2017年3月8日

教科書・教材閲覧アプリ「UDブラウザ ver.2.4」操作マニュアル


UDブラウザの初期画面

中野 泰志(慶應義塾大学)
nakanoy@z7.keio.jp

【目次】

  1. はじめに
  2. 本アプリの特徴
  3. アプリの基本的な操作方法
  4. キーボードからの操作
  5. データの転送方法
  6. 初期設定
  7. UDブラウザ用データの作成方法
  8. 試験モードの設定
  9. その他

1.はじめに

 本アプリは、ロービジョン(弱視)者の見やすさや使いやすさを考慮して作成した教科書や教材等の書籍を閲覧するためのiOS用のブラウザ・アプリです。ロービジョン以外の人達にも使いやすいように、ユニバーサルデザインの発想で作成してありますので、様々な方にご利用いただきたいと考えています。

  本アプリは、慶應義塾大学の中野泰志研究室で機能や仕様等を設計し、加賀ソルネット株式会社がコーディネートし、Climb Appがプログラミングを担当しました。本アプリの開発にあたっては、文部科学省初等中等教育局特別支援教育課委託開発事業(学習上の支援機器等教材開発支援事業)「視覚障害のある児童生徒が授業場面で有効活用できる教科書・教材等閲覧アプリの開発--盲、弱視、晴眼の児童生徒が共に学べるUDアプリを目指して--」、文部科学省初等中等教育局教科書課委託研究事業「特別支援学校(視覚障害等)高等部における教科書デジタルデータ活用に関する調査研究」、文部科学省科学研究費基盤研究(B)「視覚障害者の高等教育における合理的配慮のための教科書デジタルデータ活用システム」(課題番号25285261)、文部科学省科学研究費基盤研究(A)「通常の学級で学ぶ視覚障害児のための合理的配慮に関する支援システムの構築」(課題番号16H02072)の補助金を受けました。また、本アプリを開発するにあたっては、視覚障害特別支援学校(盲学校)の教職員・生徒の皆さんのご協力を得ました。


2.本アプリの特徴

 本アプリには、他の書籍閲覧アプリと比較すると5つの大きな特徴があります。1つ目の特徴はロービジョン者等の視認性と操作性を考慮して設計されていること、2つ目の特徴は自作のデータの作成・利用が容易であること、3つ目の特徴はVoiceOverを利用しているユーザや音声読み上げを必要とするユーザの使い勝手を考慮した音声出力機能を有していることです。4つ目の特徴はデータのセキュリティ管理がしっかりしていることです。そして、5つ目の特徴は、試験にも利用できるようにテスト・モードを用意していることです。以下に、主な特徴を示します。

(1) 視認性・操作性に関する特徴

 iBooks等の標準的な書籍閲覧アプリは、ロービジョン者にとって、書棚・メニュー・ポップアップメニュー(辞書検索や読み上げ等をする際にポップアップして表示されるメニュー)・ページ・しおり等の表示が小さくて見えにくいという視認性に関する課題がありました。また、特定のページを探すために時間がかかる、行たどりが難しい、ページをめくる度に拡大率が元に戻ってしまう、意図していないのに次のページが表示されてしまう等の操作性に関する課題もありました。そこで、本アプリではこれらの課題を解決するために、以下の特徴を持たせました。

a) メインメニューの視認性向上:従来の閲覧アプリでは,メインメニューの表示は小さく,ピンチでは拡大できませんでした。そのため,ロービジョン者は、iOS標準のズーム機能(ピンチ拡大ではなく3本指で画面をダブルタップして機能させるズーム)を使うか、ルーペや拡大読書器等の視覚補助具を併用しなければなりませんでした。本アプリでは、ロービジョン者の視覚特性を考慮し、メニューを大きく(従来のアプリと比較すると高さを約2倍に拡大)、かつ、コントラストを高くして見やすくしてあります。

b) ポップアップメニューの視認性向上:辞書を引いたり、音声で読み上げさせたりするためには、調べたい箇所を見ながら、選択するという操作が必要です。従来のアプリでは、調べたり、読ませたりしたい文字列を選択すると、「読み上げ、コピー、辞書、検索」等が選択できるポップアップメニューが表示されます。しかし、ポップアップメニューに表示される文字は、iPadで表示した場合、10ポイント程度の小さな文字であり、ピンチで拡大することができません。そこで、本アプリでは、ポップアップメニューをピンチで拡大できるようにしました。また、フォントを、ロービジョン者に見やすいとされているUD丸ゴシックにしました。

