主題と目標/授業の手法など
我が国の医療保険制度が抱える問題について、経済学的な分析方法を応用しながら制度の評価を行う。 医療サービスは、不確実性、外部性、情報の非対称性等の特徴をもつため、市場メカニズムによる資源配分が不適切であると考えられている。そのため日本だけでなく各国でも政府による強い規制下におかれている。効率性と公平性を達成するためにはどのような規制や制度設計が必要とされるのだろうか。なぜ各国において医療保険制度に違いがあるのだろうか。近年の診療報酬改定や自己負担率の変更は望ましいと言えるのだろうか。 本講義では、こうした問題に対して、基本的な経済学の分析手法を学びながら、制度評価の方法を習得する。さらに、最近のデータや実証研究を紹介することで、実証的に政策評価を行う方法を学ぶ。
教科書・参考書
適宜指示します
授業計画
- ガイダンス:経済学の考え方
- 効率性と公平性:厚生経済学の第1定理
- 医療政策の評価:余剰分析
- 医療規制の意義:市場の失敗
- 日本の医療費:医療統計、自然増
- 医療の財政学:医療保険の受益と負担
- 医療産業の経済波及:産業連関分析
- 日本の医療制度:医療供給体制
- 日本の介護保険制度
- 医師の労働市場
- 公共財と外部性:ワクチン接種の事例をもとに
- 行動経済学から得られる公衆衛生に対する知見 1:理論
- 行動経済学から得られる公衆衛生に対する知見 2:応用
- 発展途上国における医療保健の諸問題に対する経済学のアプローチ
提出課題・試験・成績評価の方法など
成績評価は授業中に出題される小テスト(30%)と授業に関連した数回のレポート(70%)で評価する。
履修上の注意・その他
経済学について学んだことがない人にも十分理解できるようにわかり易く説明するので、医療保険制度の現状に対して疑問を持っている人、学位論文で実証研究を行いたいと考えている人に履修して頂きたい。
前提となる知識(科目名等)
なし
履修制限(希望人数および制限方法)
なし