延近研究会 卒業論文概要
(第10期生)

慶應義塾大学経済学部  延近研究会卒業生の卒業論文の概要と主要参考文献です。
卒業論文とともに提出された本人作成の概要を
原文のまま掲載しています。

阿久津 英文

テーマ

日本経済と金融システム

概要

「日本版ビッグバン」と呼ばれる金融システム改革が開始されはや6年が経とうとしている。だが、日本の金融システムは数多くの不安材料を抱え今なお迷走を続けている。そのような日本の金融システムを「護送船団方式」、「金融自由化」、「金融ビッグバン」と、3つの時代的な流れ・時代変化の時期に焦点を当て、金融システムが果たす役割、ビッグバンの背景、そして金融システム機能不全の原因を探っていく。

主要参考文献 井村喜代子『現代日本経済論(新版)』有斐閣 2000年
宇沢弘文 花崎正晴編『金融システムの経済学』東京大学出版会2000年
酒井良清 鹿野嘉昭『金融システム』 有斐閣アルマ 2000年

井上 隆介

テーマ

中小企業はどのようにとらえられるべきか

概要

戦後、中小企業に対しては、様々な議論がされてきた。そんな中、1999年「中小企業基本法」が改正され、更なる議論を呼んでいる。めまぐるしく変化する現在の経済環境の中で、中小企業に「日本経済の活性化」を求める声が多く出てきたのである。しかし、いまだ大企業との格差の問題も多く存在している中で、そういった中小企業に対する認識は正しいのだろうか。そこで、現在の中小企業は、一体どのようにとらえられるべきなのか戦後から現在までの中小企業の変化を見ていく中で分析していく。
主要参考文献 井村喜代子『現代日本経済論』2000年
中小企業庁編『中小企業政策の新たな展開』1999年
有田辰男『中小企業論』1997年

上野 健吾

テーマ

地球温暖化問題を解決させるには〜日本はどの様にして国内対策を推し進めるべきか〜日本的雇用慣行のもつ意味―その成立と変化について

概要

2001年11月上旬に開かれた気候変動枠組み条約第7回締約国会議において、京都議定書に関する最終合意が漸く成立したものの、日本としては、地球温暖化対策を進めて行く上で、解決すべき問題が山積みの状態である。そこで、この論文においては、今後、日本が森林吸収分の算入等に頼ることなく、京都議定書における温室効果ガスの削減目標(2008〜2012年の年平均で1990年比6%削減)を国内対策を中心として達成させて行くためには、どの様な対策をとって行くことが必要なのかを論じて行くこととする。
主要参考文献 井村喜代子『現代日本経済論[新版]』有斐閣、2000年
山口光恒『地球環境問題と企業』岩波書店、2000年
佐和隆光『地球温暖化を防ぐ』岩波書店、1997年

河田 修

テーマ

子ども達の変化とその背景を探る

概要

近年、子ども達が変化したといわれている。それを極力具体的なデータを用いて実証しようと試み、変化が実際に起きていることをある程度明らかにした。
そして個々の事象について、データ・識者の意見等を参考にしながら、変化の背景を探った。全体としては社会・時代の変化の影響を受けていることと推測された。特に戦後日本における利益追求による大人達のモラルの低下が、子ども達に波及しているのではないかという結論に至った。
主要参考文献 尾木直樹『子供たちの危機をどう見るか』岩波書店 2000年
『教育アンケート調査年鑑2001年版 上下巻』 創育社
母子愛育会 日本子ども家庭総合研究所『日本子供資料年鑑2001』KTC中央出版

小林 良太

テーマ

信用金庫は21世紀の展望を開けるか

概要

 9信用金庫。2001年度に破綻した信用金庫の数である。協同組織として、また中小企業金融機関として重要な役割を果たす信用金庫。金融自由化の波をうけて再編が進む金融業界にあって、これ以上の破綻は、信用金庫業界のイメージ低下、ひいては預金流出に伴って正常な貸出しが行えなくなる可能性を持っている。信用金庫が抱える構造的問題は何か。解決するためには何をすれば良いのか、そして、今後信用金庫が健全で強固な金融機関となるためにはどのような策があるのか。
主要参考文献 信金中央金庫『全国信用金庫連合会五十年史』
信金中央金庫『全国信用金庫統計 2000年度版』
森静朗『産業界シリーズ信用金庫』 教育社新書
各金融機関ディスクロージャー誌

