「イラク戦争」関連年表 2006年 注釈

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[1-1]
内務省発表の2005年の死者の内訳は,民間人4020人,警官1241人,イラク兵475人,「テロリスト」1734人。国防相と保健省調査の負傷者の内訳は,民間人6086人含む8424人。
なお,イラク・ボディカウントの集計による2005年の民間人死者は最少11588人,最多12770人(8月31日のパニックによる最少965人,最多1005人を除く)である。より詳しくは,テーマ別資料【イラク戦争の犠牲者】を参照されたい。
[1-2]
ザワヒリ氏はブッシュ米大統領に対して,「ブッシュよ,お前はイラクで敗北し,アフガニスタンでも敗北しつつあり,そしてパレスチナでも敗北するであろうことを認めなければならない」。この他,支持者に対して,「ムジャヒディン(聖戦士)に横領されているイスラム教徒の石油に攻撃を集中することを呼びかける。石油収入の大部分はイスラムの敵に横奪され,残った部分も多くは我々の国を支配する泥棒どもに盗まれている」として,石油施設への攻撃を促している。(AP)
[1-3]
米陸軍の攻撃ヘリAH-64アパッチ撃墜についてウェブ上に実行声明を出した武装組織は,ムジャヒディン評議会(Mujahideen Council,イラク・アルカイダ機構と5つの武装グループによって新たに形成された組織とされる),ムジャヒディン軍,サラハディン・アルアユブ旅団の3つ。
ムジャヒディン軍の声明には,米軍ヘリに向けてソ連製の対空携行ミサイルSAM-7 ストレラ(1980年代にアフガン・ゲリラがソ連軍ヘリ攻撃に使用したミサイル)が発射される映像が掲載されている。(R)
[1-4]
1月20日発表の国民議会選挙最終結果は以下のとおり。
政党・政治組織名 議席数
統一イラク連合(シーア派) 128
クルド連合 53
イラク調和戦線(スンニ派) 44
イラク国民リスト(アラウィ代表,世俗派) 25
国民対話戦線(スンニ派) 11
クルド・イスラム同盟 5
和解と解放(スンニ派) 3
リサリユーン(サドル師派) 2
愛国ラフィダイン党(キリスト教徒) 1
イラク・トルクメン戦線 1
ミサル・アルアルジ(スンニ派) 1
ヤジディ運動 1
合計 275
[1-5]
ファディラ党とは,ムクタダ・サドル師の父で大アヤトラだった故サジク・サドル師を精神的指導者とする宗教集団。統一イラク連合内で15議席を獲得している。
[2-1]
2007会計年度国防支出4393億ドルのうち,新兵器購入費は842億ドル,研究開発費は732億ドル。
新兵器購入費には,F/A-18戦闘機42機35億ドル(主契約社ボーイング社),ハイテク駆逐艦2隻25億ドル(主契約社ゼネラル・ダイナミクス社とノースロップ・グラマン社),バージニア級攻撃型潜水艦1隻24億ドル(主契約社ゼネラル・ダイナミクス社とノースロップ・グラマン社)が含まれる。また空軍F-22戦闘機(ロッキード・マーチン社)の継続購入費を22億ドルに削減,2008会計年度から3年間にステルス型戦闘機20機の購入が盛り込まれる見込み。
今後5年間の兵器購入費の増加額は,2008年度997億ドル,09年度1090億ドル,10年度1117億ドル,11年度1180億ドル。
2007年度のイラク・アフガニスタン戦費は1200億ドルでこれまでの3200億ドルと合わせて4400億ドルになる。
なお,国防支出にはエネルギー省の核兵器生産費,イラク・アフガニスタン戦費は含まれていない。
[3-1]
イラク駐留米軍報道官のリンチ少将は,イラク軍や警察など治安部隊への攻撃は過去6カ月に比べて最近4週間に35%増加したこと,昨年5月〜7月の自爆攻撃は月平均50件だったが今年1月〜3月には24件に減少したことを示し,これはイラク治安部隊の能力が上昇したためであり,武装勢力が治安部隊を脅威と認識して標的としはじめたことを意味すると述べた。
また,2月22日のサーマッラ・アスカリ聖廟爆破はイラク・アルカイダ機構が内戦を煽るために実行したとの米国の見方に言及し,爆破事件以降の殺人や処刑形態の死者数はバグダッドだけで955人,イラク全土で1313人に上ると述べた。
