学生による授業評価
マルクス経済学 II
2005年度 秋学期
アンケート内容と集計結果(春学期との比較)
アンケート用紙 pdfファイル
実施日:2005年12月20日
回答数:89人(履修者の36.3%)。矛盾した回答や記述など真摯な記入でないものも数枚あったが,そのまま集計した。
青字はコメント(春と秋との比較など)
*匿名アンケート形式の「学生による授業評価」には意義とともに限界もあります。この点については,「学生による授業評価」の意義と限界もご覧ください。
学生による授業評価 | |||||
*匿名ですので正直に答えてください。 | |||||
*自分の感想に近い数字に○を付け,理由や特記事項があればその下に記入してください。 |
(1)授業内容について | |||||
(a) | 興味や関心 | 1.持てた | 2.やや持てた | 3.あまり持てなかった | 4.持てなかった |
(b) | 難易度 | 1.易しい | 2.やや易しい | 3.ちょうど良い | 4.やや難しい | 5.難しい |
(c) | 自分の理解度 | 1.理解できた | 2.だいたい理解できた | 3.あまり理解できなかった | 4.理解できなかった |
(a)興味や関心は,「持てた」が減少,「やや持てた」が増加,両者の合計は若干の減少したが,それでも約8割が興味・関心を持ってくれた。 (b)難易度は,「やや難しい」が大幅に増加。 (c)理解度では,「理解できた」が大幅に減少した。それでも7割強が「難しい」・「やや難しい」と感じながらも,6割程度は「だいたい理解できた」と感じている。 秋学期は,春学期の内容の理解を前提とし資本主義の動態的法則を扱う内容なのでやや難しいと感じたようである。ただアンケート実施日の講義内容が「拡大再生産表式分析」であったので,その日の内容の難易度が影響したとも考えられる。 |
(2)授業方法について,次の各項目は勉強する上で役に立ちましたか? | |||||
(a) | OHP等 | 1.役に立った | 2.やや役に立った | 3.あまり役に立たなかった | 4.役に立たなかった |
(b) | 板書 | ||||
(c) | ウェブサイト | ||||
(d) | 課題レポート |
(a)プロジェクターは,「役に立った」が若干減少したが,「やや役に立った」と合わせると9割前後で,春とほぼ変わらない。 (b)板書については,「役に立った」と「やや役に立った」が9割以上に増加した。 (c)ウェブサイトの利用について,6割前後が「役に立った」と回答,「やや役に立った」と合わせると9割以上が肯定的評価。 (d)課題レポートについて,「役に立った」が減少したが「やや役に立った」と合わせると9割強。(4)の(b)レポート提出率では,提出率が若干減少しているが,未提出でも学習のための指針として役立ったと感じているものと思われる。 |
(3)教員の講義への取り組み方について | |||||
(a) | 話し方 | 1.わかりやすい | 2.ややわかりやすい | 3.ややわかりにくい | 4.わかりにくい |
(b) | 解説(例示など) | ||||
(c) | 教育への熱意 | 1.感じた | 2.やや感じた | 3.あまり感じなかった | 4.感じなかった |
(d) | 成績評価方法 | 1.厳しい | 2.やや厳しい | 3.妥当 | 4.やや甘い | 5.甘い |
(a)話し方は,「わかりやすい」と「ややわかりやすい」という肯定的評価が7割強から8割に増加し,いずれも2003年度よりも大幅に増加した。 (b)例示などの解説は,肯定的評価が8割以上。 ただ,個々のアンケートを見ると,(1)の興味・関心や難易度で否定的な評価の学生で「ややわかりにくい」という評価が多くなっている。今後の検討課題・反省材料である。 (c)教育への熱意では,9割前後が「感じた」という評価をしてくれている。これは2003年度とほぼ同水準。 (d)成績評価では,「妥当」が春の約4割から5割強に増加,「厳しい」,「やや厳しい」とも減少した。今年度から春学期の成績が秋学期前に通知されることになったので,この変化は自分の試験の手ごたえと成績評価とが一致していると感じた学生が多かったと思われる。 |
(4)あなた自身の授業への取り組み方について | |||||
(a) | 出席率 | 1.毎回出席・提出 | 2. 3/4以上 | 3. 1/2前後 | 4. 1/4以下 |
(b) | レポート提出率 |
