調査への協力者は128名で、その内、単独歩行が可能な有効回答121名を分析の対象とした。以下、結果の概要を示す。
性別 | 人数(人) | % |
男性 | 75 | 62.0 |
女性 | 46 | 38.0 |
年齢 | 人数(人) | % |
70代 | 2 | 1.7 |
60代 | 23 | 19.0 |
50代 | 29 | 24.0 |
40代 | 19 | 15.7 |
30代 | 29 | 24.0 |
20代 | 16 | 13.2 |
10代 | 3 | 2.5 |
職業 | 人数(人) | % |
自営業 | 25 | 20.7 |
無職 | 19 | 15.7 |
会社員 | 18 | 14.9 |
主婦 | 15 | 12.4 |
公務員 | 11 | 9.1 |
学生 | 9 | 7.4 |
アルバイト・パート | 7 | 5.8 |
団体職員 | 6 | 5.0 |
その他 | 11 | 9.1 |
視力 | 人数(人) | % |
全盲 | 53 | 43.8 |
光覚 | 19 | 15.7 |
手動弁 | 10 | 8.3 |
指数弁 | 4 | 3.3 |
0.01以上 | 35 | 28.9 |
視野の状態 | 人数(人) | % |
狭窄 | 29 | 24.0 |
暗点 | 6 | 5.0 |
その他 | 7 | 5.8 |
聴覚の状態 | 人数(人) | % |
正常 | 111 | 91.7 |
難聴 | 3 | 2.5 |
ろう | 1 | 0.8 |
その他 | 6 | 5.0 |
その他の障害 | 人数(人) | % |
なし | 112 | 92.6 |
あり | 9 | 7.4 |
失明時期 | 人数(人) | % |
中途 | 67 | 55.4 |
先天 | 51 | 42.1 |
不明 | 3 | 2.5 |
等級 | 人数(人) | % |
1級 | 89 | 73.6 |
2級 | 30 | 24.8 |
3級 | 2 | 1.7 |
歩行訓練経験 | 人数(人) | % |
受けたことがある | 89 | 73.6 |
受けたことはない | 32 | 26.4 |
歩行訓練の機関 | 人数(人) | % |
盲学校 | 38 | 31.4 |
ライトハウス | 17 | 14.0 |
国リハ | 8 | 6.6 |
盲導犬 | 6 | 5.0 |
視力障害センター | 3 | 2.5 |
病院 | 2 | 1.7 |
その他< | 32 | 26.4 |
都道府県 | 人数(人) |
東京都 | 24 |
神奈川県 | 11 |
埼玉県 | 9 |
兵庫県 | 7 |
千葉県 | 7 |
愛知県 | 6 |
三重県 | 6 |
大阪府 | 6 |
京都府 | 5 |
茨城県 | 3 |
広島県 | 3 |
佐賀県 | 3 |
滋賀県 | 3 |
岐阜県 | 2 |
群馬県 | 2 |
静岡県 | 2 |
福岡県 | 2 |
岡山県 | 1 |
宮城県 | 1 |
長崎県 | 1 |
島根県 | 1 |
奈良県 | 1 |
北海道 | 1 |
和歌山県 | 1 |
交通量 | 人数(人) | % |
多い | 42 | 34.7 |
普通 | 57 | 47.1 |
少ない | 8 | 6.6 |
無回答 | 14 | 11.6 |
白杖利用 | 人数(人) | % |
いつも利用する | 95 | 78.5 |
必要に応じて | 18 | 14.9 |
利用しない | 8 | 6.6 |
外出頻度 | 人数(人) | % |
ほとんど毎日 | 93 | 76.9 |
週2〜3回 | 14 | 11.6 |
週1回程度 | 7 | 5.8 |
月2〜3回 | 5 | 4.1 |
その他 | 2 | 1.7 |
目的 | 人数(人) | % |
通勤 | 68 | 56.2 |
買い物 | 61 | 50.4 |
散歩 | 33 | 27.3 |
習い事 | 31 | 25.6 |
その他 | 44 | 36.4 |
路地発見の手がかり | 人数(人) | % |
記憶 | 96 | 79.3 |
段差 | 96 | 79.3 |
音 | 95 | 78.5 |
傾斜 | 90 | 74.4 |
他者 | 90 | 74.4 |
点ブロ | 87 | 71.9 |
風 | 58 | 47.9 |
匂い | 40 | 33.1 |
光 | 30 | 24.8 |
その他 | 42 | 34.7 |
昼間は見える、空や道の色、白線の色など
塀の角、縁石、側溝の蓋、壁、ガードレール、看板、電柱など
「歩いている途中で路地が出ると広がった感覚が出てくる」「左右が広い・狭いだけは額のあたりの感覚で分かる」など
進行方向の手がかり | 人数(人) | % |
他者 | 97 | 80.2 |
音 | 92 | 76.0 |
記憶 | 81 | 66.9 |
段差 | 80 | 66.1 |
傾斜 | 73 | 60.3 |
点ブロ | 70 | 57.9 |
風 | 43 | 35.5 |
匂い | 28 | 23.1 |
光 | 25 | 20.7 |
確認しない | 3 | 2.5 |
その他 | 23 | 19.0 |
横断終了の手がかり | 人数(人) | % |
段差 | 105 | 86.8 |
傾斜 | 89 | 73.6 |
点ブロ | 83 | 68.6 |
音 | 68 | 56.2 |
他者 | 65 | 53.7 |
記憶 | 62 | 51.2 |
風 | 34 | 28.1 |
光 | 20 | 16.5 |
匂い | 18 | 14.9 |
確認しない | 1 | 0.8 |
その他 | 17 | 14.0 |
車の存在の手がかり | 人数(人) | % |
音 | 112 | 92.6 |
他者 | 89 | 73.6 |
風 | 19 | 15.7 |
光 | 15 | 12.4 |
匂い | 13 | 10.7 |
なし | 6 | 5.0 |
その他 | 23 | 19.0 |
危険遭遇経験 | 人数(人) | % |
ある | 101 | 83.5 |
ない | 19 | 15.7 |
無回答 | 1 | 0.8 |
→ あると回答された方にお尋ねします。車の存在に気づかなかったのは何故ですか?
