延近研究会 卒業論文概要
(第11期生)

慶應義塾大学経済学部  延近研究会卒業生の卒業論文の概要と主要参考文献です。
卒業論文とともに提出された本人作成の概要を
原文のまま掲載しています。

青木 慶一

テーマ

スポーツと資本主義 近代スポーツの歴史的変遷と現代資本主義社会との関係について

概要

近代スポーツは資本主義社会の一つの領域であり、また反対に資本主義社会の可視化したモデルであると捉え、その誕生の背景と成立過程、アメリカによる大衆化、メディア・スポーツ化・スポーツビジネス化という歴史的変遷を資本制システムとの関係を主軸に考察する。近代オリンピックの意義・功罪にも言及し、現代資本主義社会においてメディアによって肥大化し、ビジネス化するスポーツの矛盾した様相の一端を明らかにする。
主要参考文献 アレン・グットマン『スポーツと現代アメリカ』清水哲男訳、TBSブリタニカ、1981
アレン・グットマン『スポーツと帝国―近代スポーツと文化帝国主義』谷川稔他訳、昭和堂、1997
アンドリュー・ブレイク『ボディ・ランゲージ―現代スポーツ文化論』橋本純一訳、日本エディタースクール出版部、2001

青木 優

テーマ

コンピューター産業の構造変化と日本のコンピューター産業

概要

コンピューター産業がどのような構造変化を遂げてきたのか、そしてそうした変化の中でなぜIBMの独占やウィンテル体制ともいわれる体制ができ、それはどう継続してきたのか。またこうした産業全体の変化の中で、日本のコンピューター産業はどのように発展しどのような困難に直面してきたのか、そしてどんな可能性を持っているのか。この二つの問題について、アメリカとの比較を交え、近年の「情報家電」構想や「ユビキタス」構想なども含めた上で考察している。
主要参考文献 産業構造研究会編『現代日本産業の構造と動態』 新日本出版社 2000年
『現代経営学(10) 競争と協調の技術戦略〜21世紀のIT戦略』 ミネルヴァ書房 1999年
夏目 啓二著『アメリカIT多国籍企業の経営戦略』 ミネルヴァ書房 1999年3月
藤田 実「日本のコンピューター産業〜二つの困難と従属的競争戦略」(『経済』1999年2月号 新日本出版社)

石橋 裕一

テーマ

日本の雇用の現状と今後

概要

現在、日本を取り巻いている失業問題、雇用不安等を含めた雇用問題について、まず初めに、これまで日本を支えてきた日本型雇用制度について考察し、その後、日本の雇用制度の現状についてこれまでの政府の政策と共に記述し、それらを経て、日本の雇用の今後について世界の雇用制度の特徴などを踏まえながら考察し、全体としては日本の雇用が今後進んでいくべき道を提示していく。
主要参考文献 『雇用と失業の経済学』 樋口美雄 日本経済新聞社
『日本的雇用制度の現状と展望』労働大臣官房政策調査部編
『雇用不安』野村正寛 岩波新書

板倉 理造

テーマ

1990年代後半における失業率上昇の実態と原因分析

概要

1990年後半から現在(2003年)に至るまで、日本の失業率は増加し続けている。このような状況の中で、失業率上昇の原因について、さまざまな意見が現れている。産業構造の変化、労使関係の変化、「構造的失業」の影響など、さまざまな理由が考えられる今日の状況をもう一回見直してみることによって、失業率上昇の原因を探ることがこの論文の目的である。
主要参考文献 常盤政治・井村喜代子・北原勇・飯田裕康『経済原論』有斐閣 1980
北原勇『独占主本主義の理論』 有斐閣 1977
土穴文人『労働経済の総合的分析』 創成社 1994

稲田 成俊

テーマ

NTTドコモは独占企業か

概要

この10年間で競争が促進され、急速に加入者を増やし続け、市場規模8兆円、2002年12月現在においての契約数は7000万人にまで拡大した携帯電話市場市場において、NTTドコモは、10年間、6割前後のシェアを維持し続けている。ここから、ドコモは独占企業ではないかという疑問が生まれた。本論文では、携帯電話市場とNTTドコモの動向を調べた上で、このテーマを取り上げ、独占資本主義の理論を引用・参考にし、独占的市場構造、価格競争と非価格競争、そして新生産部門の形成という3つの視点から分析しました。
主要参考文献 『独占資本主義の理論』 北原勇 (有斐閣、1977年1月)
『資本論体系 第10巻 現代日本主義』 北原勇、鶴田満彦、本間要一郎 (有斐閣、2001年4月)
『ドコモ 急成長の経営』 大星公二 (ダイヤモンド社、2000年7月)

