第2章 拡大教科書の効率的な作成支援に関する調査


2.4 弱視学級や通常の学級で弱視児童生徒を指導している教員を対象とした拡大教科書の選定・指導実態調査

(1)具体的内容及び方法

 拡大教科書を利用している小中学校の児童生徒の担任を対象に、拡大教科書の選定・指導等の実態を、郵送方式のアンケート調査により調べた。質問した内容は、拡大教科書の選定方法、指導上困っていること、他の専門家から受けている支援、拡大教科書以外の配慮、白黒反転の有効性等であった。本調査の調査票を資料7 弱視学級や通常の学級に在籍している弱視児童生徒への実態調査 通常の学級用調査票、及び、資料8 弱視学級や通常の学級で弱視児童生徒を担任している教員を対象とした拡大教科書の選定・指導等の実態調査 調査票として、添付した。

(2)実施結果

 通常の小学校教員361人、通常の中学校教員167人、小学校の弱視学級教員126人、中学校の弱視学級教員41人から有効回答が得られた。以下、主な結果を記す。

 「拡大教科書を紹介する際の方針を教えてください」という質問に対する回答を表2.4.1、図2.4.1に示した。表2.4.1、図2.4.1より、弱視学級においては、希望の有無にかかわらず、弱視の児童生徒には拡大教科書を紹介している(56.1%)が6割ほどで最も多く、児童生徒や保護者から希望があった場合のみ紹介している(25.7%)が3割程度であるのに対し、通常の学級においては、希望の有無にかかわらず、弱視の児童生徒には拡大教科書を紹介している(39.0%)も、児童生徒や保護者から希望があった場合のみ紹介している(39.0%)も共にほぼ4割であった。

表2.4.1 拡大教科書を紹介する際の方針

合計
児童生徒や保護者から希望があった場合にのみ紹介している
希望の有無にかかわらず、弱視の児童生徒には拡大教科書を紹介している
教育委員会や専門機関等から指示等があった場合に紹介している
その他
無回答
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
通常学級
528
100
206
39.0
206
39.0
70
13.3
39
7.4
7
1.3
弱視学級
171
100
44
25.7
96
56.1
13
7.6
16
9.4
2
1.2
合計
699
100
250
35.8
302
43.2
83
11.9
55
7.9
9
1.3

表2.4.1をもとに通常学級、弱視学級別の拡大教科書を紹介する際の方針を棒グラフに表したもの

図2.4.1 拡大教科書を紹介する際の方針

 拡大教科書の選定方法に関する「文字サイズ等の選定方法を教えてください」という質問に対する回答を表2.4.2、図2.4.2に示した。ただし、本質問項目に関しては、複数回答を認めていた。表2.4.2、図2.4.2より、弱視学級においては、本人や家族に選んでもらっている(48.0%)が5割と最も多く、ついで視力や視野等の評価結果に基づいて決めている(36.8%)が4割、専門機関等に相談して決定してもらっている(23.4%)が3割となっている。また、通常の学級においては、本人や家族に選んでもらっている(55.1%)が6割と最も多く、ついで視力や視野等の評価結果に基づいて決めている(21.4%)が2割となっている。

表2.4.2 文字サイズ等の選定方法

合計
通常の教科書よりも大きな文字サイズであればよいと考えて選んでいる
教科書の版の大きさで決めている
視力や視野等の評価結果に基づいて決めている
本人や家族に選んでもらっている
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
通常学級
528
100
69
13.1
29
5.5
113
21.4
291
55.1
弱視学級
171
100
24
14.0
15
8.8
63
36.8
82

48.0

合計
699
100
93
13.3
44
6.3
176
25.2
373
53.4
 
出版社のホームページや拡大教科書選定支援キット等のサンプルを用いている
出版社が出している拡大教科書の中で最も大きな文字サイズを選ぶようにしている
専門機関等に相談して決定してもらっている
その他
無回答
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
通常学級
37
7.0
32
6.1
71
13.4
52
9.8
8
1.5
弱視学級
32
18.7
11
6.4
40
23.4
12
7.0
2
1.2
合計
69
9.9
43
6.2
111
15.9
64
9.2
10
1.4