気づかない理由 人数(人) % 騒がしい場所でエンジン音が聞こえなかった 70 57.9 静かな場所だがエンジン音が聞こえなかった 39 32.2 他のことに気をとられていた 38 31.4 車のことを気にしてない 3 2.5 その他 29 24.0
不安 | 人数(人) | % |
人や車にぶつかるのではないか不安 | 63 | 52.1 |
路地をまっすぐに横断できないか不安 | 42 | 34.7 |
路地を見つけることが難しい | 40 | 33.1 |
特になし | 15 | 12.4 |
その他 | 22 | 18.2 |
事故経験 | 人数(人) | % |
ない | 74 | 61.2 |
ある | 46 | 38.0 |
無回答 | 1 | 0.8 |
最も多かった回答が、「白杖破壊」されたというものである。またその次に多く見られたのが車と「接触」事故を起こしたというものである。どちらも、運転手の不注意で右折・左折車に巻き込まれたという事故が多い。車のスピードが出ていなかったため軽傷で済んだという事例もあるが、「気がついたときには病院にいました」という回答も見られた。また、横断歩道上に「停止した車に衝突」という回答も少数見られた。
前方や後方から来た車のヘッドライトやミラーに「接触」下という回答が多く見られた。また、「白杖破壊」や「足を轢かれる」、「自転車で衝突」などの回答も見られた。事故に陥った理由としては、線路沿いで電車の音に気を取られたと言う回答や、雑踏で車の音が聞こえなかったという理由があげられた。
駐車場から主にバックで出てきた車両に「接触」したり、「白杖破壊」されたという回答が見られた。理由としては、車が静かに出てきたという意見や、車道の車の騒音が大きく出てきた車の音に気付かなかったという意見があげられている。車のスピードが出ていなかったため、大事には至らなかったという意見も多く見られた。
駐車してあった車に気付かず「停止した車に衝突」したり、「白杖破壊」されたりという回答が見られた。典型的な回答としては、トラックが停車していたのだが、杖が荷台の下に入り込み存在に気付かず、荷台に衝突したというものである。
当事者の前方を左折または右折する車両に「足を轢かれる」、「接触」、「白杖破壊」されるとの回答が見られた。理由としては「音もなく車が来た」、「通行量が多いため音の確認が出来ず」などがあげられている。
横断歩道上に停車した車をさけようと後方にまわりこんだところ突然バックされ、「白杖破壊・転倒」したという回答と、停車していた車両が突然バックしてきて「接触」したという回答が見られた。
静かな車について | 人数(人) | % |
知っている | 94 | 77.7 |
遭遇したことがある | 17 | 14.0 |
知らない | 10 | 8.3 |
最も多かった回答が「車の存在が分からなくなる」というものであり、また類似のものとして「事故の危険が増える」、「ハイブリッド以外の車と混ざった場合に感知困難」、「低速移動をする車の存在がわからなくなる」等の、不安や恐怖を述べた回答が見られた。またその次に多く見られた回答が「路地横断時の手がかりが減少する」、「歩行の手がかりが減少する」、というものであり、類似のものとして「単独歩行の障害になる」等の、歩行が困難になるという予想を述べたものがあった。また、「視覚障害者以外の人々にも問題になるのでは」という回答も多く見られた。その他、「恐怖」や「不安」、「困る」とのみ答えた回答や、「騒音問題は別問題では」とする回答、さらに「自立性を喪失する」と述べた回答も見られた。
「喜ばしい」と回答した人の多くは、その理由をハイブリッド車によって「騒音が減少するかから」と述べている。また、「環境に良い」と回答する人も見られた。「騒音問題、環境問題両方に良い」と回答した人も見られた。少数ではあるが「静かになって周囲の音が聞きやすくなる」という回答もあった。
「仕方がない」と答えた理由としては、「環境によい」とするものが最も多く、加えて「騒音問題、環境問題両方に良い」、「健常者との協調のため」とするものが少数見られた。
最も多く見られた回答が、エンジン音に代わって「車から継続的に音を出す」というものであり、その次に多くの回答があげられたのが低速時や接近時など「車からある条件の場合に警告音を出す」というものである。これには、クラクションではなく音声などで警告音を発して欲しいという意見も多く含まれる。また、これ以外の「車に付加する新技術開発」によって、車が来たことを知らせたり車が自動的に停止したりすることを望む回答もあり、少数ではあるが何らかの技術によって「運転手に警告を出す」事を望む回答もあった。
