「イラク戦争」関連年表 2004年2月

年表のトップページへ 前のページへ 次のページへ

主な出来事

  1. バグダッド周辺,スンニ派三角地帯を中心にイラク各地で駐留軍,イラク警察・治安部隊と武装グループとの戦闘や爆弾攻撃などが継続。
  2. イラク警察や治安部隊に対する攻撃が多発。
  3. 日本政府がイラクへ陸・海・空自衛隊を本格派遣。
  4. フセイン政権の大量破壊兵器(WMD)情報の信頼性について疑問深まり,米・英をれぞれ調査委員会設置。
  5. ブッシュ大統領が開戦前のWMD情報の不正確さを認めつつ,フセイン政権のWMD製造能力を理由に戦争を正当化。
  6. イラク復興について国連の役割拡大を求める動きが活発化,イラクへの主権移譲プロセスの部分的変更。
  7. イラク基本法の制定難航。

【イラクおよび周辺地図】 【用語集(人名・地名・組織名等】 【イラク戦争関連兵器】

月日 イラク軍事情勢 イラク政治情勢 日本の対応 アメリカの対応 その他の国,
国際機関の対応
イラク周辺国情勢
2.1 カルバラ南西サウジアラビア国境近くの武器庫で爆発,武器略奪をねらったとみられるイラク人約20人が死亡。(2)(3)
バラドの米軍補給基地に7発のロケット弾攻撃,米兵1人死亡,12人負傷。(2)(D)
アルビルのクルド人二大政党KDPとPUKの事務所で連続自爆テロ,56人死亡,200人以上負傷。(2)(3)
2.2 キルクークの米軍基地にロケット弾攻撃,米軍の応戦に巻き込まれ市民1人死亡,モスルで米軍車両にロケット弾攻撃。いずれもウォルフォウィッツ米国防副長官訪問時。(2) ブッシュ大統領が,イラク開戦前のWMD情報の信頼性問題で真相解明のための超党派の独立調査委員会設置の意向を表明。(2)
行政管理予算局長が,イラクとアフガニスタンでの米軍の軍事活動のため最大500億ドルの追加予算が必要との見通しを説明,米のイラク関連支出はすでに03年4月の補正予算785億ドル,11月の追加予算875億ドル。(2)(3)
イスラエル軍が,パレスチナ自治区ガザ南部ラファに侵攻,イスラム武装組織「イスラム聖戦」の拠点を攻撃,イスラム聖戦の地元指導者らパレスチナ人4人死亡。(1)
イスラエルのシャロン首相が与党リクードの議員総会で、パレスチナ自治区ガザにある17カ所のユダヤ人入植地を完全撤去する方針を表明。(2)
2.3 バグダッド国際空港にロケット弾2発着弾。(2)
バビル州イスカンダリヤで米軍車両への爆弾攻撃により米兵1人死亡。(D)
陸上自衛隊イラク派遣本隊の第1陣約90人が政府専用機でクウェートへ向けて出発。(2)(3) 英国がイラクのWMD未発見問題で独立調査委員会を設置。(2)
アナン国連事務総長がホワイトハウスでブッシュ米大統領と会談,暫定政権発足までの直接選挙実施の可否を判断する調査団派遣を契機に,イラク民主化へ向け国連として積極的に関与していく姿勢を示唆。(3)
2.4 ラムズフェルド国防長官が上院軍事委員会で「開戦前のイラクにWMDがなかった可能性はある」と発言。(2)(3) 英国防省情報部で大量破壊兵器分析の元責任者が,イラクは45分以内にWMDを実戦配備可能という情報に強い疑念を表明したが上層部に却下されたと英紙に寄稿。(2)
2.5 バグダッド国際空港周辺に4発の迫撃砲攻撃,米兵1人死亡,1人負傷。(2)(D) ナジャフでシスターニ師が暗殺目的とみられる発砲をうけたが無事。(2)(3) 石破防衛庁長官が,イラク派遣陸自先遣隊の調査報告前に防衛庁と外務省が原案を用意していたことを示す内部文書の存在を認める。(2) テネットCIA長官がフセイン政権のWMD問題について,生物・化学兵器などが存在した決定的な証拠は見つかっていないが製造能力をもち,核兵器開発意欲もあったと,開戦前のCIAの評価が正しかったと表明。(1)(3)