表2.4.2をもとに通常学級、弱視学級別の文字サイズ等の選定方法を棒グラフに表したもの

図2.4.2 文字サイズ等の選定方法

 専門家への相談の有無に関する「文字サイズ等を選定する際に、専門機関等に相談していますか?」という質問に対する回答を表2.4.3、図2.4.3に示した。ただし、本質問項目に関しては複数回答を認めていた。表2.4.3、図2.4.3より、弱視学級においては、誰にも相談していない(31.6%)が3割で、無回答(1.8%)を除く6割程度が何かしらの専門機関に相談をしているのに対して、通常の学級においては、誰にも相談していない(46.0%)が5割ほどで、無回答(2.5%)を除く5割ほどが専門機関等に相談をしていることが明らかとなった。

表2.4.3 文字サイズ等を選定する際の専門機関等への相談状況

合計
視覚障害特別支援学校(盲学校)
弱視特別支援学級・弱視通級指導教室
教育委員会
眼科医・視能訓練士
大学
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
通常学級
528
100
86
16.3
54
10.2
81
15.3
38
7.2
2
0.4
弱視学級
171
100
53
31.0
17
9.9
27
15.8
25
14.6
-
0.0
合計
699
100
139
19.9
71
10.2
108
15.5
63
9.0
2
0.3
 
福祉施設
ボランティア
誰にも相談していない
その他
無回答
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
通常学級
1
0.2
24
4.5
243
46.0
40
7.6
13
2.5
弱視学級
1
0.6
9
5.3
54
31.6
16
9.4
3
1.8
合計
2
0.3
33
4.7
297
42.5
56
8.0
16
2.3

表2.4.3をもとに通常学級、弱視学級別の文字サイズ等を選定する際の専門機関等への相談状況を棒グラフに表したもの所

図2.4.3 文字サイズ等を選定する際の専門機関等への相談状況

 盲学校等の専門機関における支援の認知に関する「拡大教科書の選定を行うために盲学校等の専門機関で以下の支援が受けられることをご存じでしたか?」という質問に対する回答を表2.4.4、図2.4.4に示した。表2.4.4、図2.4.4より、弱視学級では4割、通常の学級では6割の教員が支援が受けられることを知らないことがわかった。

表2.4.4 盲学校等の専門機関における支援の認知

合計
ルーペ等の補助具と拡大教科書の併用方法に関する評価・相談
拡大教科書のサンプルの閲覧や選定の支援
読書速度等の評価
拡大教科書の効果的な使い方に関するアドバイス
知らなかった
無回答
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
通常学級
528
100
130
24.6
90
17.0
35
6.6
79
15.0
342
64.8
9
1.7
弱視学級
171
100
70
40.9
71
41.5
32
18.7
43
25.1
71
41.5
3
1.8
合計
699
100
200
28.6
161
23.0
67
9.6
122
17.5
413
59.1
12
1.7

表2.4.4をもとに通常学級、弱視学級別の盲学校等の専門機関における支援の認知を棒グラフに表したもの

図2.4.4 盲学校等の専門機関における支援の認知

 教科書発行者の拡大教科書選択のポイントに関する「教科書発行者の拡大教科書を使用している場合、文字サイズ等を選ぶ際に、何を参考にしていますか?」という質問に対する回答を表2.4.5、図2.4.5に示した。ただし、本質問項目に関しては、複数回答を認めていた。表2.4.5、図2.4.5より、拡大教科書の文字サイズ等を選ぶ際に、弱視学級においては、文字サイズ(ポイント数)(77.2%)が8割と最も多く、ついで、出版社のホームページのサンプル(20.5%)が2割、拡大教科書選定支援キットの拡大教科書サンプル集を参考にしている(8.2%)が1割で、何かしらのサンプルを参考にしているのが合わせて3割程度であった。また、通常の学級では、文字サイズ(ポイント数)(67.4%)が7割と最も多く、ついで、出版社のホームページのサンプル(11.2%)が1割程度であった

