延近研究会 卒業論文概要
(第1期生)

慶應義塾大学経済学部  延近研究会卒業生の卒業論文の概要と主要参考文献です。
卒業論文とともに提出された本人作成の「テーマのねらい」を
原文のまま掲載しています。

伊東 淳

テーマ

対米依存の面から見た日本鉄鋼業の再編成過程

概要

戦後日本経済の発展の基盤となった鉄鋼業の成長過程を,対米依存を中心に分析する。日米双方の政治的・経済的な利害関係をつかみ,今日の日米貿易摩擦の原点をさぐる意味で,日本鉄鋼業の輸出主導型への転換の様子をつかみたい。
主要参考文献 市川弘勝『日本鉄鋼業の再編成』新評論,1969年
井村喜代子「“1949年秋〜朝鮮戦争”と“合理化投資”(上)(下)」(『三田学会雑誌』,1987,1988年)

岩窪 博

テーマ

アメリカの債務国への転化―1980年代アメリカにおける国際収支構造の変化とレーガノミクス―

概要

何故,1980年代のわずか数年の間に,アメリカは世界最大の債権国から世界最大の債務国へと転落したのか,現在のドル体制は極めて不安定なものであり,それを加速化したのがアメリカ国際収支構造の変化とレーガノミックスであることを明らかにする。
主要参考文献 松村文武『債務国アメリカの構造』同文館,1988年
奥村茂次「1980年代アメリカの国際収支構造と債務国化―レーガン政策がもたらしたもの―」(大阪市立大学『季刊経済研究』第8巻4号,1986年)
同上「現代世界経済における資本輸出―1980年代にあらわれた構造変化―」(大阪市立大学「証券研究年報」第2号,1987年)

宇都木 洋次郎

テーマ

MEが日本経済にどの様な影響を与えたか

概要

MEが日本経済にメリットとして何をもたらし,またデメリットとしてどのような事態を喚起したのかを,80年前後から現在までを主に対象とし,雇用と日米経済摩擦というものを焦点に,その実態を探ろうとしたものである。
主要参考文献 井村喜代子「1980年代における日米経済関係と日本経済」(「三田学会雑誌」83巻3号)
佐藤定幸編『日米経済摩擦の構図』有斐閣
金森久雄・西岡幸一『マイクロエレクトロニクス革命』東洋経済

大西 宏

テーマ

現代日本の相対的過剰人口―不安定就労階層の今日的形態―

概要

現代日本の失業問題を考える上で「完全失業」の概念では,実態を正確には捉えることができない。本稿では不安定就労階層の研究を通じて現代日本の相対的過剰人口についての考えを述べる。
主要参考文献 労働教育協会編『産業「空洞化」と雇用・失業問題』学習の友社
豊田尚『現代日本の就業・雇用』青木書店
加藤祐治『現代日本における不安定就業労働者』御茶ノ水書房

岡田 正

テーマ

日米の企業買収・合併の差異と日米投資摩擦問題

概要

日米間の企業買収と合併の特徴の違いを知ることにより,投資摩擦問題の解決方法をさぐる。
主要参考文献 奥村宏『企業買収』岩波新書
同上『法人資本主義』御茶ノ水書房
P.ドラッカー『マネジメント・フロンティア』ダイヤモンド社

清田 尚宏

テーマ

住宅地価格の形成理論についての考察

概要

新沢・華山氏の『住宅地限界説』をめぐって展開された論争を検討し,地価形成の理論を確認する。
主要参考文献 新沢嘉芽統・華山謙『地価と土地政策』
岩見良太郎『土地資本論』
山田良治『戦後日本の地価形成』

小林 千波

テーマ

ハロッド=ドーマー型経済成長モデルにおける技術進歩率λの究明について―80年代アメリカ経済分析を通して

概要

技術進歩率λの正体を究明することにより,ハロッド=ドーマー型モデルの理論と,アメリカ経済の現実とのギャップ,この方法の限界をみつけだす。
主要参考文献 鳥居泰彦『経済発展理論』東洋経済新報社
木内信胤『アメリカ経済危機の本質』世界経済調査会
菰内正晃『衰退期のアメリカ経済』泉文堂

小山 孝

テーマ

フィリピンにおける貧困とアキノ政権下の農地改革

概要

フィリピンにおける貧困の度合いを探り,アキノ政権が行なった農地改革について考える。アキノ政権下で行なわれた農地改革政策が貧困層解消に有効であったのか,農地改革法の問題点を取り上げて考察する。
主要参考文献 ルベン・アビト『これからのフィリピンと日本』亜紀書房
丸紅広報部編『フィリピンは,いま。民主化と経済復興への道』ダイヤモンド社
M.F.モンテス・坂井秀吉編『フィリピンの開発政策とマクロ経済展望』アジア経済研究所