(c) | 予習や復習 | 1.努力した | 2.やや努力した | 3.あまり努力しなかった | 4.努力しなかった |
(a)出席率は,3/4以上が9割以上となっている。アンケート実施日の出席者数を考えると,常時出席している学生とほとんど出席しない学生とに2極分解していることがうかがわれる。 (b)レポート提出率でも同様の傾向だが,3/4以上の提出者は若干低下した。アンケート実施日がレポート提出日であったことを考えると,出席はしてもレポートは提出しない学生が1割程度存在していると思われる。 (c)予習・復習の努力についての自己評価はかなり低い。「努力した」が6割弱あるのは,まだ良い方なのかもしれないが。 これは,レポートや講義資料の事前ダウンロードに負うところ大であろう。 |
(5)全体的な満足度 | ||||||
(a) | この授業に対して | 1.満足 | 2.やや満足 | 3.どちらでもない | 4.やや不満 | 5.不満 |
(b) | 他の授業と比較して |
(c) | この授業の履修を他の人にも勧めますか? | 1.勧める | 2.どちらかといえば勧める | 3.あまり勧めない | 4.勧めない |
(a)この授業に対する満足度は,「満足」と「やや満足」が,春7割弱,秋8割弱と上昇。 (b)他の授業と比較した満足度でも,若干比率は下がるが同様の傾向。 (c)他人に履修を勧めるか否かでは8割弱が「勧める」と評価。 これらは(1)の興味・関心と理解度と相関していると考えられる。 ただ,難易度の高さにもかかわらず,満足度や推薦度の肯定的評価の比率がより高いことを考えると,アンケートの自由記述にも書かれているように,当初は難しく感じるが努力すればそれなりの成果が上がり,満足度も高くなる,と受け取る学生が多かったのではないだろうか。 |
(6)その他:自由に書いてください。 |
具体的な記述内容は下の表を見てください。 |
(6)の記述項目と記述内容
(1)〜(5)の各項目に特記事項として記入されたものも掲載。原則として原文のままで,( )内は内容の理解のため,わたしが補足しました。
*の青字はわたしのリプライまたはコメントです。
記述項目 | 記述内容 | |
(1) | 興味 | マルクス経済学I, II は1年間の中で一番興味が持てた授業だった。ただ,景気循環,雇用について等,現在の日本の事についてもちょっと講義してほしかった。 *「景気循環,雇用」などの理論の説明の際には,可能な範囲で現在の日本経済の問題にもふれたのですが,授業の目的と理論の性格から充分に論じることはできません。三田にはそのような講義がありますので,そちらを履修してください。 |
難易度 | 資本の蓄積過程の所は比較的理解しやすかったのですが,資本の流通過程,特に再生産表式の所はマルクス経済学I の最後の授業と関連することもあって,かなりむずかしく感じました。年間を通じての授業の理解,ならびにレポート作成を通じての自分自身の各概念の整理の必要性をマルクス経済学II では強く感じました。 | |
授業は良かったが,難しい。 | ||
後期になって内容が難しくなり,大変になった。 | ||
内容が難しくなったせいかもしれないが,春学期の講義の方が分かり易かった気がしました。 | ||
特に4章の後半が難しかった。 | ||
マルクスの言っていることが難しい。 | ||
複数回答 | [興味]資本主義のメカニズム,個別資本家の行動のキソが分かった。 [プロジェクター]ノートの穴埋め形式は不要かと思います。集中が途切れるし,時間のムダです。 [レポート]勉強になりました。 [話し方]ゆっくりでよかったですが,最後になって速くなるのは良くなかったです。 [その他]マルクス経済学の良さは分かりましたが,なぜ社会で認められないか説明してほしいです。 |
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[難易度]最後の所がとても難しいので,少し講義に集中しなかったらついていくのが大変だった。 [ウェブ]授業のlastに,いつ新しいレジュメをのせるかいった方がいいのでは? [成績評価]課題ださなくてもAきたので,テストよければOKというのは良い。 [他の人への推薦]拘束時間がけっこうかかるので,やる気ある人以外はとらない方が良いと思う。 |
