学生による授業評価
マルクス経済学 II
2007年度 秋学期


アンケート内容と集計結果(春学期との比較)

アンケート用紙 pdfファイル
実施日:2008年1月8日
回答数:81人(履修者の36.3%)。出席率の低い学生の回答(数枚)は,各項目間で矛盾した回答や記述が多く,また「学生による授業評価」の趣旨から外れるため,(4)の学生自身の授業への取り組み方以外の項目では春秋とも集計から除外した。
*匿名アンケート形式の「学生による授業評価」には意義とともに限界もあります。この点については,「学生による授業評価」の意義と限界もご覧ください。
学生による授業評価
*匿名ですので正直に答えてください。
*自分の感想に近い数字に○を付け,理由や特記事項があればその下に記入してください。
(1)授業内容について
(a) 興味や関心 1.持てた 2.やや持てた 3.あまり持てなかった 4.持てなかった
(b) 難易度 1.易しい 2.やや易しい 3.普通 4.やや難しい 5.難しい
(c) 自分の理解度 1.理解できた 2.だいたい理解できた 3.あまり理解できなかった 4.理解できなかった
(a)興味や関心は,「持てた」と「やや持てた」の合計が春よりは若干減少したが,それでも約85%の学生が肯定的評価。

(b)難易度
は,春に比べて「難しい」と「やや難しい」が大幅に増加。内容的に前期の内容が前提となり,体系的な理解が必要となるので,例年,難しいと感じる学生が増加する。ただ,7割強が難しいと感じながら,
(c)理解度では,5割強が「理解できた」・「だいたい理解できた」と考えている。
(7)の答案に書かれた感想の6番目の記述のように,難しいと感じながらも努力によって理解できた時の喜びを感じた学生も少なくないのであろう。
(2)授業方法について,次の各項目は勉強する上で役に立ちましたか?
(a) プロジェクター 1.役に立った 2.やや役に立った 3.あまり役に立たなかった 4.役に立たなかった
(b) ウェブサイト
(c) 課題レポート
(a)プロジェクター(パワーポイント)は,春秋とも「役に立った」,「やや役に立った」と合わせると97%で,ほとんどの学生が肯定的評価である。
(b)ウェブサイトの利用について,約70%が「役に立った」と回答,「やや役に立った」と合わせると約96%が肯定的評価で春に比べて増加。
(c)課題レポートは,「役に立った」,「やや役に立った」の合計が約82%で春に比べて14ポイント減少。してと合わせると約95%。(4)の(b)レポート提出率で,提出率が20ポイントほど減少したことの影響か。難しいと感じてもレポートを書く努力が理解につながることを再認識してほしい。
(3)教員の講義への取り組み方について
(a) 話し方 1.わかりやすい 2.ややわかりやすい 3.ややわかりにくい 4.わかりにくい
(b) 解説(例示など)
(c) 教育への熱意 1.感じた 2.やや感じた 3.あまり感じなかった 4.感じなかった

(a)話し方は,「わかりやすい」,「ややわかりやすい」と合わせた肯定的評価は約72%で,春より約4ポイント低下。
(b)例示などの解説も,肯定的評価が約81%と春より10ポイント低下。

(c)教育への熱意では,「感じた」・「やや感じた」が春の約94%よりもさらに上昇し,98.6%の学生が肯定的評価をしてくれている。
なお, 「学生による授業評価」の意義と限界に書いたように,この(3)の各項目と(1)の難易度とは相関関係にあるので,難易度(感)の顕著な上昇にもかかわらず,大部分の学生が私の教育への熱意を感じ,話し方や解説について肯定的評価をしてくれているとも解釈できる。
(4)あなた自身の授業への取り組み方について
(a) 出席率 1.毎回出席・提出 2. 3/4以上 3. 1/2前後 4. 1/4以下
(b) レポート提出率
(c) 予習や復習 1.努力した 2.やや努力した 3.あまり努力しなかった 4.努力しなかった
(a)出席率は,春よりは若干悪化しているが,3/4以上の出席者が9割以上となっている。アンケートに答えるような常時出席している学生とほとんど出席しない学生とに2極分解していることがうかがわれる。
(b)レポート提出率でも同様の傾向だが,毎回提出者は春に比べてかなり低下した。個々の回答・感想の記述を見ると,春に比べてレポート課題自体がやや難解と感じられたようである。
(c)予習・復習の努力についての自己評価はかなり低い。レポート提出は復習に含められないと感じているのかもしれない。