2.6 ブッシュ大統領が,フセイン政権のWMD開発計画をめぐる米情報機関の情報収集を検証する独立調査委員会を設置したと発表。(2)(3)
2.7 バグダッド南東スウェイラの警察署で爆弾が爆発,警官3人死亡,11人負傷。(2) イラクへの主権移譲に向けた直接選挙実施の可否を判断するための国連調査団がバグダッドに到着。(3) パレスチナ自治区ガザ市中心部でイスラエル軍の武装ヘリが走行中の車にミサイルを発射,乗っていたイスラム聖戦の活動家1人と車のそばにいた13歳の少年が死亡,約10人負傷。(1)
2.8 バビル州マフムディヤで路上爆弾攻撃により米兵1人死亡。(2)(D)
陸上自衛隊の本隊第1陣がサマワのオランダ軍宿営地に到着。(3)(5) ブッシュ大統領がテレビ番組でイラクのWMD未発見問題で,開戦前の情報の不正確さを容認しつつ,イラクのWMD製造能力を根拠に戦争を正当化。(2)(3) イラク開戦前に「イラクは45分以内にWMDを実戦配備可能」とした英政府報告書は,亡命イラク人からの間接情報にもとづき参戦の根拠として薄弱,と英紙が報道。(2)
2.9 タルアファル西方シンジャルでRPGや迫撃砲弾の不発弾処理中の爆発により米兵2人死亡。(D) 米軍がバグダッドに展開の米軍部隊の再配備を発表,米軍は主に近郊に基地を置き,中心部の警備はイラク警察と保安隊に移譲。(3) イラク特措法に基づく自衛隊派遣の承認案件が参院本会議で可決され事後承認完了,1188億円のイラク復興支経費含むを盛り込んだ03年度補正予算も可決。(2)(3) イラク駐留米軍が,アルカイダがシーア派へのテロ攻撃でスンニ派との対立を激化させ内戦状態を起こそうとする計画のメモを発見と発表。(2)
2.10 バグダッド南方イスカンダリヤの警察署前で自動車爆弾による自爆攻撃,50人以上死亡,60人以上負傷。(2)(3)
ラマディでCPAに協力的な部族指導者宅前で自爆テロ,護衛4人負傷。(3)
チグリス川でパトロール中に1月25日に行方不明になった米兵の死体発見,詳細調査中。(D)
2.11 バグダッドのイラク国軍新兵募集センター前で自動車爆弾による自爆攻撃,47人死亡,50人以上負傷。(2)(3) イラク駐留米軍が,10,11両日の連続自爆テロはザルカウィ氏の主導として,同氏への懸賞金を1000万ドルに倍増し追跡と身柄拘束に本腰を入れる方針を表明。(2) イスラエル軍がパレスチナ・ガザ自治区のガザ市中心部と南端のラファに侵攻,ガザ市でパレスチナ人13人死亡,ラファで2人死亡,負傷者は計50人以上。(1)
2.12 (現地11日夜)バグダッド西部で米軍車両へのIED攻撃により米兵2人,イラク人警官2人死亡。(2)(D)
ディワニヤでスペイン軍部隊に爆弾攻撃,同国兵士5人負傷。(2)
ファルージャでアビゼイド米中央軍司令官の車列にロケット弾攻撃,負傷者なし。(2)(7)
サマワ中心部に迫撃砲弾2発着弾,負傷者なし。(2)(3)
ブラヒミ国連事務総長特別顧問がシスターニ師とナジャフで会談,早期の直接選挙実施を求める同師の説得難航。(3)
2.13 (現地12日夜)バグダッド西部アブグレイブで米憲兵隊の車列に爆弾攻撃,米兵1人死亡,2人負傷。(2)(D)
米軍がモスルなどで反米武装勢力のものとみられる爆発物と大量の武器を押収,連合軍への攻撃を計画していた容疑者2人を拘束と発表。(2)
日英の外交当局による次官協議でイラクへの主権移譲に向け国連の関与拡大が重要との認識で一致。(2)(3) 韓国国会がイラクへの追加派兵案を可決,派遣済みの部隊約600人に約3000人追加で米英に次ぐ規模に。(2) アフガニスタンで対戦車地雷により米兵1人死亡。(D)
2.14 ファルージャで70人規模の武装集団が警察署・行政機関・イラク治安部隊基地などを攻撃,市街戦となり,警察官14人,市民5人,武装集団4人死亡,35人負傷。(2)(3)