表2.4.5 文字サイズ等を選ぶ際に参考にするもの

合計
文字サイズ(ポイント数)
出版社のホームページのサンプル
出版社から直接提供を受けた情報
拡大教科書選定支援キットの拡大教科書サンプル集を参考にしている
その他
無回答
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
通常学級
528
100
356
67.4
59
11.2
42
8.0
34
6.4
74
14.0
26
4.9
弱視学級
171
100
132
77.2
35
20.5
7
4.1
14
8.2
20
11.7
3
1.8
合計
699
100
488
69.8
94
13.4
49
7.0
48
6.9
94
13.4
29
4.1

表2.4.5をもとに通常学級、弱視学級別の文字サイズ等を選ぶ際に参考にするものを棒グラフに表したもの

図2.4.5 文字サイズ等を選ぶ際に参考にするもの

 ボランティア作成の拡大教科書選択のポイントに関する「ボランティア作成の拡大教科書を使用している場合、文字サイズ等を選ぶ際に、ボランティアとどのようなやり取りをしていますか?」という質問に対する回答を表2.4.6、図2.4.6に示した。ただし、本質問項目に関しては、複数回答を認めていた。表2.4.6、図2.4.6より、弱視学級においては、ボランティアとのやりとりはない(35.1%)が4割程度で、無回答(24.6%)を除くおよそ4割程度がボランティアと何らかのやり取りをしていることがわかった。また、通常の学級においては、ボランティアとのやりとりはない(50.9%)が5割程度で、無回答(18.2%)を除くおよそ3割程度がボランティアと何らかのやり取りをしていることがわかった。

表2.4.6 文字サイズ等を選ぶ際に、ボランティアとどのようなやり取りをしているか

合計
文字サイズ(ポイント数)を伝えている
教育委員会等にまかせている
ボランティアが作成しているサンプル(見本)を参考にしている
拡大教科書選定支援キットの拡大教科書サンプル集を参考にしている
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
通常学級
528
100
80
15.2
64
12.1
32
6.1
8
1.5
弱視学級
171
100
39
22.8
28
16.4
20
11.7
-
0.0
合計
699
100
119
17.0
92
13.2
52
7.4
8
1.1
 
直接会って話し合っている
ボランティアとのやりとりはない
その他
無回答
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
通常学級
22
4.2
269
50.9
21
4.0
96
18.2
弱視学級
9
5.3
60
35.1
10
5.8
42
24.6
合計
31
4.4
329
47.1
31
4.4
138
19.7

表2.4.6をもとに通常学級、弱視学級別の文字サイズ等を選ぶ際に、ボランティアとどのようなやり取りをしているかの回答を棒グラフに表したもの

図2.4.6 文字サイズ等を選ぶ際に、ボランティアとどのようなやり取りをしているか

 「拡大教科書を使用する弱視児童生徒を指導する際に困ることはありますか?」という質問に対する回答を表2.4.7、図2.4.7に示した。表2.4.7、図2.4.7より、7割の弱視学級の教員が指導の際に困ることがあることがわかった。

表2.4.7 拡大教科書を使用する弱視児童生徒を指導する際に困ることの有無

<弱視学級教員>

回答者数
比率(%)
困ることがある
122
71.3
困ることはない
45
26.3
無回答
4
2.3
合計
171
100

表2.4.7をもとに拡大教科書を使用する弱視児童生徒を指導する際に困ることの有無を棒グラフに表したもの

図2.4.7 拡大教科書を使用する弱視児童生徒を指導する際に困ることの有無

 拡大教科書を使用する弱視児童生徒を指導する際に困る内容を表2.4.8、図2.4.8に示した。表2.4.8、図2.4.8より、拡大教科書を使用する弱視児童生徒を指導する際に困ることとして、通常の教科書とページの表記が異なる(70.5%)ことが多いということがわかった。