(5)全体的な満足度
(a) この授業に対して 1.満足 2.やや満足 3.普通 4.やや不満 5.不満
(b) 他の授業と比較して
(c) この授業の履修を他の人にも勧めますか? 1.勧める 2.どちらかといえば勧める 3.あまり勧めない 4.勧めない

(a)この授業に対する満足度は,「満足」と「やや満足」が,春が約67%,秋が約60%と低下。
(b)他の授業と比較した満足度でも,「満足」と「やや満足」が81%→65%に減少。
ここでも難易度(感)の上昇が理解度の低下をもたらし,そのことが(a)・(b)の満足度の低下に結びついたと思われる。なお,(a)で「やや不満」とした学生(「不満」はゼロ)と(b)で「不満」とした学生が若干名いるが,出席やレポート提出の自己評価が低い学生,または他の回答と矛盾した回答をしている学生であった。
(c)他人に履修を勧めるか否かでは,「勧める」・「どちらかといえば勧める」が若干低下して89%。
(6)その他:自由に書いてください。
(6)の自由記述では,肯定的な記述が春約61%,秋が約70%であった。
具体的な記述内容は下の表を見てください。

(6)の記述項目と記述内容

(1)〜(5)の各項目に特記事項として記入されたものも掲載。原則として原文のままで,「ありがとうございました」のような儀礼的なものだけの記述は省略しました。
記述項目 記述内容
(1) 興味・難易度 夏に共産党宣言を読んで,ますます興味を持つことができた。[その他]もう少しわかりやすい参考書があったらいいと思った。
社会的総資本の話が非常に難しかったです。他のところは論理的に理解できました。
後期は前期に比べて難しかった。特にレポートが難しくなって苦労した。それでも説明もわかりやすく,受けてよかったと思う。
マルクス I と比べて内容が発展して難しかった。
前期よりもレベルが上がってややついていけない点もあった。それでも基本的に分かりやすい解説でよかった
春学期と比べ難易度が格段に上がり,理解するのにかなり苦労しました。授業の内容ややり方に関してはよかったと思います。
(2) 授業方法 スライドを進めるのが速いときがあったので,書ききれない箇所がありました。
教科書とレジュメが対応しているので,課題に取り組むときにやりやすかった。講義の進むペースもちょうど良い。
4章のプリントを繰り返して見ましたがイマイチ理解できませんでした。数字・記号より言葉の法がより理解しやすいと思います。(説得力という点では下がりますが)
プリント・内容が沢山あって大変。
[レポート]どこが重要なのかを把握する上で大変役立った。
(3) 教員の授業
への取り組み
先生の熱意がとても感じられました。マルクス経済学の基本的考え方がよく理解できました。
少しボソボソしていて聞きづらかった。大事なところはメリハリをつけてほしかった。
[話し方]時々速い(ノートを写す時間がなくなってしまう時がある)[その他]資本主義について少し詳しくなれた。
丁寧に説明してくれました。とても理解しやすい授業です。
(6) その他 後半急に難度が上がってビックリしました。授業が休講になった後,かなりペースが早くなり,わかりづらいところがありました。しかし,全体的にはマルクスの考え方が多くの情報の中でよくわかり,楽しめました。どうもありがとうございました。
先生がおだやかで,感じが良い。時々教室がうるさい。授業でやったことの発展・応用を自分で考えるのは難しい(テストの時等)
講義中,逐一小言を挟まないで欲しかった。レジュメ・課題レポートの解説がやや不親切。ただ,私自身の努力不足も否めないが・・・
マルクス経済学のイメージがまるきり変わりました。現代問題化している格差問題,90年代に崩壊したバブルなど,資本主義の問題点を学べて興味深かった。
難しかったです。出直してきます。
秋の授業はかなり難しかったが,有意義でした。1年間受けてこそ内容を理解できるものと実感しました。先生の勉強することへの姿勢はとても共感できました。
丁寧に教えてくださり,経済学の考え方が少しずつ分かってきました。
[興味・関心]「マルクス経済学は必要ない」という考えはなくなった。[難易度]再生産表式のあたりから理解に時間がかかるようになった。[授業方法]プロジェクターとプリントで,表現や改行などが違うと少しわかりにくい。[話し方]たまに早口になったり語尾が不明瞭になることがある。[解説]難解な用語を易しく説明してほしかった。[熱意]ウェブの充実度は熱意の表れだと思う。[その他]パワーポイント・講義・ウェブ・プリントなど,総合的にみれば,今年1年間で最もレベルの高い授業でした。
[興味・関心]すごくわかりやすい授業で聞きやすく,興味を持てました。[熱意]充実した授業だったと思います。[出席率]わかりやすい授業だったので毎週出席するのが楽しみでした。[予習・復習]家に帰ってプリントを見直してもわかりやすくて勉強しやすかったです。[その他]春学期より秋学期の方が少しむずかしくなって,レポートがあまり期限までに出せなくなっちゃったけど,テストがんばろうと思います。一番好きな授業でした。1年間ありがとうございました。