さらに,イラク・アルカイダ機構がもはや脅威ではないとのジャブル内務相の見方を否定し,同機構による大規模な攻撃や自爆攻撃は減少しているが,勢力が弱まったという証拠はなくスンニ派青年を引きつける力は持ち続けているとの軍諜報機関の認識を紹介している。
大規模な攻撃の減少の理由については,アルカイダの指導者がザルカウィ氏に対してシーア派民間人への攻撃を有効的でないとして制限するよう説得したからだという見方も示している。
[4-1]
2006年のパレスチナに対する各国の援助計画は以下のとおり。
米国:2億3400万ドル(国連機関経由含む),EU:1億4800万ドル(05年は3億4500万ドル),ドイツ:7600万ドル(別にNGOや国連機関経由で5660万ドル),フランス:7390万ドル(世銀,国連機関経由含む),英国:6160万ドル(国連機関経由含む),オランダ:4060万ドル(国連機関経由含む),スウェーデン:3030万ドル(国連機関経由,別にNGO経由で3570万ドル),イタリア:2700万ドル,ベルギー:1300万ドル,フィンランド:740万ドル(国連機関経由含む),デンマーク:410万ドル,ギリシャ:680万ドル,アイルランド:490万ドル(国連機関経由含む),ルクセンブルグ:370万ドル(援助グループ経由),スペイン250万ドル(世銀経由),など。(AP)
[4-2]
ジャファリ氏は,4月初めにUIC内部やライス米大統領補佐官・ストロー英外相などに首相候補指名辞退を要求されても拒否し,首相続投の強い意思を示していた。ジャファリ氏が20日になって突然,首相候補指名の辞退した背景について,クルド政治家のオスマン氏は,前日にナジャフでカジ国連大使と会談したシスターニ師のシーア派連合に対する強い影響力とジャファリ氏の首相候補指名選挙で支援したサドル師の影響力があったとする見方を示している。[(AP)など]
[4-3]
マリキ氏はフセイン政権下のダワ党弾圧で1980年にイランに脱出,その後シリアでダワ党ゲリラのイラク内での反フセイン闘争を指導。フセイン政権崩壊後に帰国し,バース党公職追放委員会副委員長として脱バース党化政策を強力に進めて,スンニ派からの反発を買っていた。シーア派内でも強硬派と見られている。[(AP)など]
[4-4]
ビンラーデン氏の声明の骨子は以下のとおり。
(1) パレスチナ問題について,欧米諸国がハマスのイスラエル承認拒否を理由にパレスチナへの支援打ち切りを決定したことは,「欧米がイスラムに対してシオニズムによる十字軍の戦争を仕掛けている証明である」。
(2) スーダン西部ダルフール紛争について,「私は,スーダン西部における十字軍の略奪者たちに対する長期にわたる戦争を準備することを,とりわけスーダンとアラビア半島のムジャヒディーン(聖戦士)とその支援者に呼びかける。われわれの目的はハルツーム(スーダンの首都)政府の防衛ではなく,イスラムとその土地・人民を守ることである。私は,聖戦士たちにダルフールの土地と民族についてよく知るよう強く推奨する。」
(3) ムハンマド風刺漫画掲載に関連して,「世界中のイスラム教徒に対して,イスラムの預言者ムハンマドの風刺画を出版したデンマークの製品をボイコットしたように,米国製品のボイコットを呼びかける。」
[4-5]
米国防総省は日本に移転費の75%の負担を要求し,日本側は約30億ドルの負担を主張していた。
合意された日本側負担60億9000万ドルのうち,国庫からの財政支出は28億ドル,新設される特殊会社への出資金15億ドルと国際協力銀行などによる融資17億9000万ドル。
財政支出は隊舎・庁舎・学校など軍事訓練と直接関連しない施設建設費に,出資・融資は家賃収入が見込める海兵隊員の家族住宅建設などに充当されるという。
[5-1]
マイケル・ヘイデン国家情報副長官は現役の空軍大将,昨年まで通信傍受を担当する国家安全保障局(NSA)長官。対テロ戦争において米国内での令状なし盗聴計画を推進する立場だった。