表2.4.8 拡大教科書を使用する弱視児童生徒を指導する際に困る内容

<弱視学級教員>

回答者数
比率(%)
書体が不適切である。(細かくて見にくい、漢字が正しく書かれていないなど)
6
4.9
通常の教科書とページが異なる
86
70.5
拡大教科書が白黒反転ではないため、見えにくい
1
0.8
拡大教科書を使っても読み書きの速度が遅い
8
6.6
拡大教科書を置くための机やロッカー等がない
3
2.5
弱視児童生徒が拡大教科書を使ってくれない
5
4.1
その他
12
9.8
無回答
1
0.8
合計
122
100

表2.4.8をもとに拡大教科書を使用する弱視児童生徒を指導する際に困る内容を棒グラフに表したもの

図2.4.8 拡大教科書を使用する弱視児童生徒を指導する際に困る内容

 専門家等からの支援に関する「拡大教科書の選定や弱視児童生徒の指導等に関して専門家等からの支援を受けていますか?」という質問に対する回答を表2.4.9、図2.4.9に示した。表2.4.9、図2.4.9より、拡大教科書の選定や弱視児童生徒の指導に専門家等から支援を受けているかどうか関して、弱視学級においては、受けている(50.9%)が5割と、受けていない(48.0%)が5割となり、受けている場合と受けていない場合が半々であるのに対し、通常の学級においては、受けている(33.9%)が3割と、受けていない(64.6%)が6割となり、若干受けていない場合の方が多い事が明らかとなった。

表2.4.9 拡大教科書の選定や弱視児童生徒の指導等に関して専門家等からの支援を受けているか

合計
受けている
受けていない
無回答
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
通常学級
528
100
179
33.9
341
64.6
8
1.5
弱視学級
171
100
87
50.9
82
48.0
2
1.2
合計
699
100
266
38.1
423
60.5
10
1.4

表2.4.9をもとに通常学級、弱視学級別の拡大教科書の選定や弱視児童生徒の指導等に関する専門家等からの支援の有無を棒グラフに表したもの

図2.4.9 拡大教科書の選定や弱視児童生徒の指導等に関して専門家等からの支援を受けているか

 拡大教科書の選定や弱視児童生徒の指導等に関して専門家等からの支援を受けていると回答した教員の支援内容を表2.4.10、図2.4.10に示した。ただし、本質問項目に関しては、複数回答を認めていた。表2.4.10、図2.4.10より、具体的な支援の内容に関して、弱視学級において回答数が5割を超えた項目は、拡大教科書の文字サイズ等の選定の支援(55.2%)、児童生徒の見え方・見えにくさ等の評価に関する支援(60.9%)、ルーペや単眼鏡等の補助具の選定や活用方法に関する支援(66.7%)、便利グッズに関する紹介・指導(54.0%)、視覚障害教育に関する研修会等の提供(56.3%)であった。また、通常の学級において回答数が5割を超えた項目は、児童生徒の見え方・見えにくさ等の評価に関する支援(50.8%)、ルーペや単眼鏡等の補助具の選定や活用方法に関する支援(57.5%)、座席の位置やまぶしさへの配慮等の環境整備に関する支援(50.8%)であった。

表2.4.10 専門家等からの受けた支援の内容

合計

拡大教科書の文字サイズ等の選定の支援

児童生徒の見え方・見えにくさ等の評価に関する支援
ルーペや単眼鏡等の補助具の選定や活用方法に関する支援
目の使い方に関する指導
便利グッズに関する紹介・指導
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
通常学級
179
100
76
42.5
91
50.8
103
57.5
27
15.1
62
34.6
弱視学級
87
100
48
55.2
53
60.9
58
66.7
23
26.4
47
54.0
合計
266
100
124
46.6
144
54.1
161
60.5
50
18.8
109
41.0
 