2.15 バグダッド西部で米軍車列にIED攻撃,
#米兵が付近に無差別発砲,イラク人1人死亡,6人負傷。(2)(3)
イラク隣接6カ国とエジプトのがクウェートでイラク周辺国外相会議を開催し,イラクの主権回復で国連が中心的役割を担うことなどを求める声明を発表。(2)(3)
2.16 バクバで米軍車両への爆弾攻撃により米兵1人死亡。(D)
タルアファルで米軍車両への爆弾攻撃により米兵1人死亡。(D)
バグダッドで米軍車両への爆弾攻撃により米兵1人死亡。(D)
オランダ政府がサマワに同国部隊108人の追加派遣を表明。(2)(3)
2.17 #ティクリートで米軍が民家に迫撃砲を誤射,子供含む住民3人死亡。(2) 米軍がイラク国内で活動を続ける反米武装勢力の指導者ら32人の指名手配書を公表。(3) ブッシュ大統領が,フセイン政権打倒は98年にクリントン政権と議会が米国の政策として定めたものだと主張。(2)
2.18 ヒッラのポーランド軍を中心とした多国籍治安維持部隊の基地前で2台の自動車爆弾による自爆攻撃,住民ら11人死亡,ポーランド・フィリピン・ハンガリーなどの兵士ら60人以上負傷。(2) 小泉首相が管民主党代表との党首討論で,イラクのWMD未発見でも対イラク戦争に大義名分があり,日本の攻撃支持の正当性を重ねて主張。(1)(3) 赤十字国際委員会(ICRC)が,イスラエルがヨルダン川西岸占領地内に建設中の分離壁を国際法違反として重大な懸念を表明。(1)
2.19 ファルージャ近郊カルディヤでIED攻撃と銃撃により米兵2人死亡,1人負傷,イラク人1人死亡。(2)(3)(D)
2.20 陸上自衛隊イラク派遣部隊用の車両や装備品輸送のため,海上自衛隊輸送艦おおすみと護衛艦むらさめが室蘭港からクウェートに向け出港。(2)(3)
2.21 キルクークで国家警備隊本部を武装勢力が襲撃し銃撃戦,武装勢力1人死亡。(2) スンニ派の宗教指導者アルダーリ師が武装した2人組によって射殺。(2) 陸上自衛隊のイラク派遣主力部隊が航空自衛隊千歳基地からクウェートに向け出発。(3)(6)
2.22 バスラ近郊の英軍基地に向けて迫撃砲攻撃,被害なし。(2) アナン国連事務総長が川口外相との会談で,自衛隊のイラク人道復興支援の役割に感謝の意を表明。(2)(3) イスラエルのエルサレム中心部で自爆テロにより路線バスが爆発,少なくとも8人死亡、約60人負傷。(2)
2.23 キルクークのクルド人地区の警察署ので自動車爆弾による自爆攻撃,警官ら13人死亡,51人負傷。(3)(6)
バグダッドで武装集団の銃撃により駐留米軍雇用のイラク人技師や通訳計3人死亡。(2)
愛知県のNGO中心に全国1200人以上が自衛隊のイラク派遣差し止めを求めて名古屋地裁に集団提訴。(3)(6)
小泉首相とアナン国連事務総長が会談,イラクへの統治権限移譲過程で国連がより大きな役割を果たす必要があるとの認識で一致。(2)(6)
アナン国連事務総長がイラクの主権移譲プロセスに関する報告を発表,主権委譲は予定通り6月末,主権の受け皿となる暫定政府の選出方法は統治評議会とCPAの今後の話し合いに委ねる,直接選挙は2004年末から2005年初めに実施などの内容。(3) 国際司法裁判所(ICJ)が,イスラエルがヨルダン川西岸パレスチナ地区で建設中の分離壁が国際法に違反か否かを問う審理を開始。(2)
2.24 サマワの市街地に通じる主要道路で,TNT火薬数kgを車に隠し持っていた男2人組が拘束。(3)(6)
2.25 モスルで武装集団の銃撃により警察署長1人死亡。(2)
ファルージャ西方ハバニヤで米軍ヘリOH-58カイオワが墜落,乗員の米兵2人死亡,原因調査中。(6)(D)
国際協力銀行,イラクの電力復興支援を決定。(3)(6)
2.26 ヨルダン川西岸パレスチナ地区のビドゥで,イスラエルが建設中の分離壁に反対するパレスチナ人のグループとイスラエル治安当局との間で衝突,パレスチナ人2人死亡。(1)
