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商業資本としてのインターネット通販事業の役割 |
概要 |
情報通信機器が普及に伴って発展してきたインターネット通信販売産業が資本主義社会にどのような影響を与えたのかを考えるため,そのビジネスモデルに関する先行研究を紹介する。この先行研究で課題とされた「新しいビジネスモデルが顧客側の満足度や効用価値をいかに企業側の価値実現や価値達成に転換させているか」についてマルクス経済学の見地から検証し,それが商業資本としてどのような役割を担い,いかにして産業資本と連携しているかを考察する。 |
主要参考文献 | 延近充『21世紀のマルクス経済学』2015年,慶應義塾大学出版会 尾原 和啓 『ITビジネスの原理』2014年,NHK出版 根来 龍之 『プラットフォームの教科書』2017年,日経BP社 劉 鵬、李 東浩 『日本大手通販企業:アマゾンと楽天の比較研究 ―ビジネスモデルと顧客価値の最大化に関する定量分析―』(流通科学大学論集―流通・経営編―第 29 巻第 1 号,13-36,2016年) 村上 研一 『流通費・商業資本と平均利潤率,再生産』(商学論纂(中央大学)第56巻第 3 ・ 4 号,2014年11月) |
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日本の少子化はなぜ解決しないのか |
概要 |
日本の少子化は何が問題なのか、また何故20年以上も問題とされているにもかかわらず改善される見込みがないのかを分析視角に、第1章でそもそも少子化とはどのような現象なのかを明らかにしたのち、日本の少子化の現状を様々な角度から分析し、第2章で少子化を引き起こす原因と少子化の問題は何かを探り、第3章では少子化が解決しない原因を諸外国と比較しながら論じる。 |
主要参考文献 | 延近充『21世紀のマルクス経済学』2015年,慶應義塾大学出版会 堀井光俊『「少子化」はリスクか』2011年,秀明出版社 大淵寛、高橋重郷『少子化の人口学』2004年,原書房 松田茂樹『少子化論―なぜ結婚・出産しやすい国にならないのか―』2013年,勁草書房 |
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日本農業の発展のために ―日本農業における衰退の要因分析― |
概要 |
TPPをきっかけに日本農業の産業としての競争力の低さに疑問を感じ、その衰退の原因と発展のための方策について考察した。 その要因としては、戦後日本が農業に求めた目的は自国需要を満たすことであったが、日本経済が輸出による成長に依存する中で農業が国際自由化貿易に巻き込まれたため、その自由化に対応しきれなかったことだと考えた。 そして、日本農業発展のためには農地流動化の進展と、高付加価値農産物の生産を行って海外に勝てる農産物を生産していくことと考えている。 |
主要参考文献 | 延近充『21世紀のマルクス経済学』2015年,慶應義塾大学出版会 北出俊昭『日本農政の50年 食料政策の検証』2001年,日本経済評論社 冨田洋三「農業政策の変遷と農業問題」(『実践女子大学生活科学部紀要』第50号,2013年) |
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生命保険業界の現状とこれから |
概要 |
生産労働人口の減少や人口の高齢化が不可避なものとなる今後において、保険業界の市場は縮小していくのではないかと言われている。そこで、この論文では、生命保険業界が直面する現状を分析し、そこで明らかになった、保険・金融の両業務の課題に対して、それらを克服・解決するための方策について具体的に述べるとともに、今後の社会・経済において生命保険業が果たしていくべき役割についても考察していく。 |
主要参考文献 | 村上賢二『2025年における民間保険の役割り』(株式会社きんざい,2014年) ニッセイ基礎研究所『概説 日本の生命保険』(日本経済新聞出版社,2011年) 神作裕之・小野傑・今泉宣親『資産運用の高度化に向けて―インベストメント・チェーンを通じた経済成長』(株式会社きんざい,2017年) |
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日本の半導体産業の歴史と今後 |
概要 |
かつて日本の半導体産業は世界においてトップシェアを誇っていた。しかし、1990年代以降、アメリカ・韓国の同産業に逆転を許してしまった。本論文では、日本、アメリカ、韓国の半導体産業の発展の歴史を読み解くことで、日本の半導体が他国に逆転を許してしまった要因を探る。論文内での考察の結果、日本企業には「目先の利益確保に囚われすぎている」という問題点があることが分かり、半導体産業再興のためにはイノベーションを促進するような「未来への投資」が必要不可欠であるという結論を得た。 |