金子 真弓

テーマ

女性が「働く」ということ−総合職女性が働き続けられる労働環境を考える−

概要

主要参考文献

岸本 俊介

テーマ

道路公団が抱える問題と今後の展望〜民営化を視野に入れて〜

概要

戦後、わが国の経済復興を支えてきた高速道路事業。現在、この高速道路事業を行う道路公団が問題視されている。この論文では、まず、道路公団の現状と問題点、民営化が叫ばれる背景を把握することが必要である。さらに、民営化に伴う課題を現在の民営化をめぐる議論とともに考察した。その上で、道路公団の今後のあるべき姿を、議論の両意見を参考に自らの提案をまじえて検討を試みた。
主要参考文献 『特殊法人解体白書』 堤和馬 2002年 中央公論新社
『よくわかる特殊法人改革』 並河信乃 2002年 東洋経済新報社
『特殊法人民営化』 猪瀬直樹 2001年 PHP研究所

杉山 恭子

テーマ

歪んだかたちで実施されてきた税制改革−所得税改革を中心に−

概要

現在、改革が必要とされる不平等な税制度は、歪んだかたちで長年行われてきた税制改革が原因であると考える。改革によって国家の財源を喪失させ、税負担の公平・構成の破壊を進めるという矛盾を増大させていったのだ。現在の税制度をかたち作ったと言われる80年代の税制改革の流れ、そしてそこで生じた問題点などを踏まえ、それを今後どう改革していくべきか、自分なりに提言していく。
主要参考文献 「現代日本経済論」井村喜代子 有斐閣 2000年1月
「日本の税制−歴史・理論・改革−」加藤睦夫 大月書店 1989年10月
「現代の税制改革−世界的展開とスウェーデン・アメリカ−」藤岡純一 法律文化社 1992年5月

谷本 正樹

テーマ

サービス経済化と経済成長率

概要

今日、第3次産業で働く人が急速に増えるとともに、そこで生まれる所得が拡大し、経済活動の中心が「モノ」から「サービス」に移った。このような現象は「サービス経済化」と呼ばれている。ここで問題に思うのは、サービス経済化は工業化による発展の時代に比べて経済成長を低下させるのではないか?ということである。この論文において、「サービス経済化」現象と経済成長率との関係を理論面と現状分析の両面から考察していく。
主要参考文献 『サービス論争批判』 刀田和夫 九州大学出版(1993年)
『現代サービス経済論』 斎藤重雄 創風社(2001年)
『サービス経済と産業組織』 羽田昇史 同文館出版(1998年)

中島 誠一郎

テーマ

恐慌とその原因の考察

概要

恐慌の原因を考察する手だてとして井村喜代子氏の『恐慌・産業循環の理論』を主軸に据える。また、現在の日本経済を独占段階であると捉えるため、北原勇氏の独占資本主義理論を組み込んだ。この理論を第1章で解き明かした後、第2章で他経済学における恐慌・不況理論と照らし合わせ、第3章では現実経済(主に1970年代〜現在の日本経済)との適合性を見ていくことによって理論を分解し、そこから私なりの恐慌・不況に対する理論を構築するという方法をとる。そしてこの理論を基に日本経済における現状を解明していく。
主要参考文献 井村喜代子『恐慌・産業循環の理論』(有斐閣、1973年)
井村喜代子『現代日本経済論』(有斐閣、2000年)
北原勇 他『資本論体系 第10巻 現代資本主義』(有斐閣、2001年)

山本 卓哉

テーマ

わが国の国内航空産業において新規参入に必要なものとは。

概要

わが国の国内航空産業は規制緩和により新たな転換期を迎えようとしている。米国の規制緩和から端を発した航空産業は自由競争がおこなわれるようになったといわれている。米国での経験を考察し、それをわが国の航空産業にどのようにいかせば良いか。最終的には新規参入についての問題点を明らかにしていきたい。
主要参考文献 北原 勇 『独占資本主義の理論』 有斐閣 1999年
戸崎 肇 『航空の規制緩和』 剄草書房 1995年
山内 弘隆 『航空輸送』 晃洋書房 1990年

結城 大光

テーマ

シルバービジネス 〜新たな時代のエネルギー〜

概要

これから少子高齢時代に突入していく。その中でバブル崩壊から今もなお続く平成の長期不況を打破するためには「発展のための始動エネルギー」としての新産業部門の形成が必要である。そこでこれからの時代の需要に見合った「シルバービジネス」は新たな「始動エネルギー」となるのか、という視点を中心に、「シルバービジネス」について検討・考察していく。
主要参考文献 北原勇他『資本論体系 第10巻』勇斐閣、2001年
井村喜代子『現代日本経済論(新版)』有斐閣、2000年
隅谷三喜男、京極高宣『民間活力とシルバーサービス』中央法規出版、1987年

吉田 和広

テーマ

製造業の海外進出に伴う産業空洞化問題の現状と展望

概要

かつて、日本経済の成長の象徴とも言うべき存在であった製造業は、今「産業空洞化」という問題に直面している。日本はこの問題を克服できるのか、そして再び製造業が日本経済を成長へと導く原動力となりうるのだろうか。今、空洞化現象がどのように表れているのか、そしてどうとらえるべきかを検証しながら、その問題の本質を探り製造業そして日本経済の今後を考える。
主要参考文献 『現代日本経済論』井村喜代子 有斐閣 2000年
『空洞化を越えて』関満博 日本経済新聞社 1997年
『海外直接投資と日本経済』原正行 有斐閣 1992年

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