佐藤 晋一郎

テーマ

1920年代−50年代前半におけるメジャーズの支配体制の確立と国際石油カルテルについて

概要

第2次大戦前後におけるメジャーズの石油支配体制が,国際石油カルテルによってなされていったことを明らかにする。この際,戦前はアクナカリー協定,戦後はメジャーズ同士のジョイント・ヴェンチャーによって,この支配体制が形づくられたことを分析する。
主要参考文献 『日本資本主義の危機の構造』
『メジャーズと米国の戦後政策』
『メジャー 現代の石油帝国』

庄子 順

テーマ

日本の金融自由化

概要

日本の金融自由化の進行過程を踏まえた上で,今後それがどのように進行していゆくのか,そしてそれが日本経済および国民生活に及ぼす影響としてはどのようなものがあるのか,ということについて考察してゆく。
主要参考文献 館龍一郎『金融再編成の視点』東洋経済新報社,1985年
蝋山昌一『金融自由化の経済学』日本経済新聞社,1989年
高瀬恭介『金融変革と金融再編成』日本評論社,1988年

白幡 剛

テーマ

土地の所有と利用について考える

概要

土地問題を規定しているものは土地所有権のあり方にあるという観点のもとに,土地所有権の変遷,土地所有権の利用との関係について述べる。
主要参考文献 丹野清秋『土地所有論』御茶ノ水書房,1983年
岩見良太郎『土地資本論』自治体研究社,1989年
土地問題研究会『土地問題辞典』東洋経済新報社,1989年

菅原 一樹

テーマ

シュンペーター理論からみたバブル経済―バブルを生んだ日本経済の構図―

概要

バブル経済によって日本は円高不況をのりこえ,戦後最大の好景気を迎えた。今,バブル不況のためにこれまた最大級の不況期にある。一体バブルとは何だったのか。実際,好況をもたらしたのはバブルの何だったのか。それを景気循環の立場からシュンペーターの発展論で検証する。そして,バブル経済後に何が残り,また回復はあるのかといったことも考察する。
主要参考文献 金指基『シュンペーター研究』
伊達邦春他『シュンペーター経済発展の理論』

高木 則幸

テーマ

戦後日本の森林資源政策―第2次世界大戦後から高度成長期まで―

概要

日本は国土の2/3を森林によって覆われている世界でも有数の森林国といえる国だが,その内実は天然林・人工林ともに森林破壊・荒廃が目に見える形で進行している。そこで,こうした森林破壊がどうして,どのようにして起こってきたのか,敗戦後から高度成長期について検討する。
主要参考文献 野村勇『日本林業の隷属的展開』地球社
林業構造研究会『日本経済の林業・山村問題』東京大学出版会
日本弁護士連合会『森林の明日を考える』

野津 克弘

テーマ

80年代を中心に日本企業の多国籍化とそれがもたらす諸問題についての考察

概要

80年代は,日本企業の海外進出にとって大きな転換期であり,日本企業の多国籍化が質的にも量的にも大きく進展した時期であると考えられる。そこで,この時期の日本企業に注目して,その多国籍化がどのように進んできたのか,またそれはいかなる問題を生み出したのか,について明らかにする。
主要参考文献 平和経済計画会議『国民の独占白書第10号―経済摩擦下の多国籍化』御茶ノ水書房
宮崎義一『変わりゆく世界経済』有斐閣
杉本昭七『多国籍企業はどこへ導くか』同文館出版

日比野 琢

テーマ

日本の航空規制の方向性―アメリカの経験から見る―

概要

世界的な航空規制緩和の流れのなかで,今後の日本の航空規制緩和の方向性についての考察。
主要参考文献 藤井弥太郎・中条潮『現代交通政策』
奥野正寛他編『交通政策の経済学』
増井健一・山内弘隆『航空輸送』

松本 大助

テーマ

レーガノミックスにおける「トリクル・ダウン理論」の結末

概要

80年代のアメリカ,レーガノミックスにおけるシナリオ作成段階と実行段階との相違性の検証,およびレーガノミックスの『トリクル・ダウン理論』的思想の危険性の指摘によって,今後の経済政策の課題を提示する。
主要参考文献 平井規之・中本悟編『アメリカ経済の挑戦』有斐閣,1990年
小谷崇『新保守主義経済学―諸潮流の紹介と批判』青木書店,1987年
マイケル・J・ボスキン『経済学の壮大な実験』HBJ出版局,1991年

三宅 重之

テーマ

米国自動車産業の傾斜

概要

今日,我々の頭の中にある米国製自動車=性能が不安という図式はいつできあがったのか。またBig3の経営的立ち直りを受けて競争力はどこまで回復するのか。現在急速に変貌するBig3を分析する。
主要参考文献  

八鍬 敬嗣

テーマ

日本のODA―肯定的に考える―

概要

日本のODAについて批判的な論調が多く,「悪」のイメージさえある。本当に日本のODAは悪いことばかりなのかを検討し,「役に立っている」という視点で考える。
主要参考文献 渡辺利夫・草野厚『日本のODAをどうするのか』NHKブックス
鷲見一夫『ODA援助の現実』岩波新書
フランツ・ヌシュラー『日本のODA』スリーエーネットワーク

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