c) ページジャンプ機能による操作性向上:従来のアプリでは、特定のページを探す際には、サムネイル(5×5mm程度)を見ながら、指を動かし、探したいページを見つけなければなりませんでした。本アプリでは、携帯電話と同じインタフェースの数字入力を搭載し、特定のページに簡単にジャンプできるようにすることで、特定のページを開く操作を向上させました。教育場面では日常的に遭遇する「教科書の32ページを開いて!」という指示に迅速に対応できるようにしました。ver.2.4からは、リフローモードでもページジャンプができるようにしました。

d) スクロール補助機能による操作性向上:教科書や教材を拡大して読む場合、行をたどったり、改行したりすることが困難でした。そのため、タブレット端末を利用する前提として、行をスムーズにたどることが出来るようにするためのスキャニング操作訓練が必要でした。本アプリでは、スキャニングを容易にするために、キー操作で動作を制御できるようにしました。キー操作では、スキャニングだけでなく、拡大・縮小、ページめくり等、本アプリのほとんどの機能を利用することが可能です。指先を使ったタッチ操作が苦手な人は、キーボードと連動するスイッチ入力を使って操作することが可能です。なお、キー操作は、外付けキーボードだけでなく、ソフトウェアで画面に操作盤を表示するオンスクリーンキーボードからも可能です。

e) 固定型レイアウトとリフロー型レイアウトのハイブリッド表示機能による視認性・操作性の向上:教科書や教材には、図表が多く利用されているし、レイアウトに重要な情報が含まれていることが少なくありません。そのため、紙の教科書のレイアウトと全く同じ情報を保持しているPDFのような固定型レイアウトのデータが必要です。一方、物語や解説等を読む際には、本文の文字だけが表示されるEPUBのようなリフロー型レイアウトのデータの方が読みやすいと言われています。そこで、本アプリでは、紙と同じレイアウトで表示させるモード(レイアウト表示モード)と文字情報のみを表示するモード(リフロー表示モード)を切り替えて使えるハイブリッド表示機能を搭載しました。リフロー表示モードでは、文字サイズを拡大しても折り返して表示できるようになっており、行たどりが容易になるようにしてあります。なお、リフロー型レイアウトを実現する方式には、EPUBやDAISY等の様々な方式がありますが、本アプリでは、作成が容易なHTMLを採用しました。なお、リフロー表示モードには、オープンソースのHTMLレンダリングエンジンのWebKitを用いているため、HTML、CSS、JavaScript、MathML等が利用可能です。

(2) データ自作・利用に関する特徴

 教科書や教材を取り扱うことができるブラウザ・アプリでは、EPUBやDAISY等のファイル形式が利用されることが多いようです。これらのファイル形式は、電子書籍やアクセシブルな電子教材を作成する上では、標準的なフォーマットです。しかし、これらのファイル形式のデータを作成することができるアプリが少なく、まだ、一般的ではありません。そのため、教員やロービジョンの当事者がデータを作成することを考えると、少しハードルが高いようです。そこで、本アプリでは、教員やロービジョンの当事者が自分でデータを作成することが容易なPDFとHTMLに対応させました。
 ver.2.3以降からは、ワードファイルからHTMLファイルを自動的に作成する機能も追加しました。他のアプリと連携させれば、ワード等で作成した自作教材からHTMLとPDFを自動的に作成できます。
 ver.2.4以降からは、PDF、HTML、JSONファイルをZipファイルに圧縮して転送できるようになりました。Zipファイルに圧縮できるようになったことで、フォルダにデータを入れたHTMLファイルを扱うことが楽になりました。

(3) 音声読み上げに関する特徴

 ver.2.3からはVoice Over対応になりました。PDFモードもHTMLモードもVoice Overで読み上げが可能です。Voice OverユーザがファイルにアクセスしやすいようにHTMLモードの音声対応機能を充実させました。例えば、HTMLモードでのページ表示、ページ読み上げ機能等を用意しました。また、ルビがある場合には、ルビを優先的に読み上げられるようになりました(ルビの読み上げはPDFモードでもHTMLモードでも利用できます)。なお、Voice Overユーザの利用を考え、設定で「リフローファイルを優先」できるようにしました。