座席の位置やまぶしさへの配慮等の環境整備に関する支援
漢字や図形などの座学の教科指導に関わる支援
体育や裁縫など実技系の教科指導に関わる支援
対人関係や援助依頼方法等に関する支援
障害理解教育等の推進に関する支援
進学・進路等の相談に関する支援
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
通常学級
91
50.8
49
27.4
35
19.6
25
14.0
16
8.9
44
24.6
弱視学級
39
44.8
24
27.6
16
18.4
11
12.6
14
16.1
29
33.3
合計
130
48.9
73
27.4
51
19.2
36
13.5
30
11.3
73
27.4
 
児童生徒のカウンセリング等の精神的な支援
視覚障害教育に関する研修会等の提供
弱視を理解するための書籍やガイドブック等の紹介
専門家の派遣
その他
無回答
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
通常学級
26

14.5

47
26.3
22
12.3
30
16.8
9
5.0
3
1.7
弱視学級
9
10.3
49
56.3
32
36.8
23
26.4
1
1.1
2
2.3
合計
35
13.2
96
36.1
54
20.3
53
19.9
10
3.8
5
1.9

表2.4.10をもとに通常学級、弱視学級別の専門家等からの受けた支援の内容を棒グラフに表したもの

図2.4.10 専門家等からの受けた支援の内容

 どのような専門家に支援を受けたのかを表2.4.11、図2.4.11に示した。ただし、本質問項目に関しては、複数回答を認めていた。表2.4.11、図2.4.11より、支援を受けた専門家に関して、弱視学級では、視覚障害特別支援学校(盲学校)の教員(79.3%)が8割と最も多く、ついで病院の医師・視能訓練士(24.1%)が2割程度であった。また、通常の学級では、視覚障害特別支援学校(盲学校)の教員(61.5%)が6割と最も多く、ついで弱視特別支援学級・弱視通級指導教室の教員(20.1%)が2割ほどであった。

表2.4.11 支援を受けた専門家等

合計
視覚特別支援学校(盲学校)の教員
弱視特別支援学級・弱視通級指導教室の教員
教育委員会の指導主事
病院の医師・視能訓練士
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
通常学級
179
100
110
61.5
36
20.1
16
8.9
15
8.4
弱視学級
87
100
69
79.3
10
11.5
11
12.6
21
24.1
合計
266
100
179
67.3
46
17.3
27
10.2
36
13.5
 
大学等の弱視教育の専門家
視力障害センター等の福祉施設の専門家
その他
無回答
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
通常学級
3
1.7
1
0.6
11
6.1
14
7.8
弱視学級
6
6.9
4
4.6
1
1.1
2
2.3
合計
9
3.4
5
1.9
12
4.5
16
6.0

表2.4.11をもとに通常学級、弱視学級別の支援を受けた専門家等を棒グラフに表したもの

図2.4.11 支援を受けた専門家等

 拡大教科書の選定や弱視児童生徒の指導等に関して専門家等からの支援を受けていないと回答した教員に対してその理由を質問した。その結果を表2.4.12、図2.4.12に示した。ただし、本質問項目に関しては、複数回答を認めていた。表2.4.12、図2.4.12より、専門家からの支援を受けない理由に関して、弱視学級では、必要がなかったから(39.0%)が約4割であったが、支援を受けられることを知らなかったから(35.4%)やどこに相談すればよいのかわからなかったから(26.8%)等の、支援の存在を知らなかった・わからなかったといった理由が多く、専門家による支援の存在が周知されていないことに問題がある可能性が示唆された。また、通常の学級では、必要なかったから(33.1%)が3割程度で、支援が受けられることを知らなかったから(49.0%)やどこに相談すればよいのかわからなかったから(18.5%)等の支援の存在を知らなかった・わからなかったといった理由が多く、弱視学級の場合と同様に専門家による支援の存在が周知されていないことに問題がある可能性が示唆された。