イスラエルとパレスチナ自治区ガザを結ぶエレズ検問所付近でイスラエル兵が武装パレスチナ人の銃撃を受け,1人死亡,2人負傷,パレスチナ人2人も射殺,アルアクサ殉教者団が実行声明。(1)
2.27 暫定内閣のハフィド計画相が,昨年10月のイラク復興支援会議で各国・機関が拠出を約束した総額330億ドルの復興資金のうち,2004年に拠出されるのは最大でも40億ドルにとどまると表明。(3) 立川市の自衛隊駐屯地隣接の官舎の郵便受けに「イラク派遣反対」のビラを配布した市民団体のメンバー3人が住居侵入容疑で警視庁立川署に逮捕。(2)(6)
陸上自衛隊イラク派遣主力部隊の約130人がクウェートからサマワ入り,仮宿営地で先着の部隊約100人と合流。(2)(3)
川口外相とベーカー駐日米大使が日米物品役務相互提供協定(ACSA)改定案に署名,相互提供の条件に「武力攻撃事態」と「武力攻撃予測事態」,「国際貢献」を追加。(2)
ブッシュ大統領とシュレーダー独首相がホワイトハウスで会談し,イラク復興や中東の民主化での両国の協力,国連の役割拡大への支持などを内容とする共同声明を発表。(1)(3)
2.28 バグダッド北西部でIED攻撃によりパトロール中のエストニア軍兵士1人死亡。(2)(3) 統治評議会が「暫定憲法」となる「イラク基本法」の最終草案のうち,信教や表現の自由,基本的人権の保障などについて合意。(3) パレスチナ自治区ガザ北部でイスラエル軍武装ヘリが走行中の車をミサイル攻撃,イスラム聖戦武装部門の最高幹部ら3人殺害,巻き添えで女性や子供を含む周辺住民15人負傷。(1)
2.29 #サマワ北隣のルメイサ市の国道上で,米軍車両から住民車両に発砲,イラク人1人死亡,2人負傷,反発した地元住民数百人が米軍車両などに投石。(2)(3) UAEで開催のイラク復興支援国会議で,昨年10月の復興支援会議で拠出が表明された総額330億ドルのうち,イラク復興信託基金に計10億ドルを投入することで合意,資金の使途の監視委員会議長に日本を指名。(2)(3)

#:連合軍兵士の「誤射」・「誤爆」または過剰防衛によると見られる事件。

[出典]
(1)朝日新聞データベース:http://dna.asahi.com:7070/hscdoc/asa-start.html
(2)asahi.com:http://www2.asahi.com/special/iraqrecovery/
(3)共同通信:http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2004/iraq4/
(4)Sankei Web:http://www.sankei.co.jp/databox/iraq/sp_iraq_list.html
(5)NIKKEI NET:http://www.nikkei.co.jp/news/kaigai/
(6)MSN-Mainichi INTERACTIVE:http://www.mainichi-msn.co.jp/kokusai/
(7)YOMIURI ON-LINE:http://www.yomiuri.co.jp/features/gulf2/
(D)米国防総省:http://www.defenselink.mil/releases/archive.html

年表のトップページへ 前のページへ 次のページへ

*検索サイトから直接このページに来られた方へ
このページは延近研究会共同研究「イラク戦争を考える」の「資料:イラク戦争関連年表」のページの一部です。
年表の各年月へのリンク,共同研究の概要やさまざまな参考資料へのリンクなどを含む完全な形で表示するには,共同研究「イラク戦争を考える」のトップページから年表のページに移動してください。