(4)セキュリティに関する特徴

 従来から、PDFファイルのパスワードによるアクセス制限、教科書デジタルデータを利用するためのアクティベーション等、データ流出に対するセキュリティ管理を行ってきました。ver.2.4以降からは、パスワード付きのZipファイルにも対応できるようになったため、HTMLやJSONファイルのセキュリティを向上させました。PDF、HTML、JSONファイルは、ユーザがアクセスできない領域に自動的に転送されるため、データを不正に抜き出すことが出来なくなりました。なお、セキュリティ制限は厳しくしましたが、ユーザの利便性は低下させていません。ファイルへのアクセスが許可されたユーザは、1度、パスワードを入力すれば、後はパスワードを意識する必要はありません。

(5)試験への対応

 ver.2.4以降からは、試験で本アプリを利用できるように、辞書、読み上げ、コピー機能を制限できる設定を追加しました。

3.アプリの基本的な操作方法

(1) アプリを起動する

 「UDブラウザ」は、ホーム画面上のアイコンをタップして起動します(図1)。

図1 「UDブラウザ」アプリのアイコン
図1 「UDブラウザ」アプリのアイコン

(2) 書籍(教科書・教材等)を選択する

 「UDブラウザ」アプリを起動すると、書棚(図 2)が出てきます。書棚には、書籍(教科書・教材等)の表紙の画像とタイトルが一覧表示されます。読みたい書籍をタップすると、その書籍を開くことが出来ます。
 従来の表示方法(タイトル表示)では、タイトル名順に表示されるだけでした。しかし、「教科書と自作教材を分けて表示して欲しい」等の要望が多かったため、ver.2.3以降では、「カテゴリ」別表示が可能になりました。後述するJSONファイルに「category」設定をしていただければ、同じカテゴリのファイルを集めて表示することが可能です。
図2 書籍選択画面=書棚(左:タイトル表示、右:カテゴリ表示)
図2 書籍選択画面=書棚(左:タイトル表示、右:カテゴリ表示)

 教科書を選択すると、その教科書の表紙のページが表示されます(図 3)。図 3では表紙のページにメニューが表示されています。表紙の画面で一度タップすると目次画面にジャンプします。なお、この機能を利用するためには、PDFでリンクを作成する必要があります。
図3 表紙の例(メニュー表示ON)
図3 表紙の例(メニュー表示ON)

図4 目次の例(メニュー表示ON)
図4 目次の例(メニュー表示ON)

(3) メニューの説明

 表紙以外の画面をタップすると上部にメニューが表示されます。再度タップするとメニューは消えます。
 メニューにある機能は、「目次」「ページジャンプ」「しおり一覧」「しおり」「書き込み」「ソフトウェアキーボード」「リフロー表示」「書棚」の8種類です(図5)。

図5 メニューの機能
図5 メニューの機能

(4) 目次へ飛ぶ

 メニューの左端の「目次」のアイコンをタップすると目次にジャンプします(図6)。なお、「サンプル教科書」のようにPDFの目次の項目をタップすると各単元にジャンプするようにするためには、PDFにリンクをはる必要があります。

図6 目次ページ
図6 目次ページ

(5) 指定したページを開く

 メニューの左から2番目の「ページジャンプ」のアイコンをタップすると、図7のようにページ番号を入力する画面が表示されます。ここで開きたいページを入力し、「OK」をタップすると指定したページにジャンプします(例えば、「15」と入力し、「OK」をタップすると、15ページにジャンプします)。

図7 指定したページを開く
図7 指定したページを開く

(6) 「しおり」をはさむ

 よく使うページや次の授業で開く必要があるページには「しおり」をはさむことができます。メニューの左から4番目「しおり」のアイコンをタップし、「しおり」のアイコンの絵に「☆」マークがつくとこのページに「しおり」をはさんだことになります(図8)。

図8 「しおり」をはさんだ状態
図8 「しおり」をはさんだ状態

(7)「書き込み」をする

 教科書に書き込みやマーカーを引きたい場合、メニューの左から5番目の「書き込み」のアイコンをタップします(図9)。

図9 「書き込み」のアイコン
図9 「書き込み」のアイコン

図10 「書き込み」のアイコンをタップした状態
図10 「書き込み」のアイコンをタップした状態

 書き込みメニュー(図10)の左から2番目の「手書き」のアイコンをタップするとサブメニューが表示され、ペンのタイプ、太さ、色を選ぶことが出来ます。(図11、図12、図13、図14)また選んだ後は「戻る」のアイコンをタップすると元の画面に戻ることが出来ます。