ゴス前CIA長官とネグロポンテ国家情報長官(DNI)とは職務分担をめぐって軋轢があったとされ,ヘイデン副長官のCIA長官指名にはCIAとDNIスタッフとの関係改善を意図するネグロポンテ長官の意向が働いたと見られる。(2)(AP)
[5-2]
イスラム宗教者委員会が米軍の「残虐行為」によって民間人25人が死亡したと非難したバビル州での米軍の武装勢力掃討作戦についての米軍発表は以下のとおり。(M)
・連合軍は,4月1日のユシフィヤでの米軍ヘリAH-64アパッチの撃墜に主導的役割を果たしたイラク・アルカイダ機構のアブ・ムスタファを捜索していたが,ラティフィヤで5月13日夕刻(現地時間)に開始した4つの作戦行動でムスタファ含む16人の容疑者を殺害した。
この行動に付随して民間人4人(女性2人と子供2人)と容疑者2人が負傷し,部隊が病院に搬送するなどの処置をした。
・連合軍は14日午後にユシフィヤで敵の3つの隠れ家を陸空から攻撃し,テロリスト25人以上が死亡,4人を拘束し,3つの隠れ家と武器を積載した車1台が破壊された。地上部隊の捜索で負傷した民間人3人(大人の女性1人と少女2人)を発見し病院へ搬送するなどの処置をした。
[5-3]
ジョン・マーサ民主党議員は元海兵隊員でベトナム戦争従軍経験を持つ「タカ派」議員で,下院軍事委員会のメンバーとして軍側の立場に立って活動している。05年11月には,イラク国民の8割が米軍駐留に反対しており駐留米軍が武装勢力の主要な標的になっているとして,6カ月以内の米軍撤退と対イラク政策の全面的な転換を要求する決議案を下院本会議に提案した。
同議員は,05年11月19日にイラク・ハディサでIED攻撃により海兵隊員1人が死亡し直後の銃撃戦で民間人15人が死亡と軍が発表した事件について,軍関係者から得た情報として,IED爆発後に銃撃戦はなかった,爆発直後に海兵隊員が付近にいたタクシーに発砲,さらに民家に突入して「冷血にも」複数の無実の女性と子供も殺害した,民間人の死者は当初発表の約2倍の20人以上だったとしている。
同議員はこの事件を,イラク駐留米軍が過度の緊張とストレスにさらされていることの例証として持論の駐留米軍の早期撤退を主張している。
なお,海兵隊は主としてアンバル州に21,000人配備され,戦争開始時からの海兵隊員の死者は5月24日までで717人に上っている。
マーサ議員は5月28日にABCニュースで「軍が隠蔽しようとしたことに疑問の余地はない」,この種の事件の発生がイラクにおける米国の政策遂行力を阻害するのであり,「この戦争は軍事的に勝利することはできない」と強調した。
[5-4]
アフガニスタン南部はNATO主体の国際治安支援部隊(International Security Assistance Force)が治安責任を負っており,6月から英国・カナダ・オランダの各国軍を中心として9000人規模から16000人規模に増強し,米軍は23000人規模から2000-3000人を削減予定であった。5月に入ってアフガニスタン南部中心にタリバン武装勢力の攻撃が激化しており,削減が実施されるかどうか不透明な状態となっている。
[5-5]
アフガニスタン南部カンダハル州アジジ村の民家に対する21日夜から22日早朝にかけての米軍の空爆による死傷者について,
(a) 米軍報道官はタリバン20人の死者を確認しさらに60人死亡と推定,民間人の死傷者については調査中と発表し,「民間人の中に隠れた敵を攻撃する際には,よくあること(common)」であり,「我々はタリバンの建物を標的とし正しい標的を攻撃したと確信している」と発言。
(b) 州知事はタリバン約60人死亡,民間人16人死亡,15人負傷と発表,民間人の死傷者について「タリバンが民家に隠れている場合には,この種の事故は戦闘中におこりうることであり,住民はタリバンに隠れ家を提供しないよう勧める」と発言。
(c) 付近の住民の証言では,米軍ヘリがマドラサ(少年宗教学校)を空爆しタリバンが付近の民家に逃走,米軍ヘリはそれらの民家を空爆,これによりタリバン35-40人死亡,民間人50人が死傷,別の住民は民間人35人死亡,40人以上負傷と証言,病院は女性と子ども含む負傷者15人を受け入れと発表。
(d) タリバン報道官は米軍の空爆による死者はすべて民間人でタリバンの死者はなしと発表。(AP)(R)
