今年度試作した新しい拡大教科書サンプル集を都道府県教育委員会と宮城県、東京都、神奈川県、京都府、大阪府の私立学校主管課に送付し、教科書担当者等を対象に拡大教科書の選定支援のあり方や新しい拡大教科書サンプル集の活用に関して、郵送方式のアンケート調査により調べた。アンケートの項目は、選定支援の実態、新しい拡大教科書サンプル集の活用や改善点、昨年度の拡大教科書サンプル集との比較に関するものであった。本調査の調査票を資料2 都道府県教育委員会を対象とした新しい拡大教科書サンプル集に関する調査 調査票として、添付した。
都道府県教育委員会と宮城県、東京都、神奈川県、京都府、大阪府の私立学校主管課の52機関中19機関から有効回答(回収率36.5%)が得られた。
弱視児童生徒の拡大教科書の選定支援の有無を表1.4.1、図1.4.1に示した。本質問項目に関しては複数回答を認めていた。表1.4.1、図1.4.1より、全体の2割は選定支援を行なっていないことがわかった。
回答者数 |
比率(%) |
|
児童生徒に対して直接支援選定を行っている | 2 |
10.5 |
弱視学級や福祉施設を介して選定を行っている |
8 |
42.1 |
眼科医や福祉施設を介して選定支援を行っている | 0 |
0.0 |
選定支援は行っていない | 4 |
21.1 |
その他 | 6 |
31.6 |
合計 |
19 |
100 |
前の項目で拡大教科書の選定支援を行なっていると回答した機関における支援内容を表1.4.2、図1.4.2に、また支援の適切さの評価を表1.4.3、図1.4.3に示した。表1.4.2、図1.4.2より、児童生徒や保護者の希望に基づいて選定(80.0%)が一番多く8割ほどで、担当教員の意見に基づいて選定(66.7%)や見え方の評価に基づいて選定(60.0%)も多いことがわかった。
回答者数 |
比率(%) |
|
視力や視野などの見え方の評価に基づいて選定 | 9 |
60.0 |
読書効率の評価に基づいて選定 | 6 |
40.0 |
児童生徒や保護者の希望に基づいて選定 | 12 |
80.0 |
担当している教員の意見に基づいて選定 | 10 |
66.7 |
その他 | 4 |
26.7 |
合計 | 15 |
100 |
表1.4.3、図1.4.3より、拡大教科書の選定を行なっている機関のうち9割は行なっている選定が適切であると評価していることがわかった。
回答者数 |
比率(%) |
|
思う | 13 |
86.7 |
思わない |
0 |
0.0 |
無回答 | 2 |
13.3 |
合計 | 15 |
100 |
前の項目で拡大教科書の選定支援を行なっていないと回答した機関において、支援を行なっていない理由を表1.4.4、図1.4.4に、また支援の必要性の有無を表1.4.5、図1.4.5に示した。表1.4.4、図1.4.4より、支援を行なっていない理由として、専門家にまかせている(75.0%)が一番多く、次いで児童生徒や保護者にまかせている(50.0%)、担当教員にまかせている(50.0%)ことが挙げられていた。
回答者数 |
比率(%) |
|
児童生徒や保護者の希望にまかせている | 2 |
50.0 |
担当教員にませている | 2 |
50.0 |
弱視学級や盲学校等の専門家にまかせている | 3 |
75.0 |
選定方法がわからない | 0 |
0.0 |
その他 | 3 |
75.0 |
合計 | 4 |
100 |
表1.4.5、図1.4.5より、拡大教科書の選定を行なっていないとしても、拡大教科書の選定が必要であるという回答が100%であった。
回答者数 |
比率(%) |
|
思う | 4 |
100.0 |
思わない | 0 |
0.0 |
合計 | 4 |
100 |