図11 「手書き」アイコンのサブメニュー
図11 「手書き」アイコンのサブメニュー

図12 「手書き」ペンタイプ設定画面
図12 「手書き」ペンタイプ設定画面

図13 「手書き」線の太さ設定画面
図13 「手書き」線の太さ設定画面

図13 「手書き」色設定画面
図14 「手書き」色設定画面

 試しに「ペン」タイプ、太さ「3px」、色「赤」を選び、教科書に「手書き」の書き込みをすると図15のようになります。

図15 「手書き」の書き込みをした状態
図15 「手書き」の書き込みをした状態

 書き込みをした後、再度画面左上の「書き込み」のアイコンをタップすると、書き込みモードが終了します。
 また「マーカー」を引きたい場合は、「書き込み」のアイコンをタップし、書き込みメニュー(図10)の状態から左から3番目の「マーカー」アイコンをタップします。「マーカー」のアイコンをタップすると横にサブメニューでマーカーの色が表示されます(図16)。この「色」のアイコンをタップすると、「マーカー」の色を選択することが出来ます(図17)。

図16 「マーカー」アイコンをタップした状態
図16 「マーカー」アイコンをタップした状態

図17 「マーカー」の色選択画
図17 「マーカー」の色選択画

 「マーカー」の色を選び、教科書の文字をなぞることで、教科書にマーカーを引くことが出来ます(図18)。

図18 「マーカー」を付けた状態
図18 「マーカー」を付けた状態

 「マーカー」を付け終わったら、再度「書き込み」アイコンを押すと書き込みモードが終了します。
 「手書き」、「マーカー」共にメニュー左から4番目の「消しゴム」アイコンをタップし、消したい箇所を選択することにより、それまでに付けた「手書き」や「マーカー」を消すことが出来ます。
 また、書き込みメニューの一番右の「消しゴムALL」アイコン(図19)をタップすると、そのページの「マーカー」「手書き」「すべて」「キャンセル」から選んで消すことが出来ます。

図19 「消しゴム」と「消しゴムALL」
図19 「消しゴム」と「消しゴムALL」

(8) 「しおり」をはさんだページ、「書き込み」ページを表示する

 「しおり」をはさんだページを表示させるためには、メニューの左から3番目の「しおり一覧」のアイコンをタップし、左側上部の「ブックマーク」のアイコンをタップします。そうすると図20のように「しおり」をはさんだページが表示されます。ページを選択すると、そのページにジャンプし、「×」のアイコンをタップすると元のページに戻ります。

図20 しおり一覧(「しおり」をはさんだページを表示)
図20 しおり一覧(「しおり」をはさんだページを表示)

 また、「書き込み」アイコンをタップすると、「手書き」や「マーカー」をつけたページが表示されます(図21)。

図21 しおり一覧(「書き込み」ページを表示
図21 しおり一覧(「書き込み」ページを表示

(9) 音声で「読み上げ」たり、「コピー」したり、「辞書」を調べたりする

 教科書中の単語や文章を長押して選択すると、「読み上げ」、「コピー」、「辞書」のメニューが表示されます(図 22)。「読み上げ」をタップすると、音声が流れます。この音量はipad右側面の音量ボタンで調節することが出来ます。「コピー」をタップすると、他のアプリ等に文章をコピーできます。また、「辞書」をタップすると、選択した言葉の意味を調べて、表示してくれます。

図22 「読み上げ」選択画面
図22 「読み上げ」選択画面

 「辞書」をタップすると、辞書検索結果が表示されます(図 23)。図 23の状態から右上の「完了」をタップすると元のページに戻ります。なお、辞書の文字が小さい場合には、3本指でダブルタップして、画面を拡大してください(元に戻すためには、もう一度、3本指でダブルタップしてください)。

図23 辞書画面
図23 辞書画面

 辞書を引いたり、音声で読み上げたりする際のメニュー表示が従来よりも楽になりました。不要なメニューが表示されないようにしてありますので、ご確認ください。これまでは、「読み上げ」や「辞書」という表示が小さくて見えにくかったと思いますが、「UDブラウザ」では図 24のようにピンチアウトできます。また、ver.2.3からは、コピーが可能になりました。

図24 文字選択時にピンチアウトが可能
図24 文字選択時にピンチアウトが可能

(10) リフロー表示する

 本アプリの最大の特徴は、リフロー表示できることです(図25)。メニューの右から2番目の「R」アイコンをタップすると、そのページをリフロー表示します。
 PDF画面でピンチアウトして文字を拡大させると、周辺部分の文字が画面からはみ出してしまいます(図24)。一方、リフロー画面ではページの行数や行内の文字数に合わせ、自動で調整し表示されます。ver.2.3からは、リフロー表示の際にページを表示できるようになりましたし、ページ読み上げも出来るようになりました。