(e) 26日にカンダハル州の独立人権委員会が現地からの避難民の証言として民間人34人死亡,11人負傷と発表。
[5-6]
5月23日に公表されたオサマ・ビンラーデン氏の音声による声明の内容は以下のとおり。
・2001年9月11日に4機の旅客機をハイジャックした19人に指示を出したのは自分である。
・米国内で起訴され終身刑の判決を受けたザカリアス・ムサウィに対して19人と行動を共にせよとの指示はしていない。
・当時ムサウィ氏はまだ飛行機操縦技術の訓練中であり,20人目の実行者ではなかった。ハイジャックのメンバーであるとの彼の自白は捜査当局の圧力による無効な自白である。
・ムサウィは事件の2週間前に逮捕されており,彼が事件について少しでも知っていたのなら,われわれは作戦のリーダーであるモハメド・アタ達に発見される前にアメリカを離れるよう知らせていたはずである。
・グアンタナモ収容所に拘束されている数百人のテロリスト容疑者は,2人を除いて誰も9.11に関わっていないし,ほとんどはアルカイダとも無関係である。
[5-7]
カリス近郊でのバス爆発事件について,イランの反政府派の人民ムジャヒディン機構(People's Mujahideen Organization)が,先週イラン外相がバグダッドを訪問したことを指摘し,攻撃はテヘラン政権およびそれに協力するイラク政府のシーア派が仕組んだものと非難している。
[5-8]
サーマッラの米軍監視所での米兵の発砲による女性2人殺害事件について,米軍と当事者の発言は次のとおり。
・米軍発表:自動車が監視所近くの立ち入り禁止の表示された区域に進入してきた際に,兵士が身振りと音声で警告したが停止しないため発砲した。発砲は車を停止させるために行なわれた。その後,イラク警察から銃撃による負傷が原因で女性2人が死亡し,女性1人は妊娠していた可能性があるとの報告を受け取った。
・死亡した女性と同乗し負傷した弟の証言:自分が運転し,米兵からの停止の合図も警告も見ていないためスピードを落とさなかった。米兵が2発発砲し女性2人が死亡して初めて停車した。発砲した米兵と彼らを派遣した者たちに神が報復するだろう。彼らは我々の生命を尊重していないのだ。(AP)
[6-1]
国防総省発表の,3月15日のイラク・サーマッラ南郊イシャキでの米軍による民間人殺害問題についての調査結果の概要は以下のとおり。
(1)信頼できる情報によってイシャキにおいてイラク・アルカイダ機構幹部らに対する軍事作戦を実行した。
(2)イシャキの民家(情報によれば武装勢力の隠れ家)に到着した際にその民家から銃撃を受けたため,軍の交戦規則にもとづいて小火器による応戦から空爆にいたる応戦を行ない,脅威を除去した
(3)この作戦により,クウェート出身のアルカイダ支部指導者(通称ハムザ)を拘束し,IED製造や武装勢力募集担当者(通称アブ・アフメド)の死体と非戦闘員3人の死体を発見した。
(4)この交戦に付随しておそらく9人程度の死者が出た模様であるが,崩壊した河邉や瓦礫のために正確な人数は不明である。
(5)無実の生命が失われたことは悲劇であり不幸なことであるが,米軍部隊は交戦規則に基づいて行動したのであり,兵士が民家に住む民間人を処刑し犯罪秘匿のために空爆を行なったとの訴えはまったくの誤りである。
[6-2]
2005年11月のハディサにおける海兵隊員による民間人24人殺害事件について,5月17日にマーサ下院議員が提起してまもなく,米のいくつかのメディアがベトナム戦争時の南ベトナム・ソンミ村虐殺事件と対比して報道している(ロイターの報道による)。

ソンミ村の虐殺事件(Son My Massacre or My Lai massacre):1968年3月16日に南ベトナム・クアンガイ省のソンミ村に米軍ヘリで降り立ったウィリアム・カリー陸軍中尉を隊長とする部隊が無差別に機関銃などを乱射し,女性182人・子供173人を含む無抵抗の村民504人を殺害した事件。現場は虐殺後に証拠隠滅のため焼き払われ,ゲリラ部隊との戦闘と報告された。
虐殺に関わった兵士からの報告で軍上層部は事実を把握していたが,反戦運動を刺激するなどの理由から事件は隠蔽された。
