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「コンビニエンスストアのフランチャイズシステムが抱える問題」 〜本部と加盟店の共存共栄は目指されているのか〜 |
概要 |
コンビニエンスストアの売上高が、2008年初めて百貨店をぬいた。 しかし、華々しい面だけが表面化していて、実はコンビニ本部と加盟店の間では問題が多発していて、訴訟にまで発展しているものもある。その問題の根源にあるものが、コンビニの店舗数拡大を後押ししてきた『フランチャイズシステム』だと私は考えた。 本部だけが儲かるシステムと、立場の弱さから働いても働いても儲からないオーナー。フランチャイズからの恩恵は、双方の間で全く違うものだった。 フランチャイズシステムの実情を把握し、今後どうして行けば、加盟店が目指しているという、加盟店との共存共栄が可能になるか、考えていきたいと思う。 |
主要参考文献 | 井村喜代子『現代日本経済論』 有斐閣 月刊ベルダ編集部『コンビニ 不都合な真実』 KKベストブックス 根城秦『コンビニ業界の動向とカラクリがよ〜く分かる本』 秀和システム |
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株式持合の形成と今後の三角合併 |
概要 |
三角合併が解禁になり,外国資本からの乗っ取りを防止するため,安定株主を確保する「株式持合」が復活すると言われている.「株式持合」がどれ程,会社経営に有効なのか. 序章でそもそも株式会社とは何か,株式持合の本質と意義,持合による変化を分析する. 第1章は日本経済の発展の中で株式会社の役割,株式の保有動向,持合の形成を丁寧に,分析する. 第2章では,三角合併の構造の理解から始める.次に序章,第1章の株式持合の特徴を踏まえ,三角合併によりいかに株式所有に影響が出るのかを議論したい. |
主要参考文献 | 井村喜代子『現代日本経済論』 有斐閣 2005年 北原勇 『現代資本主義における所有と決定』 岩波書店 1984年 奥村 宏 『会社はどこへ行く』 NTT出版 2008年 |
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雇用格差からみる日本における人材派遣の行く末 |
概要 |
日本における人材派遣という雇用形態を考える。まず、雇用形態の多様化が進んだ背景と派遣業の歴史を説明し、女性・スポット・団塊・製造業の4種の派遣について現状を分析する。 さらには、アメリカ・イギリスにおける派遣の歴史と日本における派遣業を比較検討する。 そして、労働ビックバンや労働者派遣法の規制強化の是非といった問題を本採用者と非正社員との間の格差等を含め考え、最終的に労働者・企業側・国の三者のすべきこと、課題は何かを論じる。 |
主要参考文献 | 井村喜代子 『現代日本経済論』 有斐社 1993年 デヴィッド・ハーヴェイ 『新自由主義 その歴史的展開と現在』 作品社 2007年 門倉貴史 『派遣のリアル』 宝島社新書 2007年 |
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大店法の規制緩和と中小小売業 |
概要 |
近年の中小小売業の業況の悪化や縮小を、大店法の規制緩和との関係から論じています。中小小売業の近年の縮小は大店法の規制緩和にその主因があると見て考察を進めました。大店法の規制緩和がもたらした中小小売業への影響、中小小売業の存在意義などを見ていき、以上のことから大店法の規制緩和が妥当なものであったのかを検討するという内容になっています。 |
主要参考文献 | 坂本秀夫『大型店出店調整問題』信山社 1999年 番場博之『零細小売業の存立構造研究』白桃書房 2003年 加藤義忠『小売商業政策の展開』同文館出版 2006年 |
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教育格差と階層固定化〜貧困の再生産について〜 |
概要 |
学歴と所得、親の所得と子供の学力、それらに強い関連があることを各種統計などを用いて示し 高所得者層の子供たちと低所得者層の子供たちが義務教育段階で切り離されていること、 低所得者層の子供たちがよい教育を受けられず結果として低学力・低学歴に甘んじている現状を考え 今後の対策について論じる。 |
主要参考文献 | 小林雅之 『進学格差 深刻化する教育費負担』 ちくま新書 2008年 堤 未果 『ルポ貧困大国アメリカ』 岩波新書 2008年 荒井一博 『学歴社会の法則 教育を経済学から見直す』 光文社新書 2008年 |
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日本における排出量取引の実効性 〜企業の経済活動と地球温暖化対策は両立するのか〜 |