図25 リフロー画面
図25 リフロー画面

 リフロー画面でのメニューは以下の通りです。

a) 目次へ飛ぶ :一番左の「目次」アイコンをタップするとリフロー画面の目次が表示されます。PDF表示の時と同様、項目をタップするとそのページにジャンプします。

b)指定したページを開く :メニューの左から2番目の「ページジャンプ」のアイコンをタップすると、ページ番号を入力する画面が表示されます。ここで開きたいページを入力し、「OK」をタップすると指定したページにジャンプします(例えば、「15」と入力し、「OK」をタップすると、15ページにジャンプします)。

c) 履歴をたどる :左から3番目の「◀」(戻る)アイコンをタップすると、ヒストリー履歴を戻ることができます。左から4番目の「▶」(進む)アイコンをタップすると、ヒストリー履歴を進めることができます。

図26 フォントと背景色選択画面
図26 フォントと背景色選択画面

図27 文字サイズの変更画面
図27 文字サイズの変更画面

c) CSSの適応 :右から3番目の「CSS」アイコンをタップするとメニューが表示され、リフロー画面の表示フォントと背景色を選ぶことが出来ます(図26)。例えば、「ゴシック白」を選択すると、背景色が白のゴシック体で表示されます。もう一度「CSS」アイコンをタップすると選択メニューが消えます。CSSは自分で作成することも可能です。自作したCSSファイル(「ファイル名.css」)をUDブラウザに転送すれば、このメニューに追加されます。

d) 文字サイズの変更 :右から2番目の「AA」アイコンをタップすると文字サイズメニューが表示されます(図27)。「小さく」をタップすると文字が縮小し、「大きく」をタップすると文字が拡大します。元に戻したい時は「標準サイズ」をタップして下さい。

e) PDFモードへの切り替え :一番右の「PDF」アイコンをタップすると、現在のリフロー画面に対応するPDF画面となります(図 28)。
 なお、リフロー表示を行うためには、htmlデータが必要です。

図28 PDF画面(左図)とリフロー画面(右図)
図28 PDF画面(左図)とリフロー画面(右図)

図29 音声読み上げ画面
図29 音声読み上げ画面

f)音声出力機能 :画面右下のスピーカーの図のアイコンをタップすると、読み上げメニューが表示されます(図29)。「このページを読み上げ」を選択すると当該ページが、「このページから最後まで読み上げ」を選択すると、このページ以降をすべて読み上げます。読み上げをストップしたい時は画面をタップしてください。


4.キーボードからの操作

 本アプリのもう一つの特徴は、キーボードから行送り等の操作が出来ることです。拡大読書器のXYテーブルを動かすように、キーボードから画面を制御することが出来ます。この機能は、iPadを使うと「船酔いのような状態になる」という問題を改善できる可能性があります。また、拡大画面を水平、垂直に動かしたり、本の左端、右端にジャンプしたり、全体表示と拡大表示を切り替えたり等、視覚支援学校の生徒の皆さんからいただいたご要望を反映させていただいたつもりです。なお、キーボードは、実際に触ることが出来るキーボードも利用できますし、画面にキーボードを表示して利用するソフト・キーボードでも利用できます。

(1) ソフト・キーボードを使って操作する

 ソフト・キーボードを表示させるためには、メニューの右から3番目にある「キーボード」のアイコンをタップしてください。画面の一番下に図28に示したようなソフト・キーボードが表示されます。ソフト・キーボードの機能は図30〜33に示した通りです。

図30 ソフト・キーボード
図30 ソフト・キーボード

図31 ソフト・キーボードの機能(1)
図31 ソフト・キーボードの機能(1)


図32 ソフト・キーボードの機能(2)
図32 ソフト・キーボードの機能(2)

図33 ソフト・キーボードの機能(3)
図33 ソフト・キーボードの機能(3)

(2) 外付けキーボードからの操作

 Bluetooth等の外付けキーボードがある場合には、ソフト・キーボードを表示させなくても、キーボードからアプリを操作することが出来ます。機能の割り当ては、以下の通りです。なお、外付けキーボードを利用する際には、必ず、「English(US)」モードにし、「caps lock」がかかっていない(小文字入力になっている)ことを確認してください。