69年に内部告発から事件が明るみに出たため1970年にカリー中尉ら14人が殺人罪で起訴されたが,翌年の判決ではカリー中尉のみに終身刑,他の13人は証拠不十分で無罪となった。
控訴審判決でカリー中尉の刑は10年に減刑,さらにニクソン大統領が特赦による即時釈放を命令し,75年に中尉は釈放された。
[6-3]
4月26日のイラク・ハマンディヤでの海兵隊員による民間人殺害事件について,国防総省高官の情報の概要は以下のとおり。
海兵隊員が武装勢力捜索のため民家に突入したが発見できず,家屋内にいた非武装の民間人を外に連れ出して射殺した。別の場所で押収したAK-47小銃とシャベルを死体のそばに置いた。これは,IED設置中の武装勢力を海兵隊員が発見し,銃撃戦の上で殺害したと偽装しようとしたものと考えられる。
また,5日付のワシントン・ポスト紙は被害者の家族の証言として,被害者は52歳の身体障害者で顔面に4発の銃弾を受けて死亡した,先週になって海兵隊員が家族のもとを訪れて,事件について金銭と引き換えに海兵隊の説明を認めるよう提案した,と報道している。
[6-4]
アーレン・ワタダ陸軍中尉は28歳でハワイ出身の日系人。ワシントン州フォートルイス陸軍基地の第2歩兵師団第3旅団(ストライカー旅団)所属。
イラク派遣命令拒否の理由は以下のとおり。
03年3月に志願して士官任官した際には,「愛国心と使命を感じた。サダム・フセインが大量破壊兵器を持っていて米国にも使うかもしれないし,アルカイダとの関係があるというブッシュ政権による説明を信じていた,しかし, その説明は誤りだった。多くの兵士やその家族,罪のないイラク人の苦しみを目にした。犯罪に参加することはできない」。(2)
[6-5]
ザルカウィ氏殺害についてのイラク多国籍軍のケーシー司令官の発表の概要は以下のとおり。

ザルカウィ・ネットワークの複数の幹部からバクバ北方約8kmの隠れ家でザルカウィらが会合を開くとの情報があり,連合軍が隠れ家を空爆し,アルカイダ・テロリスト・リーダーのザルカウィ,副官1人,精神的助言者アブダル・ラフマンを殺害した。
空爆後,現地にイラク警察が到着し,その後すぐに多国籍軍北部部隊が到着,連合軍がザルカウィの指紋,顔の特徴,既知の傷跡からザルカウィ本人と確認した。
関係者のコメントは以下のとおり。
マリキ首相:ザルカウィのような者が現れれば,いつでも我々は殺す。彼の後を継ぐ者に対しては対決し続ける。

カリルザード米大使:ザルカウィの死は「偉大な成功」であるが,この国の暴力がこれで終わるわけではない。

ブッシュ米大統領:ザルカウィの死はアルカイダに対する痛烈な打撃であり,対テロ戦争における1つの勝利だ。イラク新政府にとってこの闘いにおいて形勢を逆転するチャンスであるが,セクト間の暴力はまだ継続するだろう。

ラムズフェルド米国防長官:これは意義深い勝利であるが,この国のすべての暴力の終わりではない。

ブレア英首相:今日の発表は非常によいニュースだ,イラク・アルカイダ機構に対する打撃は世界各地のアルカイダに対する打撃であるからだ。イラクにおいて暴力によって多数の死者が出ていることについては,ザルカウィの死によって変化はないだろう,我々はこのことに幻想を持つべきではない。
[10-1]
アフガン駐留NATO軍司令官のジョーンズ米将軍は,民間人に多数の死者がでていることを認めて謝罪する一方で,タリバン武装勢力は民間人を人間の盾としており,「非対称戦では武装勢力はわれわれと同じルールで行動しない」と述べ,戦闘中に武装勢力と民間人を区別するのは困難である,としている。つまり,民間人に死者が出ることを容認した上で,タリバン掃討のための軍事作戦を実行していることを事実上認めたことになる。
[12-1]
米軍発表によると,2005年3月には海兵隊員3000人,イラク治安部隊は300人であったが,2006年12月現在でファルージャには米海兵隊員300人,イラク警官700人,イラク兵3000人が合同で治安任務についているという。

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