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確率的順位付け(集中講義) 服部哲弥


題目: 確率的順位付け  (英題: Stochastic ranking process)
期間:  京都大学 2011年7月19日−7月22日
場所: 理学部3号館(数学教室)  127室(大会議室)
  1. (火曜 19日 15:00〜) 論理的順序による全体像 (定義,主定理,応用,データ,ロングテール)

    初回スライド(約500KB pdf file)

  2. (水曜 20日 13:00〜) モデルの定義,主定理,証明
    暴風警報解除時刻の関係で, (10時からではなく)午後1時から,に(今朝9時前時点で)変更になりました. 滑りやすい階段,洪水を起こしがちな河川等,気をつけてお越し下さい.

  3. (水曜 20日 16:30〜17:30 談話会:理3号館110号室) 研究の順序による全体像(動機,困難と解決の経緯)

  4. (木曜 21日 15:00〜) 応用のための準備(ポワッソン強度の非一様性=社会活動の昼夜差の 確率過程の時間変更による処理,特性曲線と位置分布の現実的意味,パレート分布)

  5. (金曜 22日 10:00〜) Amazon.co.jp,2ch.net,ロングテール,日周期,順位付けとは何か
教科書: 服部哲弥, Amazonランキングの謎を解く−確率的な順位付けが教える売上の構造 DOJIN選書039,化学同人,2011年5月,1700円+税,B6,224頁,ISBN 978-4-7598-1339-5

参考書:  ウェブページおよび,その孫ページ,リンク先.

レポート等締切:{院生07/28木,学部08/11木}
  (事務的な締切の違いと,数学の院試を考慮して院生と学部生で締切を分けました.)
提出先:(京大数学教室)事務室
成績評価: 出席とレポート等
  1. 出席 1日あたり1点
  2. 講義感想A4レポート用紙1/2枚−1枚 1点
  3. レポート問題(概要) 1題あたり3点 (各,文章+数式の分量目安はA4 TeX11ptで1-3枚)
    1. 大数の強法則またはMartingale収束定理の証明
    2. 各粒子iが Ai(t)=1±δを 半周期ずつとり,それぞれの符号の粒子数が各時刻で半分ずつのとき, 軌道は共通一様強度 Ai(t)=1 のときより高いか低いか不定かを証明
    3. 順位と量の関係がべき法則でfitできそうな社会現象を探して, 平等性の指数bを算出
    4. その他
  4. 教科書「Amazonランキングの謎を解く」の書評感想800和字−2000和字 2点
内容を審査の上,以上を合計して, 5点以上で「優」.

京都大学内問い合わせ先: 数学教室 吉田伸生先生
履修要件:  数学科低学年で期待される水準の解析学関連の知識と, 現象への数学の応用に対する興味を前提とする. なお,確率論の知識が多いほどわかりやすい.
講義水準: 先端向け (確率論専攻の学生には簡単な練習問題に見えるはずだが, 興味が少々偏っているという意味で基盤とは呼びにくい,という意味)
その他: 講義中を含め,内容についての質問は随時受け付ける.

講義概要(公式):  Move-to-front規則と呼ばれる簡単な多粒子系の確率モデルの, 位置と先頭へのジャンプ率に関する結合経験分布の無限粒子極限の存在 (大数の法則)と,極限分布が簡単な偏微分方程式の解として特徴づけられる こと(流体力学極限の類推), そして,確率過程論としては既に古典に属する一般論の例題とも言えるであろう 以上の内容が,ウェブのある種のランキング(順位付け)という社会現象のデータ をよく説明しているように見えること,を総合して確率的順位付けと呼んできた. 以上について講義する. 複雑な社会現象の中に,この簡単な数学モデルで説明できる特徴的な現象がある 理由,データをモデルに当てはめて得られる社会学的な含意,などにも言及する.
概要(補足): 
  1. 『インターネット時代になって初めて技術的に可能になったほどの多数の項目 についての,流行を反映する順位であって, 通常は興味を引かないくらい下位に至るまでその時間変化が十分細かくわかるもの』 についての,もっとも簡単な確率論のモデル(古くから,先頭に跳ぶ規則として 知られてきたもの)を考える.
  2. その流体力学的極限(空間分布についての無限粒子極限における大数の法則)に おいて,極限分布を特徴づける,蒸発項を持つinviscid Burgers型偏微分方程式系 が特性曲線の方法によって時間大局的に一意的に解けることが数学的に本質的で あることを指摘する.
  3. 特性曲線については, Amazon.co.jp のランキングの時間変化 と2ch.netのスレッド一覧ページのスレッドタイトルの順位の時間変化 のデータの統計的当てはめに応用して, これらをよく説明しているように見えることを紹介する. 位置ジャンプ率結合経験分布(極限方程式系の解)については, ロングテールビジネスの正否の判断との関係を説明する. 複雑であることが当然の社会現象が簡単な数学モデルで説明できる理由(普遍性) にも言及する.
  4. 全体を通して,個別の結果だけでなく, 数学から現実まで(細いけれども)一本の線をまっすぐ引く(大きな構想), ということも指摘したい.