概要 |
現在,環境問題として地球温暖化問題が絶えず叫ばれている.その中で,地球温暖化の最も人為的原因とされている温室効果ガスの排出削減は日本では国家・企業・個人の共通した目標として浸透している.その状況下で,本格的な運用が開始され始めようとしているのが本論分のテーマである,排出量取引である.この制度は果たして日本において機能し,企業の経済活動と地球温暖化対策として温室効果ガスの削減を両立させることが出来るのか,論じたい. |
主要参考文献 | 山口光恒『地球環境問題と企業』岩波書店 2000年 R・K・ターナー他『環境経済学入門』東洋経済新報社 2001年 三浦永光『国際関係の中の環境問題』有信堂高文社 2004年 |
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オイルピークに備えて〜エネルギー政策と経済の面から〜 |
概要 |
石油の生産量が消費量に追いつかなくなることをオイルピークと言います。 そのような時代が到来すると原油価格は高騰し、経済に影響をきたすことは間違いないでしょう。 そこで、そのような時代に備えるために、エネルギー政策と経済の面から見ていきます。 エネルギー政策の面からは新エネルギーなどの石油代替エネルギーについて第1章〜第3章まで論じ、 経済の面からは第4章で過去の「石油ショック」から学びどのような経済政策が有効であるのかを論じます。 |
主要参考文献 | ジェレミー・レゲット 『ピーク・オイル・パニック』 作品社 2006年 マシュー・R・シモンズ 『投資銀行化が見たサウジ石油の真実』 日経BP社 2007年 井村喜代子 『現代日本経済論』 有斐閣 1993年 |
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日本におけるベンチャーキャピタルの現状と展望‐日米比較を通じて‐ |
概要 |
アメリカではグーグル、マイクロソフトのような創設してまもないベンチャー企業が現在ではアメリカを代表する会社になっているのに対し、日本ではソニー、ホンダのような昔からある企業が日本を代表する企業であり、中々ベンチャー企業が誕生し、発展する話を聞かない。この背景には日米でベンチャー企業をサポートしていく環境が違うのではないか、またそれはなぜ違うのかと疑問に思ったことが始まりである。本論文では日本におけるVCについての歴史や仕組みについて、日米の比較を交えつつ述べた上で、IRRを分析し、今後VCがどのような方向性に進んでいくべきかというのを提示していきたい。 |
主要参考文献 | 神座 保彦『「概論」日本のベンチャーキャピタル』 ファーストプレス 2005年 浜田康行『日本のベンチャーキャピタル』 日本経済新聞社 1996年 松田修一『ベンチャー企業の経営と支援』 日本経済新聞社 2000年 井村喜代子『現代日本経済論』 有斐閣 2005年 |
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世論の形成と格差社会の関係性 |
概要 |
本論文では、「格差社会の上層の人々が、現在の世論を誘導している」という仮説を立て、検証していくことを目的とする。1980年代以降における日本の社会構造が、格差を拡大させ、その格差が原因となって、世論に影響を与えているのではないか、という疑問を抱いたからである。ただし、ここでの研究対象は、「何らかの意図を持って世論を誘導している可能性がある、と考えられるケース」に限定することとする。 |
主要参考文献 | 井村喜代子 『現代日本経済論』 有斐閣 1993年 橘木俊詔 『格差社会―何が問題なのか―』 岩波新書 2007年 佐藤卓巳 『輿論と世論―日本的民意の系譜学』 新潮社 2008年 |
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成果主義の構造的問題と改善案 |
概要 |
近年日本において様々な社会システムが変化を遂げ、また遂げようとしている。賃金制度においてもそれは例外ではなく、年功序列の賃金制度から成果主義による賃金制度へと舵をきったと思われた時代の流れは、再び見直す方向に向かい始めている。年功序列制度と成果主義制度のそれぞれの歴史と特性を考察し、成果主義制度の構造的な罠に迫ると共に、いかに成果主義を改善すればよいのか、分析する。 |
主要参考文献 | 井村喜代子『現代日本経済論』有斐閣 2000年 城繁幸『日本型「成果主義」の可能性』 東洋経済社 2005年 |
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日本のODA―問題点とこれから― |
概要 |