 ・左右の移動:右(j)、左(f)
 ・上下(前後)の移動:上(u)、下(n)
 ・端への移動:左端(d)、右端(k)
 ・ページ内移動:左上(r)、左下(v)
 ・拡大率の変更:拡大する(m)、縮小する(z)
 ・ページ移動:次ページ(p)、前ページ(q)
 ・全画面を表示する/拡大画面に戻る(y)


5.データの転送方法

 UDブラウザへ書籍データを転送するためには、PCから転送する方法とWebDAVサーバを使う方法の2種類があります。

(1) PCからの転送方法

 パソコンとiPadをケーブルで接続して、パソコンのiTunesを起動します。起動した画面の左上にあるiPadのアイコンをクリックします。その後、左の一覧から「App」をクリックします(図34)。

図 34 iTunesの画面(1)
図 34 iTunesの画面(1)

 「App」をクリックすると右側にパソコン上にあるiPadアプリ一覧が表示されます。「UDブラウザ」をクリックすると更に右に「UDブラウザの書類」が表示されます(図35)。この書類の欄を下にスクロールしていき、「追加」をクリックします(図36)。すると別ウインドウが開くので追加したいファイルを選択してもう一度「追加」をクリックします(図37)。

図35  iTunesの画面(2)
図35  iTunesの画面(2)


図36  iTunesの画面(3)
図36  iTunesの画面(3)


図37 iTunesの画面(4)
図37 iTunesの画面(4)

 この操作の後、iPad の書棚画面右上の「更新(リロード)」のアイコンをタップし、追加したファイルがiPad 上にあることを確認して下さい(図38)。

図38 書棚の更新(リロード)アイコン
図38 書棚の更新(リロード)アイコン

 最後にパソコンのiTunesの取り出しアイコンをクリックしてから、iPadのケーブルを外して下さい(図39)。

図39  iTunesの画面(5)
図39  iTunesの画面(5)

 PDFファイルとHTMLファイルは、拡張子以外を同じファイル名にしてください。なお、HTMLファイルは、HTML5に準拠していますので、画像や動画へのリンク等が可能です。

(2) サーバからのデータ転送

 本アプリは、クラウドサーバからのデータ転送に対応しています。UDブラウザを起動した際に現れる書棚にある「クラウド」アイコン(図40)をタップしてください。そうすると利用可能なクラウドサービスの一覧が表示されます(図41)。

図40  書棚の「クラウド」アイコン
図40  書棚の「クラウド」アイコン

図 41 サーバの選択画面
図 41 サーバの選択画面

a)WebDAVサーバー
 WebDAVサーバーを選択し、サーバのアドレス等が設定されていない場合には、図42のようなエラーメッセージが表示されます。「OK」ボタンを押してください。

図42 サーバが未設定の場合のエラーメッセージ
図42 サーバが未設定の場合のエラーメッセージ

 WebDAVサーバのアドレス等を設定する際には、WebDAVサーバ・メニューの「初期設定」アイコン(図43)をタップしてください。そうすると、図44のような設定画面が表示されます。

図43 クラウドサービスの「初期設定」アイコン
図43 クラウドサービスの「初期設定」アイコン


図44 WebDAVサーバ設定画面
図44 WebDAVサーバ設定画面

 利用したいWebDAVサーバのホスト名、ユーザ名、パスワードを入力し、「鍵」アイコンをタップしてください。
 サーバに接続できた場合には、図45のようなファイル名一覧が表示されます。必要なファイルをタップするとダウンロードが開始されます。ダウンロードが終了したら、「戻る」ボタンをタップし、書棚まで戻ってください。その後、「再読み込み(リロード)」ボタンをタップすると、ダウンロードしたファイルを書棚に表示してくれます。なお、UDブラウザの機能をフルに使う場合には、HTML、PDF、JSONの3種類のファイルが必要ですが、HTMLやPDFだけでも動作は可能です。

図45 サーバ上のファイル一覧画面
図45 サーバ上のファイル一覧画面

b)Dropbox
 Dropboxに登録している場合には、Dropboxを選択し、許可をタップするとDropbox接続でき、ファイルを転送することができます(図46)。
図46 Dropboxへのアクセス画面
図46 Dropboxへのアクセス画面


