ゼミナール活動

2003年度ゼミナール募集要項

  1. お知らせ
    2003年度はゼミナールを募集いたします(第5期)。応用ミクロ理論にもとづいた実証分析に興味のある意欲的な学生に期待しています。

  2. 研究会の目的
    本研究会では応用ミクロ理論(特に産業組織論)にもとづく実証分析について研究を行います。近年のミクロ経済学では、製品の品質、財の差別化、情報の非対称性といった問題を明示的にとりあげた研究が盛んとなっており、この理論を背景とした政策的な議論も数多く展開されています。しかし、理論の経験的妥当性や理論に登場する効用関数、生産関数のパラメタの識別には計量経済学の方法が不可欠で、理論と実証は互いに補完するべきものであるといえます。
    私は2年間のゼミナールを通して、学生の皆さんが疑問に感じた政策的な問題を経済理論にもとづいて解釈したうえで実証分析を前提とした具体的な政策提言をおこなえるようになるまでのお手伝いをしたいと思っています。そのために応用ミクロ理論(産業組織論)、計量経済学理論、コンピュータ(基礎言語からアプリケーションまで)についてしっかり勉強してもらうつもりです。本ゼミでは応用ミクロ理論と計量経済学の理論についての易しいテキストから出発して、最近の欧米の研究論文を読んだうえで日本のデータを用いた実証分析の実習を行なう予定でいます。テキストや論文のほとんどは英語なので英語嫌いもこの際無くして行ってもらいます。
    私自身の研究は、医療保険改革、企業動態と生産性、経済成長と直接投資などに関するものが多いですが、研究会でとりあげるトピックには特に制限をつけませんので、入ゼミの段階で具体的なテーマに限定する必要はありません。

  3. 研究会の活動
    本ゼミは火曜4,5限に行います。4時限目は、産業組織論のテキスト(ベンサコ、ドラノブ他(2002)『戦略の経済学』ダイヤモンド社を題材として、 理論的な側面をTirole,The Theory of Industrial Organization, MIT Press, Shy,Industrial Organization-Theory and Application-, MIT Press, 丸山雅祥・成生達彦『現代のミクロ経済学』創文社などで補います。5時限目は、租税政策の応用一般均衡分析のテキスト(未定)を用いて、最適課税理論とその実証研究について勉強します。
    演習では、計量経済学のテキストを教員による講義と学生による実習を通じて経済分析で利用される統計的方法を学ぶ演習です。計量経済学の理論では、質的選択モデル、切断された従属変数モデル、パネルデータ分析についてもとりあげます。応用例では、ミクロ理論の実証研究が中心となります。
    サブゼミでは、履修者の希望にもとづいて、コンピュータ言語(C++等)やマクロ経済学等、本ゼミでとりあげられない部分を補足する予定です。
  4. 入ゼミ選考
     理論的な興味ばかりでなく政策的な問題意識をもち、自分で実証分析をやってみたいという意欲的な学生を募集します。募集人数は16人程度でA日程で(定員に満たない場合はB日程で追加)募集します。入ゼミ選考試験として「ミクロ経済学」の試験を1時間程度おこなった後、面接試験を実施します。 「ミクロ経済学」の出題範囲は、武隈慎一『ミクロ経済学(増補版)』(新世社)で言えば
    2消費者行動
    3企業行動
    6不完全競争
    7公共経済
    8不確実性
    です。基礎的な理論の理解の程度をたずねるやさしい問題(計算問題が主だが、1題は記述式問題も出す)です。過去問については、ゼミのWebでダウンロードできます。

  5. 担当者の自己紹介
    私の専攻は計量経済学ということになっていますが、現在、「生産性変化と市場構造」、「日本企業の対外直接投資と貿易構造」、「医療保険改革と医療費」、などの研究を行っています。分析対象は多岐にわたっていますが、分析の方法論としては「ミクロ経済理論の実証分析(Applied Micro Econometrics)」を志向しており、政策的に重要な分野を分析しているつもりでいます。詳しいことは、ホームページ(http://www.econ.keio.ac.jp/staff/hk/)をみるか直接質問してください。

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