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(2) | プロジェクター | プロジェクターが特に12月に入ってから早くて,見て書き写すのが大変で,先生のお話をきき逃したりした。後半は早い上に難しくて,あまり理解できなかった。でも,課題が出るので復習になった。 |
プロジェクターの内容が書けないまま次に行ってしまったことがあったのでアップしていただけるとうれしいです。 | ||
今期は前期より進みやプロジェクターの替えが早くて,少しついていくのが困難でした。 | ||
移行するのが早くて間に合わない箇所があった。 | ||
やはり見にくかった。書けない所も多々あったが,授業をとめるのも気が引けた。 | ||
板書 | 板書が多すぎて,講義に集中できなかった。 | |
多すぎて板書が書ききれなかったです。 | ||
ウェブ ・プロジェクター |
Webにupされているレジュメとプロジェクターの内容が若干異なっていて,困惑する時があった。レジュメに書き込む量が多く,先生の話があまり聞けない時があった。 | |
先生の映し出しているプロジェクターとダウンロードしたレジュメがちがう(全く同一じゃない)ので,混乱してしまう。丁寧に説明してくださるが,書いている時間に説明をするので,書くのが精一杯で話が聞きとれなかった。 | ||
写されるプリントとDLできるプリントの表現が変わっていて,混乱しているうちに写しきれなくて困るときがあった。 | ||
プロジェクターとダウンロードした資料,できれば同じ方が分かりやすい。 | ||
自分の持っている授業資料と違うため,書き込みする時に不便だ。 | ||
変わるのが早いので写しきれなかった。さらにWeb上のものと授業のものが多少違ったので当惑した。 | ||
*上記6件の記述について。春学期分にもコメントしましたが,レジュメとプロジェクター原稿を同じ形式にすると,画面に写す文字を小さくするか,レジュメの枚数を今の2倍以上にするかになってしまいます。ダウンロードしたレジュメは予習の便宜の意味があるので,前もってレジュメとテキストを読んでおけば何を書くべきかはわかるはずですが。 | ||
レポート | レポートが復習に役立ちました。 | |
授業を理解するのに役立った(復習として)。成績の補助にもなるのでいいと思います。 | ||
レポートが大変でした。 | ||
レポートの出来をある程度成績の評価に反映してほしい。 *この時期になってもこのような要望をする人がいるとは「びっくり」です。授業中にも説明しましたし,レポートの解説や試験の採点基準・成績統計のウェブ・ページにも書いてあるように,レポートの内容に応じて試験の成績に加点しています。 |
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進度 | 最後の方が駆け足すぎだったかも | |
後半がペースが早くなってノートとりながらメモをとって理解するのは厳しかった。レジュメはやはりUPしてほしい。 | ||
12月に入ったあたりから,進行が速くてついていくのがむずかしかったです。もっとゆっくり解説してほしかったです。 | ||
説明が早すぎるところがあった。書くことが多すぎて先生の話がききとれない。 | ||
複数 | [進度]スピードが速くて考える時間があまりなかった。 [レポート]遅刻するとうつした人と同じように減点されるのはくやしい。 [その他]何が並列関係,順列関係になっているのかわからなくて,個々のトピックをつなげにくかった。レポートの解説で,なぜそれが関連するのだと思うことがしばしばあった。 *春学期のアンケートでも同様の記述がありました。同じ人なのかも。春学期のコメントと同じですのでそちらを見てください。 レポートの解説についてはもう一度復習してみてください。一度ではわからなくても何度か考え直していくうちにつながりがわかるようになると思います。 |
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複数 | [難易度]マルクスI より II の方が分かりにくかった。 [プロジェクター]たまに書き写すことができないことがありましたが・・・ [板書]どこの内容について話しているかわからないことがあった。 |
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複数 | もう少し抑揚のある話し方をしてください。 プロジェクターとハンドアウトが異なるので,何をどう書き写せばいいかわかりません。*上記ウェブ・プロジェクターの項目を見てください。 |