図47 Dropboxの接続解除画面
図47 Dropboxの接続解除画面

 また、Dropboxとの接続を解除したい場合は画面右上の「設定」アイコンをタップし、Dropboxの接続解除をタップします(図47)。

6.初期設定

 アプリを立ち上げて表示される書棚画面で、初期設定を行うことができます。画面上部右から3番目の歯車のアイコンをタップすると、図48の画面がでてきます。

図48 設定の画面
図48 設定の画面

(1) スピーチ(声の種類と読み上げ速度)の変更

 スピーチをタップすると、声と速度のバーが表示されます。 声をタップすると3種類の声が表示されます。聞きやすい声を選択してタップしてください。声の下のスライド表示は左右させることにより読み上げ速度を早くしたり遅くしたりすることができます(図49)。

図49 読み上げ速度の画面
図49 読み上げ速度の画面

(2) リフローファイル優先モードの設定

 ファイル設定をタップした際には、書棚で本を選択した際に、PDF画面を表示するか、リフロー画面で表示されるかを選ぶことができます(図50)。

図50 ファイル設定の画面
図50 ファイル設定の画面

(3) アクティベーション

 慶應義塾大学・中野泰志研究室が作成・配布している拡大用教科書デジタルデータは、暗号化されており、パスワードでアクセス制限がかかっています。このアクセス制限を解除するために必要なのがアクティベーションです(図51)。現時点では、慶應義塾大学・中野泰志研究室が教科書デジタルデータを提供している研究協力校の皆さんのみが利用する機能です。

図51 アクティベーションの画面
図51 アクティベーションの画面


7.UDブラウザ用データ作成方法

 本アプリは、PDFファイルだけでも、HTMLファイルだけでも利用することが可能です。両方のファイルがあれば、切り替えて利用することが可能です。また、JSONファイルがあれば、PDFの開始位置や目次の場所等を指定することが可能です。以下、各データファイルの作成方法を記します。

(1) PDFファイルの作成方法

 本アプリは、標準的なPDFファイルに対応しています。PDFは、ワード等の文書作成ソフト、パワーポイント等のプレゼンテーションソフト、エクセル等の表計算ソフト等、様々なPC用のソフトから作成することが可能です。また、紙の資料をスキャナやカメラ等を使ってデジタル化したデータも利用可能です(辞書検索等の機能を使うためには、OCRソフトで文字認識をさせる必要があります)。さらに、インターネットやデータベース等から入手したPDFデータも利用可能です。

a) 文書作成ソフト等を使った作成方法:ワード等の文書作成ソフト、パワーポイント等のプレゼンテーションソフト、エクセル等の表計算ソフト等を保存する際にPDF形式で保存してください。

b) スキャナを使った作成方法:スキャナで書類をスキャンし、OCRソフトで文字認識すれば、辞書検索等が可能なPDFファイルを作成することが可能です。

c) その他:本アプリでは、インターネット等で入手したPDFファイルも利用することが可能です。例えば、論文データベース等で検索して入手したPDFファイルも利用可能です。

(2) JSONファイルの作成方法

 教科書や教材等の書籍では、通常、表紙等をページとしてカウントしていません。そのため、PDFのページと実際の冊子のページがずれることがあります。また、ページのめくり方は、縦書きと横書きでは異なります。これらの問題を解決するために、JSONファイルを用意しました。

a) JSONファイルの内容:JSONファイルは、エンコーディングを「Unicode(UTF-8)」、改行タイプを「Mac(CR)」にして作成してください。以下、JSONファイルの記述例を示します。


図52 JSONファイルの記述例図
図52 JSONファイルの記述例図

b) firstPageとtocPage:「firstPage」は、書籍の1ページ目がPDFの何ページ目にあたるかを指定することができます。また、「tocPage」は、目次がPDFの何ページ目にあたるかを指定することができます。例えば、以下のような書籍の場合、「firstPage」 は「2」、「tocPage」 は「3」と指定すれば、ページジャンプや目次ジャンプを正しく機能させることができます。


c) isVertical:縦書きの文書の場合、「isVertical」をtrueと指定してください。横書きの場合には、「false」に設定してください。

d) reflowFileName:基本的にPDFファイルとHTMLファイルは同じ名前で指定することになっていますが、変更したい場合には、この項目で設定してください。

e) title:タイトルを設定すれば、書棚の表示を変更することができます。例えば、PDFファイルが「自作教材2016年8月版.pdf」という名前でも、「title」に「自作教材」と設定すれば書棚に「自作教材」と表示させることができます。

f) disableDelete:true の値を設定すれば、書棚から削除できないようにすることができます。誤操作で削除されては困るような重要な書籍の場合には、trueに設定してください。false もしくはこの項目を記述しなければ、その書籍は削除することができます。

g) category:ver.2.3以降、書棚をカテゴリ別に分類できるようになりました。このカテゴリを設定する際に「category」を設定します。例えば、「教科書」「教材」「その他」というようにカテゴリごとに書籍を表示することが可能です。