日本は1990年代を通じて世界最大の供与国であった。現在では第5位であるが、これまでに諸援助国の中でも多額の資金供与をし、様々な国々を経済発展へと導かせたとされている。 では日本の援助は資金額と比例して役に立ってきているのか。そもそもなぜ援助をするのか、そこに残されている問題点や課題は何か、今後日本はどのように途上国に援助をし付き合っていくのか、本論文を通じて考察していきたいと思う。 |
主要参考文献 | 村井吉敬『徹底検証ニッポンのODA』コモンズ 2006年 渡辺利夫、三浦有史『ODA 日本に何ができるか』中央公論新社 2003年 伊藤正直『開発と人間』旬報社ブックス 2004年 |
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ストックオプション制度の普及による日本型経営の崩壊 |
概要 |
1997年以降の解禁以来、ストックオプション制度は日本でも年々導入企業数が伸びている。米国においては経営者報酬に占めるストックオプションによる報酬が非常に高く、経営者と株主の利害を一致させるために有効に機能している。しかし、このストックオプション制度は経営者を短期的な利益追求へと奔らせ、広く知られた株主・株価至上主義を助長し、大企業の取るべき行動、すなわち長期的な利益の最大化とい行動と全く対照的なを促してしまうのではないかと懸念している。日本では米国ほど株価至上主義が浸透しているわけではないが、近年経営者の報酬の構成もインセンティブ報酬の比率が上がりつつあり、米国に近い状態にまで達するのではないかと考えている。 |
主要参考文献 | 伊東光晴『日本経済を問う』岩波書店 井村喜代子『現代日本経済論』有斐閣 吉原寛章『ストックオプション導入・成功の実際』日本実業出版社 新保博彦『日米コーポレートガバナンスの歴史』中央経済社 |
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日本における貧困問題〜就労世代の貧困〜 |
概要 |
本論文においては、日本の貧困の現状を調べた上で、特に就労世代の貧困にスポットをあて、資本が労働コストを抑えようとする資本労賃関係が労働者の貧困を生んでいる資本主義の性格に加え、90年代大不況、新自由主義的政策が日本全体の貧困を拡大させているのではないかという点を考察し、今後の展望を模索していく。 |
主要参考文献 | 井村喜代子『現代日本経済論』有斐閣 1993年 井村喜代子『日本経済?混沌のただ中で』勁草書房 2005年 橘木俊昭、浦川邦夫『日本の貧困研究』東京大学出版会 2006年 |
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金融自由化と国内損害保険業 |
概要 |
近年、わが国における損害保険産業は大きな混乱の中にある。保険自由化による外資参入、生損保相互参入、算定会制度の廃止などがそれらであり、保険金不払い問題では、社会から厳しい批判を浴びている。またサブプライムに端を発する金融市場の混乱においても、損害保険産業は無縁ではなく、一連の危機において多額の損失を計上している。本論文では、損害保険産業が関係するこうした諸問題を考える上で、金融自由化がどのように行われたのかを振り返り、それが国内損害保険産業に何をもたらしたのかを考えたい。 |
主要参考文献 | 井村喜代子『現代日本経済論』 有斐閣 2005年 井村喜代子『日本経済―混沌のただ中で』 勁草書房 2005年 上山道生『損害保険ビッグバン』 東洋経済新報社 1997年 |
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地場産業を守り,残す意義 |
概要 |
過去には栄えた地場産業であるが,1985年のプラザ合意やその後の円高を契機として,著しく衰退することになる.そして,産地は,事業所数や生産額の減少というような問題を抱えるようになってしまった.そのような苦境を,産地の人々は真摯に受け止めている.しかし,現実とただ受け止めているだけの産地ではなかった.地場産業を衰退させないようにするため,新商品の開発をしたり,産品のPR活動をさかんに行うこと等を通して努力している.国や自治体も,「補助金」というかたちで援助し,地場産業を衰退させないように必死である. 私は,なぜ産地は,そして国や自治体は,そのような努力をしてまで,大変な苦境にある地場産業を守り,残し続けていくことに力を入れているのか疑問に思った.そして,それには何か理由があるのだと考える. そこで,私は本論文において,具体的な産地を取り上げることで,その疑問に対するこたえを検証していくことにする. |
主要参考文献 | 井村喜代子 「現代日本経済論」有斐閣 2001年 山崎充 「豊かな地方づくりを目指して」中公新書 1991年 上野和彦 「地場産業地域の革新」古今書院 2007年 |