表2.4.12 専門家等からの支援を受けていない理由

合計
必要なかったから
支援が受けられることを知らなかったから
どこに相談すればよいかわからなかったから
近所に支援機関がなかったから
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
通常学級
341
100
113
33.1
167
49.0
63
18.5
13
3.8
弱視学級
82
100
32
39.0
29
35.4
22
26.8
5
6.1
合計
423
100
145
34.3
196
46.3
85
20.1
18
4.3
 
どうすれば支援が受けられるかわからなかったから
どんな支援が受けられるかわからなかったから
考える余裕がなかったから
その他
無回答
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
通常学級
62
18.2
89
26.1
44
12.9
27
7.9
3
0.9
弱視学級
16
19.5
21
25.6
14
17.1
9
11.0
1
1.2
合計
78
18.4
110
26.0
58
13.7
36
8.5
4
0.9

表2.4.12をもとに通常学級、弱視学級別の専門家等から支援を受けていない理由を棒グラフに表したもの

図2.4.12 専門家等から支援を受けていない理由

 「今後、チャンスがあれば専門家からの支援を受けたいと思いますか?」という質問した結果を表2.4.13、図2.4.13に示した。表2.4.13、図2.4.13より、今後専門家の支援を受けたいかどうかに関して、弱視学級では、支援を受ける必要性を感じていない(26.8%)のが3割程度に対して、受けたいと思っている(とても受けたいと思っている(15.9%)、受けたいと思うがどうすれば受けられるのかわからない(23.2%)、受けたいと思っているが時間等に余裕がない(14.6%))のが合わせて5割程度(53.7%)となっており、およそ半分が支援を受ける必要性を感じていることがわかった。また通常の学級では、支援を受ける必要性を感じていない(25.2%)のが3割程度に対して、受けたいと思っている(とても受けたいと思っている(12.0%)、受けたいと思うがどうすれば受けられるのかわからない(21.1%)、受けたいと思っているが時間等に余裕がない(18.2%))のが合わせて5割程度(51.3%)となっており、およそ半分が支援を必要に感じていることがわかった。

表2.4.13 今後、専門家等からの支援を受けたいか

合計
とても受けたいと思っている
受けたいと思うがどうすれば受けられるのかわからない
受けたいと思っているが時間等の余裕がない
児童生徒には支援を受けるように推薦したいと思っている
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
通常学級
341
100
41
12.0
72
21.1
62
18.2
59
17.3
弱視学級
82
100
13
15.9
19
23.2
12
14.6
6
7.3
合計
423
100
54
12.8
91
21.5
74
17.5
65
15.4
 
支援を受ける必要性は感じていない
その他
無回答
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
通常学級
86
25.2
11
3.2
10
2.9
弱視学級
22
26.8
10
12.2
-
0.0
合計
108
25.5
21
5.0
10
2.4

表2.4.13をもとに通常学級、弱視学級別の今後、専門家等からの支援を受けたいかを棒グラフに表したもの

図2.4.13 今後、専門家等からの支援を受けたいか

 専門家から受けたい支援の内容に関する「今後、専門家から受けたいと思う支援内容についてお教えください」という質問に対する回答を表2.4.14、図2.4.14に示した。ただし、本質問項目に関しては、複数回答を認めていた。表2.4.14、図2.4.14より、教員が今後専門家から受けたいと思う支援内容は、弱視学級では、多岐にわたるが、児童生徒の見え方・見えにくさ等の評価に関する支援(54.4%)が5割、ルーペや単眼鏡等の補助具の選定や活用方法に関する支援(35.1%)が4割ほどと多く、教員が専門家から支援を受けた内容とほぼ同様の傾向が見られた。他にも、目の使い方に関する指導(40.9%)が4割、漢字や図形などの座学の教科指導に関わる支援(43.9%)や体育や裁縫などの実技系の教科指導に関わる支援(46.8%)が4割と多く見られた。同様に、通常の学級においても、教員が今後専門家から受けたいと思う支援内容は、多岐にわたるが、児童生徒の見え方・見えにくさ等の評価に関する支援(53.6%)が5割、ルーペや単眼鏡等の補助具の選定や活用方法に関する支援(27.3%)が3割ほどと多く、弱視学級とほぼ同様の傾向が見られた。

