延近研究会 卒業論文概要
(第25期生)

慶應義塾大学経済学部  延近研究会卒業生の卒業論文の概要と主要参考文献です。
卒業論文とともに提出された本人作成の概要を
原文のまま掲載しています。

市川 泰葉

テーマ

歴史的事象からみるセクシャルマイノリティと現代日本社会

概要

2015年11月渋谷区において同性パートナーシップ条例が設けられた。
LGBTに対し理解を示そうとする動きもあれば、同性婚や同性愛に対し反対の声もみられる。
本論文では同性婚が合法化されたアメリカの歴史的背景と、日本における差別とその歴史をたどることで
歴史的事象の中で日本人が持つようになった差別意識を再考し、その中でLGBTという問題に我々はどのように向き合うべきなのか日本社会のあるべき姿について考えを述べる。
主要参考文献 ジョージ・チョーンシー(2006)『同性婚-ゲイの権利をめぐるアメリカ現代史』明石書店
黒川 みどり 藤野 豊 (2015) 『差別の日本近現代史』岩波書店

橘和 大海

テーマ

原盤ビジネスからみる日本の音楽産業の現状とこれから

概要

第1章では本論文における音楽産業を定義すると共に原盤の歴史に触れ、さらには音楽産業の現状について述べる。第2章では音楽産業のCD不況の原因を探るため「人口動態」について音楽産業との関係性などを分析し考察する。第3章では音楽産業のCD不況の原因に関わる外部環境について、日本経済、価格制度、社会の視点から述べる。第4章では有料音楽配信サービスなどをはじめとする音楽産業におけるデジタル技術革新について述べる。第5章では、これまで述べた原盤ビジネスの衰退に対して右肩上がりのコンサートやライブのビジネスについて述べ、おわりにという部分で今後の音楽産業の再成長に向けた展望を述べる。
主要参考文献 『音楽産業 再成長のための組織戦略』, 八木良太, 東洋経済新報社, 2015年
『少女時代と日本の音楽生態系』, 三浦文夫, 日本経済新聞出版社,2012年
『音楽ビジネス 仕組みのすべて』, 湯浅政義, オリコンエンタテインメント, 2004年
『一般社団法人日本レコード協会』 http://riaj.or.jp/f/data/annual/index.html (2016年11月30日アクセス)

柴垣 彩佳

テーマ

アメリカと日本の航空産業における規制緩和の考察 ーLCCは日本で成功するのかー

概要

日本の航空産業は現在、激動の変化を遂げている。その中でもっとも大きな変化といえるのが、LCC(Low Cost Carrier)の市場への新規参入である。LCC参入に至るまでは、産業保護のため厳しく規制されていた時代から、段階的な規制緩和が行われるなど様々な過程が存在する。本論文では、航空産業の規制緩和が世界で初めて行われた米国と日本がそれぞれたどってきた航空産業の規制緩和の歴史を、当時の経済状況と照らし合わせながら紐解いていく。両国における航空産業規制緩和の帰結を踏まえ、日本で現在新規参入してきているLCCの発展可能性について論じる。
主要参考文献 延近充『薄氷の帝国アメリカ』御茶の水書房(2012)
井村喜代子『現代日本経済論〔新版〕』 有斐閣 (2000)
宮田淳『航空産業における規制緩和と競争政策』明海大学経済学論集 第10巻第1号 (1998)

辻 美貴子

テーマ

日本の医療が進むべき道とは −かかりつけ医による病院の機能分化の推進ー

概要

日本の医療制度を調べがそれぞれ抱える問題点と、それらの制度を維持する重要性について考察する。国民皆保険制度は所得や年齢による格差がなく誰もが公平に医療を受けられる制度だが、公費の負担が大きいためこの先も維持していくには他の医療制度の改革によって医療サービス供給の効率化を図ることが重要である。
イギリスのかかりつけ医制度を例に挙げ、日本の診療所にもかかりつけ医としての役割を強化させることで、医療サービス供給が効率的になり高齢化が進んでいく日本の医療制度をスムーズにしてくれると考察した。
主要参考文献 河口洋行(2009)『医療の経済学』
小林秀和(2005)『日本の医療保険制度と費用負担』
住居広士(2000)『アメリカ社会保障の光と影』