(7)答案に書かれた感想や要望

定期試験の問題の末尾に「時間に余裕があれば,授業や試験問題に対する感想・批判などを書いてください。今後の参考にします。」と書いています。
今回も30名程人が書いてくれていました。上記のアンケートとも関係するので,「ありがとうございました」のようにたんなる儀礼的なものや単位取得の要望などをのぞいて,一部を紹介しておきます。原則として原文のままですが,明白な誤字は修正してあります。
例年,答案に感想を書く人の解答内容(≒成績)はあまり良くないのですが,今回は感想を書いた人の答案の内容は優れているものも多く,しかもかなりの字数が書かれていました。もちろん例外もありますので,ここに紹介されているからといって,成績が良かったのだと誤解しないように!
1 ホームページ,レジュメ,授業,すべてが充実しており,私にとって非常に勉強しやすい授業でした。これも,ひとえに先生のご尽力の賜物だと思っております(テストだからといってお世辞で述べているのではなく,本音です!)春学期の最初はマルクス経済学が何なのかも知らない私が,果たして理解できるのだろうかという気持ちでいっぱいでしたが,こうして先生のもとで1年間勉強できてよかったとつくづく思います。三田に行っても引きつづきマルクス関連の講義を選択して,より理解を深めていきたいと思っております。1年間,本当に実りの多い授業でした!!ありがとうございました。
2 試験勉強の際に思いましたが,「落ちこぼれでも〜」のような本よりも,先生のプリントとレポートを参考として,しっかり理解することの方が,マルクス経済学の論理展開を把握するには役立ったと思います。
3 留学生ですけれでも,日本語のおかしいところがいっぱいあると思いますが,申し訳ありません。でも毎回レポートを書くことによって,毎週の内容の流れが復習し整理することができまして,とても役に立ったと思います。これからもぜひこの方法を続けた方が良いと思います。
4 先生の授業スタイルで,自分に力がついていくのを実感できました。(まだまだ未熟ですが・・・)たまにパワポに追いつけなくなる時がありましたが,レジュメもレポートも非常に効率的でした。
5 1年間どうもありがとうございました。このような質の高い授業を受けられたことは,大学へ行くことの価値をとても高めてくれました。今回は,前期よりも内容が難しかったため,大変苦戦しました。これを,一通り理解できたことは,ひとえに先生も自負なさっている,分かりやすい説明のおかげです。今後とも後輩達への指導を頑張って下さい。
6 1年間マルクス経済学を学ばせてもらい,特に今回,春学期の特別剰余価値の学習が市場構造へとつながっていった時など,知識がつながっていく楽しさを非常に感じました。先生の授業は非常にわかりやすく,本当にマルクス経済学について自分としては興味を持って学習することができました。
7 マルクスの考え方がある一方,ケインズによる投資誘因論でのマルクス批判も正しいと思う。実際の経済状態や資本家自身の考え方の違いもあると思うが,やはり資本家階級と労働者階級の関係は必然的に存在するものだから,もっと経済を学び,今ある貧富の差,勝ち・負け組問題などは,どうすれば改善していくのか考えられるようになりたいと思った。

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