表2.4.14 今後、専門家等からの受けたいと思う支援内容

合計

拡大教科書の文字サイズ等の選定の支援

児童生徒の見え方・見えにくさ等の評価に関する支援
ルーペや単眼鏡等の補助具の選定や活用方法に関する支援
目の使い方に関する指導
便利グッズに関する紹介・指導
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
通常学級
528
100
177
33.5
283
53.6
144
27.3
109
20.6
172
32.6
弱視学級
171
100
54
31.6
93
54.4
60
35.1
70
40.9
73
42.7
合計
699
100
231
33.0
376
53.8
204
29.2
179
25.6
245
35.1
 
座席の位置やまぶしさへの配慮等の環境整備に関する支援
漢字や図形などの座学の教科指導に関わる支援
体育や裁縫など実技系の教科指導に関わる支援
対人関係や援助依頼方法等に関する支援
障害理解教育等の推進に関する支援
進学・進路等の相談に関する支援
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
通常学級
191
36.2
179
33.9
200
37.9
88
16.7
59
11.2
164
31.1
弱視学級
43
25.1
75
43.9
80
46.8
52
30.4
26
15.2
62
36.3
合計
234
33.5
254
36.3
280
40.1
140
20.0
85
12.2
226
32.3
 
児童生徒のカウンセリング等の精神的な支援
視覚障害教育に関する研修会等の提供
弱視を理解するための書籍やガイドブック等の紹介
専門家の派遣
その他
無回答
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
通常学級
89
16.9
81
15.3
88
16.7
61
11.6
12
2.3
18
3.4
弱視学級
41
24.0
48
28.1
38
22.2
26
15.2
4
2.3
9
5.3
合計
130
18.6
129
18.5
126
18.0
87
12.4
16
2.3
27
3.9

表2.4.14をもとに通常学級、弱視学級別の今後、専門家等から受けたいと思う支援内容を棒グラフに表したもの

図2.4.14 今後、専門家等から受けたいと思う支援内容

 白黒反転のニーズに関する「拡大教科書を使用する時に、通常の紙面と白黒反転の紙面のどちらを使用させたいですか?」という質問に対する回答を表2.4.15、図2.4.15に示した。表2.4.15、図2.4.15より、弱視学級においては、通常の紙面によるフルカラーの拡大教科書(65.5%)が7割ほどで、白黒反転の紙面による拡大教科書(31.6%)が3割ほどであるのに対して、通常の学級においては、通常の紙面によるフルカラーの拡大教科書(79.9%)が8割ほどで、白黒反転の紙面による拡大教科書(16.3%)が2割ほどであった。

表2.4.15 通常の紙面と白黒反転の紙面のどちらの拡大教科書を使用させたいか

合計
通常の紙面によるフルカラーの拡大教科書
白黒反転の紙面による拡大教科書
無回答
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
通常学級
528
100
422
79.9
86
16.3
20
3.8
弱視学級
171
100
112
65.5
54
31.6
5
2.9
合計
699
100
534
76.4
140
20.0
25
3.6

表2.4.15をもとに通常学級、弱視学級別の通常の紙面と白黒反転の紙面のどちらの拡大教科書を使用させたいかの回答を棒グラフに表したもの

図2.4.15 通常の紙面と白黒反転の紙面のどちらの拡大教科書を使用させたいか

 通常の紙面と白黒反転の紙面のどちらの拡大教科書を使用させたいかについて、通常の紙面を使用させたいと回答した教員の理由を表2.4.16、図2.4.16に示した。表2.4.16、図2.4.16より、通常の紙面を使用したいと思う理由として、弱視学級においては、一般の教科書と同じフルカラーだから(49.1%)が5割と最も多く、ついで教科書に書き込みができるから(23.2%)が2割程度で、フルカラーの方が見やすいから(8.9%)、白黒反転のものは見にくいから(9.8%)等の見やすさに言及した理由は合わせても2割に満たなかった。また、通常の学級においては、一般の教科書と同じフルカラーだから(58.1%)が6割と最も多く、ついでフルカラーの方が見やすいから(15.2%)と、教科書に書き込みができるから(12.8%)が1割程度であった。