戸森 大地

テーマ

日本経済長期停滞の要因とアベノミクス第3の矢の検討

概要

 『失われた20年』と呼ばれる現代日本経済の長期停滞の要因を検討し、長期不況を突破するために必要な要因を探るのが本論文の課題である。。まず、日本経済の長期停滞の要因を指摘している説を取り上げそれを検討したのち、本稿がどのような視点で日本経済の長期停滞をとらえているのか明らかにする。次に「失われた20年」と言われる経済長期停滞の要因を戦後の歴史的視点から読み解く「構造変化説」を説明していく。最後にマルクス経済学の視点を用いて、今現在の不況を突破する要素を考察していく。
主要参考文献 ・「21世紀のマルクス経済学,延近充,慶應義塾大学出版会,2015
・「バランスシート不況下の世界経済,リチャード・クー,徳間書店,2013
・「現代日本経済論 敗戦から『経済大国』を経て」,井村喜代子,有斐閣,1993

萩原 将

テーマ

「対テロ戦争」が世界にもたらしたもの

概要

本論文の目的は、9.11同時多発テロに起因する、アフガニスタン・イラクにおけるアメリカの「対テロ戦争」がなぜ長期化・泥沼化していったのか。そして、「対テロ戦争」が世界に何をもたらしたのかを明らかにすることである。
そして最後に、今後世界が解決しなければならない課題と、この問題に対して日本政府が出来ることを明確にし、論じる。
主要参考文献 延近充 『薄氷の帝国アメリカ』 お茶の水書房 2012
延近充 『21世紀のマルクス経済学』 慶應義塾大学出版会 2015
山尾大 『紛争と国家建設-戦後イラクの再建をめぐるポリティクス』 明石書店 2013

増 はゆき

テーマ

グリーン・ニューディール政策の効果‐アメリカは停滞基調から脱出できるのか‐

概要

第45代アメリカ合衆国大統領選挙が注目を集め、日本でも度重なる報道がなされたが、2回の任期を務めあげたオバマ大統領の政策の成果についてはあまり報道がなされていない。そこで、オバマ大統領が実施した短期的な政策の効果にも触れながら、それらとは違い長期的な目的をもって実施されたグリーン・ニューディール政策について、それがもたらした効果および今後もたらす可能性のある効果を独占資本主義論の考え方に基づき検証する。
主要参考文献 延近充,『薄氷の帝国アメリカ』,御茶の水書房,2012
山家公雄,『オバマのグリーン・ニューディール』,日本経済新聞出版社,2009
萩原伸次郎監修,『米国経済白書2014』,蒼天社出版,2014
萩原伸次郎監修,『米国経済白書2015』,蒼天社出版,2015

光富 洸介

テーマ

アベノミクスにおける金融緩和政策の理論的検討

概要

第二次安倍晋三政権によってアベノミクスと呼ばれる経済政策が打ち出された。その内容は「大胆な金融政策」「機動的な財政政策」「成長戦略」で構成される「三本の矢」である。本論ではリフレーションの考えに基づいた「大胆な金融政策」に焦点を当てていく。
第1章で,金融政策が歴史的にどのように変化してきたかをその経済的背景とともに述べ,「大胆な金融政策」がどのような立ち位置にあるのかを整理し,第2章では,アベノミクスの理論的支柱であるリフレ派が,どのような理論に従って政策を推し進めているのかを紹介していく。そして第3章で,理論的には正しく思えるリフレ派による金融政策が,何故効果を現さないのかを明らかにするため,検討,批判を行う。
主要参考文献 延近充,『21世紀のマルクス経済学』,慶應義塾大学出版会,2015
熊倉修一,『中央銀行と金融政策』,晃洋書房,2013
岩田規久男,浜田宏一,原田泰,『リフレが日本経済を復活させる―経済を動かす貨幣の力』,中央経済社,2013

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