玉真 永棋

テーマ

M&Aの有意を問う

概要

M&Aを実施したもののその目標を達成することができた企業は欧米では3−4割、日本企業でも4−5割である。そこで、その障害・失敗要因となるものの検討、そして効果的な解決策を導く。また、M&Aを行う動機として取り上げられている"諸理論"とされているものが、歴史的な観点からみればそれらの説明力がいかに不十分であるかをその過程の中でに明らかにする。
主要参考文献 井村喜代子『現代日本経済論』有斐閣,2000年
西川順子,松井和夫『アメリカ金融史』有斐閣,1989年
御園生等『日本の独占禁止政策と産業組織』河出書房新社,1987年

鳥羽 雄大

テーマ

株式相互持合い

概要

第二次大戦後の日本経済において、企業間結合の基盤となった株式相互持合いがいかにしておこなわれてきたのか、歴史的経緯とその意義を、戦前の財閥家族による企業支配の構造と比較しながら最初に調べる。そして、近年の経済環境を踏まえて、今後株式相互持合いがどのように変化していくのかを考察していく。
考察に当たっては、株式相互持合いにおいて金融機関、特に銀行の役割が大きいことから、近年の経済環境及び制度の変化をみていく上で、銀行に関するものを中心に取り上げていく。
主要参考文献 井村喜代子 『現代日本経済論[新版]』有斐閣
北原勇『現代資本主義における所有と決定』岩波書店
奥村宏「独占資本の構造と運動」(『講座 今日の日本資本主義 第四巻』第二章,大月書店)

原田 健太郎

テーマ

電力自由化が抱える課題と今後のあり方

概要

10電力会社による垂直統合体制が形成されるまでの経過を調べ、その過程の中で公益性が重視されるようになったことがわかった。また、この体制が公益的課題の達成に有効であることを確認した。自由化が始動するきっかけとなった社会的要請の変化を明らかにし、現在までの自由化の経過を整理した。日本の自由化の参考として海外の事例について検討を行い、今後自由化を進めていく上で検討しなければならない課題について整理したうえで電力自由化の今後のあり方について述べた。
主要参考文献 矢島正之『電力改革―規制緩和の理論・実態・政策』東洋経済新報社,1998年
西村陽『電力改革の構図と戦略』電力新報社,2000年
電気新聞ホームページ:http://www.shimbun.denki.or.jp/

古橋 貴子

テーマ

リゾート開発の失敗と展望〜リゾート法を中心に〜

概要

1980年代、日本の高度成長に伴い、地方の過疎化、アメリカの要求、ライフスタイルの変化が問題となり、地方開発の熱が高まった。そして、87年の「リゾート法」によって一気に土地開発ラッシュが噴出したのである。しかし、それは異常な土地投機、バブル崩壊へとつながり、景気低迷をもたらす一因となった。
本論文では戦後のリゾート開発の経済的背景を調べ、リゾート法を中心にその問題点を明らかにし、今後期待されるリゾート開発について考えたい。
主要参考文献 井村喜代子『現代日本経済論』有斐閣,2000年
永谷政弘編『観光振興論』税務経理協会,1998年
井熊均『公共投資の新手法』日刊工業新聞社,1998年

間野 勉

テーマ

日本におけるPFI導入への政策的提言

概要

1990年代初頭にイギリスにおいて成立した公共事業の新手法であるPFIが日本に導入されつつある。なぜ現在PFI導入の必要性があるかを明らかにし、イギリスでの事例を基にして、日本版PFIの実現に向けての政策的提言をした。
主要参考文献 井熊均『PFIビジネス参入の戦略』日刊工業新聞社,1998年
中村太和『現代イギリス公企業論』日本経済評論社,1991年
小此木潔『財政構造改革』岩波書店,1998年

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