表2.4.16 通常の紙面を使用させたいと思う理由

合計
一般の教科書と同じフルカラーだから
白黒反転のものは見にくいから
フルカラーの方が見やすいから
教科書に書き込みができるから
その他
無回答
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
通常学級
422
100
245
58.1
24
5.7
64
15.2
54
12.8
26
6.2
9
2.1
弱視学級
112
100
55
49.1
11
9.8
10
8.9
26
23.2
9
8.0
1
0.9
合計
534
100
300
56.2
35
6.6
74
13.9
80
15.0
35
6.6
10
1.9

表2.4.16をもとに通常学級、弱視学級別の通常の紙面を使用させたいと思う理由を棒グラフに表したもの

図2.4.16 通常の紙面を使用させたいと思う理由

 通常の紙面と白黒反転の紙面のどちらの拡大教科書を使用させたいかについて、白黒反転の紙面を使用させたいと回答した教員の理由を表2.4.17、図2.4.17に示した。表2.4.17、図2.4.17より、白黒反転の紙面を使わせたい理由としては、弱視学級においては、白黒反転の方が見やすいから(90.7%)が9割とほとんどで、見やすさに関する理由だった。通常の学級においても、白黒反転の方が見やすいから(88.4%)がほぼ9割で、こちらも見やすさに関する理由であった。

表2.4.17 白黒反転の紙面を使用させたいと思う理由

合計
フルカラーのものは見にくいから
白黒反転の方が見やすいから
その他
無回答
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
通常学級
86
100
3
3.5
76
88.4
7
8.1
-
0.0
弱視学級
54
100
3
5.6
49
90.7
1
1.9
1
1.9
合計
140
100
6
4.3
125
89.3
8
5.7
1
0.7

表2.4.17をもとに通常学級、弱視学級別の白黒反転の紙面を使用させたいと思う理由を棒グラフに表したもの

図2.4.17 白黒反転の紙面を使用させたいと思う理由

 弱視児童生徒の文字学習を指導する際の書体(フォント)の適切性に関する「弱視児童生徒の文字学習を指導する際、以下の5つの書体(フォント)は書写の見本として、適切だと思いますか?」という質問に対する回答を表2.4.18、図2.4.18に示した。書体1はA-OTF 教科書ICA Pro-L、書体2はA-OTF じゅん Pro 201、書体3は開発中のTB書体、書体4は平成明朝W3、書体5はTBUD学参太丸ゴシック Std Rであった。表2.4.18、図2.4.18より、書体3は7割から8割の教員(通常:79.2%、弱視:73.1 %)が適切であると評価していた。ついで、書体5が5割〜7割(通常:68.2%、弱視:52.6 %)であり、書体1は4割〜6割(通常:62.1 %、弱視:40.9 %)であった。

表2.4.18 弱視児童生徒の文字学習を指導する際の(フォント)の適切性

書体(1)
書体(2)
書体(3)
書体(4)
書体(5)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
回答者数
比率(%)
通常学級
328
62.1
243
46.0
418
79.2
240
45.5
360
68.2
弱視学級
70
40.9
56
32.7
125
73.1
37
21.6
90
52.6
合計
398
56.9
299
42.8
543
77.7
277
39.6
450
64.4

表2.4.18をもとに通常学級、弱視学級別の弱視児童生徒の文字学習を指導する際の書体(フォント)の適切性を棒グラフに表したもの

図2.4.18 弱視児童生徒の文字学習を指導する際の書体(フォント)の適切性


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