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(3) | 解説 | もっと具体例があるといいと思います。 |
具体的な例があまりなく,すんなりとはいっていけなかった。ローマ字がたくさんでてくると何をあらわしているかすぐにわからなくなってしまう。少しスピードがはやかった。もう少し具体的な例を出してほしい。 *「もっと具体的な例を」という要望は毎年あるのですが,このように要望する人の考える「具体的」とわたしの考える(そして一般的な概念としての)「具体的」とはだいぶ異なるようです。「具体的」は,広辞苑によると「形をそなえ,存在が感知できるさま。一般的という意味での抽象的に対し,実体的・個別的なさま」,ということです。 わたしは,理論を説明する時には,「具体的には・・・」,「例えば・・・」,「現実的には・・・」と言って抽象的な理論を「具体的」に説明しています。これは抽象的な回答です。授業中の例で言うと,生産力の発展の概念を一般的に説明した後に「例えば今まで綿糸を20kg生産するのに8時間かかっていたものが4時間ですむ,あるいは逆に8時間で40kg生産できるようになること」というふうに説明しました。これは具体的な回答です。 この人の考える「具体的な例」というのはどういうものなのでしょうか?現実の企業名や商品名を例に出すということなのでしょうか? |
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固定資本の例が分かりやすかった。鉄板1000kgの例等。 | ||
熱意 | すばらしいと思います。 | |
(5) | 他の人に推薦 | 資本主義とか好きな人はぜひ。 |
(6) | その他 | ある一定水準の理解・知識が得られるようカリキュラムが立てられているなあと感じました。評価に透明性が与えられているのも有難いです。ただ,学者としての先生の個人的な主張が含まれた授業をして頂けると僕としてはもっと嬉しかったです。マルクス経済学II からの履修だったので,苦労した点も多かったです。 *「個人的な主張」について,授業中に「競争の支配的な資本主義の矛盾」について説明した後に何度か「市場・競争万能主義の小泉・竹中構造改革路線」についての批判をしたり,生産力の向上が利潤追求主義と結びついたときにもたらす問題などについて話したりしました。これらはマルクス経済学者としてのわたしの主張なんですが・・・。 |
ミクロ・マクロに比べてどうもマルクスは苦手です。もし可能ならもう少し現実と照らし合わせてもらえると嬉しかったです。 *ミクロやマクロの授業で「現実と照らし合わせて」授業が行なわれているとすると,それと同程度以上に折にふれて現実の問題と結びつけて説明していると自負していますが・・・。 |
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厳しい | ||
復習が必要な科目だなと思った。 | ||
「友達に聞くなら私に聞きなさい」とよくおっしゃっていたが,生徒が質問したら答えていなかったので,この矛盾を直していただけたら,と思います。 *授業中にこのように注意した時は私語が多いと感じたときです。ただ,出席者から質問があった時には答えなかったことはないはずです。 |
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先生のマルクスに対する熱い気持ちをひしひしと感じました!!僕もがんばります!! | ||
生徒に評価させる姿勢がすばらしい。 | ||
やればその分できるようになるのがわかった。 | ||
1年間ありがとうございました。景気と設備投資の関係はなるほどと思いました。 | ||
とても熱心に授業が聞けました。 | ||
1年間モチベーションを維持して授業なさる姿は大変尊敬しておりました。 | ||
三田での授業が楽しみです。先生の熱意を感じました。 | ||
*上記7件の感想について。教育への熱意とそのための努力については多少の自負もありますので,このようなコメントがあるとやはりわたしもうれしいです。みなさんもすばらしい潜在能力を持っているはずなので,これを機会にがんばって勉強してください。 |
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