主要参考文献 | 伊丹敬之『日米半導体産業の比較研究ー逆転のダイナミズムー』NTT出版,1988 井村喜代子『現代日本経済論』有斐閣,1993 延近充『薄氷の帝国アメリカ』御茶ノ水書房,2012 |
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原子力発電の再稼働を考える |
概要 |
序章で原子力発電とはどういう発電方法であるかについて簡単に説明した後、1章ではなぜ原子力発電が日本に導入されまた普及していったのかというテーマで原発が日本に導入されてきた歴史に触れる。次に2章で「原発が安くて環境への負担がすくない」というよく耳にするキャッチフレーズが本当に正しいのかを検討する。最後に3章において日本の脱原発が進まない要因について論じていく |
主要参考文献 | 伊東光晴『原子力発電の政治経済学』(2013年,岩波書店) 熊本一規『脱原発の経済学』(2011年) 『原発・正力・CIA 機密文書で読む昭和裏面史』(新潮新書,2008年) |
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日本経済の構造変化と新卒一括採用に関する協約の検討 |
概要 |
「採用選考に関する指針」が持つ役割について、研究会で学習した「日本経済の構造変化」という視点を用いながら明らかにする。第1.2章では「採用選考に関する指針」の前身であり戦後から43年間維持された就職協定の変化とそれを規定する日本経済の構造変化を捉えることで、協定や指針の役割を明らかにしていく。そして第3章では「新規一括採用の合理的遂行」という就職協定の役割とアベノミクスの日本再興戦略を踏まえながら、「採用選考に関わる指針」が持つ成長戦略の一面としての役割について明らかにする。 |
主要参考文献 | 井村喜代子 『現代日本経済論』 有斐閣 2000年 福井康貴 『歴史のなかの大卒労働市場』 勁草書房 2016年 藤田実 『戦後日本の労使関係』 大月書店 2017年 |
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日本におけるワークシェアリングの可能性―長時間労働問題是正に向けて― |
概要 |
近年、日本では長時間労働による過労死が社会的な問題になっている。これに対して政府は罰則付きの残業時間 の規制を設けるなどの計画をまとめたが、このようにただ労働時間を削るだけでなく、ほかの労働者と仕事を分かち あう「ワークシェアリング」を導入し、多様な働き方を認めることが重要であると考える。高度経済成長期以降の経済と労働との関わりから日本に古くから根ざしている労働、雇用の問題を探り、ワークシェアリングの類型や実例を挙げながら、日本でどのようにしてワークシェアリングを実行するのかを検討する。 |
主要参考文献 | 井村喜代子、『現代日本経済論』、有斐閣、1990年 脇坂明、『日本型ワークシェアリング』、PHP新書、2002年 石水喜夫、『日本型雇用の真実』、ちくま新書、2013年 |
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プラットフォーム企業の成長により可能となったシェアリングエコノミーとその今後 |
概要 |
今シェアリングエコノミーが普及している背景には、プラットフォームという形で個人間の取引の間を取り持つ企業の台頭があり、プラットフォームと言われる役割を運営する企業が近年さらなる成長をし続けている。この論文では、プラットフォームを運営する企業がどういった仕組みを持っていてどのような戦略であり、利益を出しているのか、そういった企業が台頭してきたのにはどういった背景があるのか、またその中で可能となったシェアリングエコノミーとはどういったもので、過去の事象と何が違うのかを明らかにし、これからどのような変化が起きてくるのかを考察していく。 |
主要参考文献 | アルンスンドララジャン 門脇弘典 『シェアリングエコノミー』 日経BP社 2016年 平野敦カール 『プラットフォーム戦略』 東洋経済新報社 2010年 出井伸之 『進化するプラットフォーム グーグル・アップル・アマゾンを超えて』 角川学芸出版 2015年 |
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イラク戦争に見るアメリカの帝国主義-日本の取るべき行動 |
概要 |
イラク戦争に焦点をあててアメリカの世界戦略・帝国主義について論ずる。イラク戦争に至るまでのイラク史を整理し,イラク戦争に至った理由,その正当性を延近先生の説とその他参考文献の説を比較検証する。また,イラク戦争と日本の関係についても言及することで当時の日本外交の性格を明らかにして今後日本がどのように外交の舵を切っていくべきなのかを提言する。 |
主要参考文献 | 延近充『薄氷の帝国アメリカ 戦後資本主義世界体制とその危機の構造』 御茶の水書房 2012年 保坂修司『イラク戦争と変貌する中東世界』山川出版社 2012年 寺島実郎 小杉泰 藤原帰一『イラク戦争 検証と展望』岩波書店 2003年 |