当事者が所持して車の存在を知らせる「車センサーの開発」を求める回答と、「視覚障害者の努力・注意」を促す回答が同程度あり、その他音声信号やすでに存在する受信機等に対応した「障害者用新技術開発」を求める回答があった。
音響信号や誘導ブロックなどの「インフラ整備」を求めるものが最も多く、少数ではあるがハイブリッドカーの存在を知らせるための仕組み作りや製品開発のための「法規整備」や、当事者の安全をより強固に守るための「法的罰則強化」を求める回答が見られた。
「ドライバーのモラル向上」に関する回答が多く寄せられた。これには単にドライバーのモラル向上を求めるものから、教習所等での教育によるものまで含まれる。
ここでの回答は「受信機−発信器システムの開発」に集中している。発信器・受信機が作動する条件、また受信の方法について多少の差はあるものの、当事者と車の両方に備える新たな機器を開発するという点では一致している。
最も多かった回答は、歩道やガードレールが無い等の「歩道の整備」に関わるもので、また歩道に関するものとして歩車道の境界に「段差は必要」だとする回答も多かった。これに関連して、多数ではないもの表面の平滑さなど「歩道の性能」や「歩道のメンテナンス」に関する回答も見られた。また、「歩道の整備」に並んで多く見られた回答は「誘導ブロック上の障害物」に関する回答であり、「誘導ブロックの敷設方法」に関する回答も多く見られた。また「誘導ブロックの有無」に関する回答もいくつか見られた。また、多数ではないものの施設の「出入り口」のわかりにくさに関する回答も寄せられた。加えて、少数ではあるが横断歩道の安全に関わる「横断歩道の構造」についての回答や、「グレーチング」に杖が入り込んでしまう等の回答も見られた。
本質問項目で最も多くの回答が寄せられたのが、歩道上の「看板等」に対するものである。また歩道上の「駐車」している車についての回答も比較的多く、それほどではないが「放置自転車」に関する回答も多く見られた。歩道上の「人」が歩行の際の障害物になっているという回答も比較的多数見られた。
「音響信号の有無」について、最も多くの回答が寄せられた。また、横断歩道周辺の「音」の問題も、同程度の回答が見られたその他、少数ながら音響信号の音量など「音響信号の性能」に関する回答、横断時の一般的な「不安」感に関する回答、横断時の歩行者や車の「マナー」に関する回答、並びに横断歩道上の「障害物」に関する回答が見られた。
バス・電車等「公共交通」に関する意見が多く寄せられた。電車に関してはホームや券売機、車内放送などについて、バスについては乗り場位置や車内放送、行き先表示についての事項が含まれる。その他少数ではあるが、「エスカレータ」に関する回答、「視覚的サイン」に関する回答が見られた。
音もなく接近してくる「無謀自転車」に関しての回答が最も多い。また、「雨天」時における音環境の変化や、車や商店の「騒音」によって音が聞き取りにくくなること等の回答も見られた。
車の運転や歩道上の障害物に関わる、人々の「モラル」の問題の指摘も多く見られた。また、「誘導」の方法に対する不満や、誘導されることで地理を覚えなくなってしまう等の回答も見られた。
「白杖」についての不満、それ以外の「補助器具」についての不満が少数ではあるが見られた。
「時間的余裕」をもって行動するという回答が最も多く、ついで場所や体調に応じて最適な「経路選定」を行うという回答が多い。以下、少数ではあるが「事前準備」を入念に行うといった回答や「横断歩道」の渡り方について留意するという回答、できるだけ経路の特徴を「記憶」するという回答、ならびに「体調管理」に気を配るという回答も見られた。
「視覚情報」に気を配る、できるだけ「集中」して歩く、「聴覚」に頼って横断などを行う、「誘導ブロック」に注意するという回答が同程度見られた。
他人に対して「服装等」などによりはっきりと存在を知らせる努力をするという回答が見られた。「横断時に挙手」をするという回答もあった。
迷ったときや電車での移動時は、周囲の人々や駅員の方々などに「援助依頼」を行うという回答があった。
歩行「訓練」を受けたり、常に自分の歩行技術を高める努力を行うという回答があった。また、「白杖の使い方」に気を配るという回答も見られた。