情報処理II
(Excelによる統計データ処理)

赤林 由雄

当科目の目標・意義・方法

 諸君には「統計学」が必修科目として課せられている。経済を分析するためには統計学の知識は不可欠だと考えられているからである。(経済現象だけではなく、さまざまな現象を計量的に分析しようとするための作法として統計学は必須の知識である。)

 ところが統計学では、時間数に比して学ぶことが多く、実際のデータを用いた演習が不足しがちである。(もちろん担当者による差異はある。)また、演習の際には大量の計算が必要であるが、そのために用いられているのは電卓であることが多いようである。(これには学生全員がパーソナルコンピュータを教室に持ち込める環境ではない、という事情もある。)

 しかしながら、諸君が三田に来て直面するのは、実際に大量のデータを使った分析であり、その際には電卓での計算などはほとんど考えられず、多くの場合はコンピュータを駆使して計算せざるをえなくなるはずである。

 この授業では、統計学の知識に基づいて(…といっても現実には忘れてしまっている学生が多いので、復習をかねた話を混ぜながら)、統計学で学んだことをコンピュータで処理する方法、さらには、その前後で必要となるまざまな処理法(たとえば、経済データを日経NEEDSなどの各種データベースから収集する方法など)について身につけてもらうことを目的としている。この授業を通じて、統計学の知識をより確実なものにし、実際のデータ分析にも強くなってもらおう、というのが、担当者のねらいである。

 しかし、ただ私の授業を受動的にきいているだけで、データの分析に強くなれるわけではない。こういうものは頭で理解しただけではダメで、あくまで自分で何度かやってみて慣れないと身につかないというのが経験の示すところである。それなりの負荷がかかることは覚悟のうえ受講して欲しい。

 なお、実際の計算は表計算ソフトのExcelを使うので、この授業は、表計算ソフトExcelの基本的な使い方について知っていることも前提として授業をすすめていく(具体的には、

ことができることを前提としている。これがわからないのであれば、「情報処理I(Windows入門)」を履修してから受講すべきである)。またE-mailやWWWによりデータのやりとりを行うので、E-mailの受発信ができ、Webページを見ることができることも必要である。

 成績評価であるが、提出されたレポートに対する評価に基づいて行われる。

 なお99年度入学者から統計学は第2学年で履修することになっている。したがって99年度以降の入学者は2年の春学期に統計学Iを履修したのちに、秋学期に統計学IIを履修しながらこの講義を受講することで、この講義も効果的に理解できるであろうし、統計学の知識も深まるであろう。逆に統計学の知識がない1年生がこの科目を履修しても内容を理解することは難しいし、無謀である。

授業内容

表計算ソフトによる計算のさまざまな手法/データの整理・分布の特性値/推定と検定/回帰分析/データベースからのデータの収集/他

教科書・参考文献

なし

Webサイト

なお、本講義についての詳細な情報は私のWebサイトの中にある講義情報のページ(URLはhttp://www.econ.keio.ac.jp/staff/akab/lecture/)で提供する予定である。教科書・参考文献についても、(もし使う場合には)このページで告知する。