拡大教科書の選定支援の担当のあり方に関する回答を表1.4.6、図1.4.6に示した。表1.4.6、図1.4.6より、拡大教科書の選定支援の担当として、視覚障害特別支援学校(盲学校)(89.5%)と市町村教育委員会(89.5%)がふさわしいという回答が一番多いが、弱視学級(通級指導教室を含む)(68.4%)や都道府県教育委員会(68.4%)も7割ほどであり、統一した見解は得られなかった。
回答者数 |
比率(%) |
|
都道府県教育委員会 | 13 |
68.4 |
市町村教育委員会 | 17 |
89.5 |
弱視学級(通級指導教室を含む) | 13 |
68.4 |
視覚障害特別支援学校(盲学校) | 17 |
89.5 |
保護者 | 6 |
31.6 |
その他 | 3 |
15.8 |
合計 | 19 |
100 |
新しい拡大教科書サンプル集の活用方法に関する回答を表1.4.7、図1.4.7に示した。表1.4.7、図1.4.7より、新しい拡大教科書サンプル集の活用方法として、8割近くが、拡大教科書の普及・啓発に活用と回答しており、普及や啓発のための活動の必要性を反映した結果である可能性が考えられる。
回答者数 |
比率(%) |
|
教育相談等で弱視児童生徒や保護者に見せて活用する | 5 |
26.3 |
弱視児童生徒の担任の教員等に貸与して活用する | 4 |
21.1 |
拡大教科書の普及・啓発活動に活用する | 15 |
78.9 |
その他 | 2 |
10.5 |
合計 | 19 |
100 |
新しい拡大教科書サンプル集が有効性の有無に関する回答を表1.4.8、図1.4.8に示した。表1.4.8、図1.4.8より、9割の機関において、新しい拡大教科書サンプル集が有効であるという評価が得られた。
回答者数 |
比率(%) |
|
思う | 18 |
94.7 |
思わない | 0 |
0.0 |
わからない | 0 |
0.0 |
無回答 | 1 |
5.3 |
合計 | 19 |
100 |
出版社等のホームページに掲載されている従来のサンプルに対する新しい拡大教科書サンプル集の有効性に関する回答を表1.4.9、図1.4.9に示した。表1.4.9、図1.4.9より、9割近い機関において、従来のサンプルよりも新しい拡大教科書サンプル集が有効であるという評価が得られた。
回答者数 |
比率(%) |
|
思う | 17 |
89.5 |
思わない | 0 |
0.0 |
わからない | 1 |
5.3 |
無回答 | 1 |
5.3 |
合計 | 19 |
100 |
出版社等のホームページに掲載されている従来のサンプルと比較して、新しい拡大教科書サンプル集の良い点に関する回答を表1.4.10、図1.4.10に示した。表1.4.10、図1.4.10より、新しい拡大教科書サンプル集の良い点として、拡大教科書の大きさ、重さ、厚さが実感できるという回答が100%であり、従来のサンプルでは実感できない点が新しい拡大教科書サンプル集では可能であることが評価されていることがわかった。
回答者数 |
比率(%) |
|
拡大教科書の大きさ、重さ、厚さを実感できる | 19 |
100.0 |
ボランティアによるプライベートサービスとの比較ができる | 2 |
10.5 |
その他 | 1 |
5.3 |
合計 | 19 |
100 |
新しい拡大教科書サンプル集の改善点の自由記述より、配布数の増加希望やポイント数の記載、中学校、高等学校用のサンプルの希望などの点が挙げられた。
出版社等のホームページに掲載されている従来のサンプルだけでなく、今回の新しい拡大教科書サンプル集のような冊子版のサンプルの必要性に関する回答を表1.4.11、図1.4.11に示した。表1.4.11、図1.4.11より、従来のサンプルに加えて、新しい拡大教科書サンプル集のような冊子版が必要という回答が9割以上あることがわかった。
回答者数 |
比率(%) |
|
思う | 18 |
94.7 |
思わない | 0 |
0.0 |
わからない | 1 |
5.3 |
合計 | 19 |
100 |