(3) HTMLファイルの作成方法

 本アプリは、HTML5に準拠しています。また、CSS、JavaScript、MathML等も利用可能です。以下、通常のHTMLファイルと異なる部分のみ記します。

a) ファイルの要件:本アプリで利用するHTMLファイルは、エンコーディングを「Unicode(UTF-8)」、改行タイプを「Mac(CR)」にしてください。基本的なファイル構成は、以下の通りです。

図53 HTMLの基本構成
図53 HTMLの基本構成

b) ページの書き方:HTMLにはページという概念がありませんが、学校ではページが重要な情報になっているため、本アプリでは、以下の方法でページを指定できるようにしてあります。ページの先頭に図54、55の通りの記述をしてください。なお、必ず、半角で書いてください。

図54 ページタグの書き方
図54 ページタグの書き方


図55 2ページを指定する際のページタグの書き方
図55 2ページを指定する際のページタグの書き方

c) 目次の書き方:本アプリでは、目次にジャンプすることが可能です。目次を指定する際には、「id=”TOC”」というタグ(Table Of Contentsの略)を使います。例えば、以下のように目次の部分に記述します(図56)。

図56 2ページを指定する際のページタグの書き方
図56 2ページを指定する際のページタグの書き方

d) その他:HTML5に対応していますので、ハイパーリンク等も利用できます。そのため、画像、音楽、動画等を表示させることもできます。

(4) ワードやPDFからHTMLを自動で作成する方法

 ver.2.3から、ワードで作成したファイルをHTMLに自動変換することができるようになりました。また、ver.2.4からPDFファイルからHTMLを自動変換することができるようになりました。iTunesもしくはアプリの転送機能を利用してワードファイルをUDブラウザに転送してください。そして、変換ボタン(図57)を押してください。

図57 ファイル変換ボタン
図57 ファイル変換ボタン


図58 ファイル変換ボタンを押した後に表示される一覧画面
図58 ファイル変換ボタンを押した後に表示される一覧画面

図59 ファイルを選択した後に表示されるプレビュー画面
図59 ファイルを選択した後に表示されるプレビュー画面

 保存を押すと、HTMLファイルがUDブラウザにセットされます。事前に同じファイル名のPDFファイルとJSONファイルを転送しておけば、サンプル教科書と同様、PDFモードとHTMLモードを切り替えて利用できます。
 自作教材を効果的に作成するための方法の詳細は後述するホームページをご参照ください。

(5) Zipファイルを展開する方法

 ver.2.4からPDF、HTML、JSONファイルをZipファイルにまとめて転送できるようになりました。書籍名と同じ名前のフォルダを作成し、その中に、PDF、HTML、JSONファイルを入れて、Zipで圧縮してください。このZipファイルをiTunesもしくはアプリの転送機能を利用してワードファイルをUDブラウザに転送してください。そして、変換ボタン(図57)を押し、書棚でリロードしてください。そうすれば、書籍が登録されます。Zipにするメリットは、PDF、HTML、JSONファイルを一括して扱える点とHTMLにフォルダ構造を持たせることが出来る点です。なお、展開されるとPDF、HTML、JSONファイルは、ユーザからは見えない領域に移動され、抜き出すことが出来なります。

8.試験モードの設定

 試験等に本アプリを利用する場合、辞書、読み上げ、コピー等の機能を制限する必要がある。ver.2.4以降からは、辞書、読み上げ、コピーを制限できる試験モードを用意しました。試験モードを利用するためには、システムの「設定」を用います。設定の中の「UDブラウザ」のアイコンを選ぶと、図60のように「読み上げ」、「コピー」、「辞書」の機能をON/OFF出来るようになります。なお、アクセシビリティのアクセスガイドの機能を利用すれば、UDブラウザ以外のアプリを制限できるので、組み合わせてご活用ください。

図60 設定画面で試験モードを設定する際の画面
図60 設定画面で試験モードを設定する際の画面


9.その他

 本アプリの利用方法等の詳しい情報については、以下のURLをご参照ください。
  http://web.econ.keio.ac.jp/staff/nakanoy/app/UDB/

 アプリの不具合や改良に関するご要望等がありましたら、以下のアドレスにご連絡ください。
  info@nakanoy.econ.keio.ac.jp


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