろうか。

石川県金沢市は人口46万人を抱える北陸有数の都市である。前田家ゆかりの金沢城や兼六園、城下町の色を強く残した茶屋街など観光地が多くあり、観光都市としてにぎやかな都市である。2015年には北陸新幹線が開業し、将来の経済発展も見込まれる。

金沢市では商業施設が郊外に進出し中心街の空洞化が発生しているため、中心街に住む人々は家から遠くの店へ買い物にいかなければならない。高齢化もすすんでおり、自動車を運転できない人口が増えている。さらに大型路線バスがはいることのできない狭い道が数多く残っているため、公共交通空白地域が存在する。つまり金沢市中心街には買い物弱者が多く存在している。金沢市における買い物弱者の現状については、金沢市経済局商業振興課(2011)や芥川、梶波、中松、渡邉(2012)がまとめている。

金沢市は買い物弱者を救う公共交通として、1999年にふらっとバスというコミュニティバスを導入した。ふらっとバスは狭い道でも走ることができること、高頻度なダイヤで運行されることから住民のモビリティ向上に貢献してきた。しかし、ふらっとバスを導入した今も公共交通空白地域は残る。こうした状況を解消する新しい公共交通として注目を集めているのがデマンド交通である。デマンド交通とは利用者の予約に合わせて運行を決定し、1度の運行で複数の利用客を乗せる乗り合い方式を基本とした公共交通である。

金沢市都市政策局交通政策部交通政策課(2007)は公共交通空白地域の解消をはかるための政策を示しているが、事業にかかる費用や発生する便益には注目していない。本稿ではふらっとバス、デマンド交通による公共交通プロジェクトを複数想定し、費用便益分析により評価する。そして買い物弱者を救うにはふらっとバスとデマンド交通を併用するケースがもっとも有効であることを示す。

結論を導くために1節では金沢市の概要と交通事情を記述する。また金沢市における買い物弱者や買い物支援サービスについて説明する。2節では金沢市を運行するふらっとバスと新しい公共交通として注目されるデマンド交通について記述する。3節では複数想定した公共交通プロジェクトについて費用便益分析をおこない評価する。
論文のフロー図

目次
1 金沢市について
 1-1 金沢市の概要
 1-2 金沢市の交通事情
 1-3 買い物弱者について
2 地域のための公共交通
 2-1 コミュニティバスの概要
 2-2 ふらっとバスの概要と課題
 2-3 デマンド交通の概要
3 公共交通改善プロジェクト
 3-1 計算の前提
 3-2 費用便益分析
おわりに
参考文献

参考文献

ふらっとバス 梶波宅にてサブゼミ
公民館にて 市役所にて
松本さんと大野さんと 東茶屋街

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