水曜談話会  「Amazonランキングの謎を解く (The Amazon mystery)」
7月20日水16:30〜17:30 京都大学大学院理学研究科 数学教室110号室 (理3号館)
要旨:先頭に跳ぶ規則と呼ばれる簡単な多粒子系の確率モデルについて,多粒子極限の大数の法則を見い出し,極限分布を簡単な非線形偏微分方程式の解として特徴付けた.
この研究は,オンライン書店の本のランキングの時間変化の理解という現実への応用から始まった.約5年の研究の過程を追う形で,何を解決するためにどう考えたか,に力点を置いて話し,それによって,現実の新しい現象に数学を適用する研究スタイルの例を提示したい.





集中講義.過去の記録






確率的ランキング過程とBurgers型偏微分方程式



2008年度 首都大学東京

2009年1月16,23日 8号館301号室
講義内容(目的)

Stochastic ranking process (確率的ランキング過程)の定義と無限粒子極限の存在定理を概説する. 極限時空分布は 蒸発項を持つBurgers型非線形偏微分方程式系の解になっている. 特性曲線の方法の具体的な例題として, この方程式系の初期値問題の時間大域解の一意存在を証明する. このモデルの応用として,Amazon.co.jpのランキングを統計的に当てはめた 結果から,その商売について言えることについても触れる.

講義計画(目次)
  1. 蒸発項を持つBurgers偏微分方程式系の時間大局的古典解の一意存在
  2. 確率ランキング過程 (stochastic ranking process) の無限粒子極限
  3. Amazon.co.jp のランキングの時間変化データの統計的当てはめ
教科書等
以下の論文に基づいて講義する.
  1. K. Hattori, T. Hattori, Existence of an infinite particle limit of stochastic ranking process, Stochastic Processes and their Applications 119 (2009) 966-979.
    150KB pdf file
  2. K. Hattori, T. Hattori, Equation of motion for incompressible mixed fluid driven by evaporation and its application to online rankings, Funkcialaj Ekvacioj 52 (2009) 301-319.
    170KB pdf file
  3. K. Hattori, T. Hattori, Mathematical analysis of long tail economy using stochastic ranking processes, (2008) preprint.
    200KB pdf file
内容紹介のページ(講義ノートを兼ねる)
webランキングの時間変化の概念図
オンライン ランキングとロングテール,そして無限粒子系 (Amazon.co.jp のランキングを記述するモデル)
履修目標
  1. 確率過程の極限が非線形偏微分方程式にしたがうという, 異なる数学分野間の関連の可能性に興味を持つこと.
  2. インターネット商売という社会の最先端領域に高度な数学を新たに適用できる 可能性に興味を持つこと.
仮定する予備知識
測度論,微分方程式論,確率論,の入門事項(学部レベル)を 聞きかじっていること.

首都大学東京・数理の 平成20年度 数理情報科学専攻・数学専攻 集中講義 予定 のページから

服部 哲弥 (東北大学 )
授業科目名
情報数理科学1,情報数理科学特論1,解析学特論I
タイトル
確率的ランキング過程とBurgers型偏微分方程式
時期
2009年1月16,23日
連絡係
服部
簡単な内容
確率的ランキング過程 (stochastic ranking process) の定義と 無限粒子極限の存在定理を概説し,
極限時空分布が,蒸発項を持つBurgers型偏微分方程式系 の一意解であることを示す.
このモデルのwebにおける応用にも触れる.
講義ノートは http://www.math.tohoku.ac.jp/~hattori/amazonk.htm を参照.


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