夏休みレポート執筆上の注意事項
(自由研究セミナー用)

1. 論文の種類

論文には大きく分けて,次の2種類がある。

(1)サーベイ論文:
 あるテーマについて,従来の研究動向・論争を丹念に調査して,それらを自分なりに取捨選択しながらいくつかの論点別にまとめて紹介し,自分の評価(全面的あるいは部分的な批判または肯定的評価)を各々について与える。その作業をつうじて,そのテーマについての自説の展開あるいは今後の研究の深化のために考察・展開されるべき課題や論点を明らかにする。また,もし可能なら自説の一定程度の展開またはその示唆を行なうことを目的とするものである。
(2)論説(Article):
 自説の積極的展開を目的とした論文であるが,これには当然@で行なわれる作業(そのテーマにかんする従来の研究成果・動向の批判的検討)がなされ,その基礎上にたって自説の展開が行なわれるべきである。したがって,自説と従来の研究成果との対比が本文中または補注・注(後述)の形で論文のなかに示されている必要がある。
2. 形式上の注意
(1)題名
 論文の題名は,論じる内容を過不足なく表現するものでなければならない。必要に応じて副題をつけることも良い方法である。
(2)構成
 論文とは,自分の主張・考察を,読者に理解させるために,論拠を明示しながら論理的に展開した文章である。したがって内容・論理の展開を明確にするために,必ず全体をいくつかの章・節に分け,各々に章題・節題をつけなければならない。節の中でも内容のまとまりごとに(1),(2) ……のように分けて論じていくことが望ましい。
 また,冒頭には,論文全体でどんな問題意識をもち,どういう問題をどのような展開で論じていくのかを明らかにするような部分を,序章(序節)・はじめに・はしがき・まえがきなどの題をつけて述べること,論文の末尾には全体のまとめや結論的部分,今後に残された課題あるいはサーベイ論文においては一定程度の自説の展開や示唆を行なう部分を,むすび・おわりに・あとがき・残された問題といった題をつけて述べることが必要である。
3. 引用・(注)のつけ方
(1)引用の出典の明示
 論文においてもっとも重要なことの1つは,自分の考えたこと・文章なのか,自分以外の人の主張・文章なのかを明確に区別して書くこと,読者が論文の主張・論理展開を検証(自然科学における追試)できるようにすることである。そのためには,書籍や雑誌論文から文章を引用する場合にその部分を「……」でくくり,注番号を付して章末などにまとめて著者・書籍名・発表年・出版社名を明示することが必要である(論文のときはその論文名と掲載雑誌または書籍名・巻・号・発表年月なども)。例えば,
この点について坂井昭夫氏はつぎのように述べられる。「世界戦略に米軍事力の積極的増強を予定するような重要な変更が施された諸時点を調べてみるなら,例外なしに,軍事支出や軍事生産の増強を経済政策手段とみなして,それを政策目的達成のために活用しょうとする政府の意向が働いていたことが知られるのである。」(1)
「議論はむしろ軍需品生産を再生産表式論に位置づける場合,軍需品生産部門をどの部門に所属するものとするか,軍需品を負担するのはどの価値部分であるかを中心として行なわれてきたのである。」(2)
[注]
(1)坂井昭夫『軍拡経済の構図』(有斐閣,1984年)p.49。
(2)延近充「軍需品生産の再生産表式分析にかんする一考察−従来の諸議論の検討を中心に−」(慶應義塾大学『三田学会雑誌』76巻 3号,1983年 8月) p.115。
 場合によっては,ある節全体を誰かの書籍や論文の主張に全面的に依拠してもよいが,その際にも(注)をつけてその旨を明示すること。
(2)本文の補足・コメント
 引用の出典を示す以外にも,本文中で述べるほどではないが指摘しておきたいこと(この中には本文中での展開が,従来の研究動向とどういう関係をもっているかなどの指摘も含まれる),引用文に対するコメントなども(注)のなかで述べておくべきものである。
(3)統計資料について
 統計資料を掲げる場合,表やグラフを書籍や論文からコピーして貼り付けることは原則として禁止する(他人の作成した統計には必ず誤りや誤植がある)。できるだけその著者が参考にした原資料にあたって自分で作成すること。統計作成の努力をすることが新しい発見につながるのである。また,(1)と同様に読者が検証できるようにその出典を明示しなければならない。
4. その他
(1)推敲
 いうまでもないことであるが,自分の論じたいことが読者に明確に伝わるように自分で何回も読み直し,書き直して,よりよいレポート・論文となるように努力したものを提出すること。
(2)書式
 原稿用紙は,A4判 400字詰,横書きのものを使用すること。ワープロ使用の場合はA4判の用紙を用い,1ページに1200字程度(1行40字,30行)印刷したもの。枚数制限はないが,以上の要領で書こうとすれば,[注]を除いて400字詰原稿用紙換算で25枚を下回ることはないはずである。
(3)体裁
 レポート・論文の冒頭には題名・氏名のほか,各章・節題・ページを記した目次,末尾には主要参考文献の一覧表をつけること。提出の際には,秋の報告のために,レポートの内容の要約と主要参考文献を記したレジュメを作成し,参加者の人数分の部数をコピーしておくこと。またレポートは提出用の他に,自分用に1部コピーしておくこと。

トップページへ(検索サイトからこのページへ来られた方用)